マーキーフ・モリス(ロサンゼルス・レイカーズ)とマーカス・モリス(ロサンゼルス・クリッパーズ)の“モリス兄弟”は、ともに2011年のドラフトで1巡目指名を受け、2013年には史上2組目の同一チームでプレーする双子(2013~15年にフェニックス・サンズで共闘)となった。今季、トレードやフリーエージェントを経て、奇しくも同じロサンゼルスを拠点とする2チームにたどり着いたが、大学時代は「怠け者」として知られていたという。『The Athletic』内の対談で、当時の首脳陣や選手たちが回顧している。 モリス兄弟が在籍した2008~11年を含め、長年にわたってカンザス大の指揮を執るビル・セルフHC(ヘッドコーチ)は「彼らはとても怠け者だった」と振り返る。これにはカーティス・タウンセンドAC(アシスタントコーチ)も同調し、当時のガードで現在はカンザス大バスケットボール部門ディレクターを務めるブレナン・ベシャードは「今まで出会った中で一番の怠け者」とまで言い切る。 そんな2人は兄マーキーフが208cm、弟マーカスが206cmとサイズに恵まれながら、当初はダンクを一切見せず、ようやくダンクをするようになったのは1年目のシーズンも終盤を迎えた2月頃だったという。セルフHCはこのように述懐する。 「彼らは公言していたよ。『僕らはダンクをできるけど、それは多くのエネルギーを使う』とね。自分たちの中で、エネルギーを節約する必要があり、ほとんど飛ばないバスケットボールをすることを勝手に合法化していたんだ」 当時センターを務めていたマット・クラインマンは「俺はマット・セルフ(HC)が指導した最悪のビッグマンダンカーだったと思うけど、彼らは一時期、俺よりもひどかった」とその“怠け者ぶり”を証言する。 兄マーキーフが寮の窓からエアソフトガンで女性を撃ったとして逮捕され、フットボールチームのメンバーとキャンパス内で喧嘩騒動を起こすなど問題行動が目立った2人だが、セルフHCは「彼らは特別だ。きっと特別な存在になる」と言い続けていたという。 その理由の一つが、「彼らはお互いがどこにいるかを常に分かっていた」(ベシャード)。生まれ持った感覚で阿吽の呼吸を見せ、コート上でも明るかった2人は次第に心を改め、チームでも欠かせない選手になっていったという。当時のガードであるコナー・ティーハンは「今まで出会った中で最も勤勉な人間だと思う」とまで話している。 その後、2人は仲良く2011年のドラフトで1巡目13位、14位と“連番”で指名され、ともに複数のチームを渡り歩きながら、今季NBA9年目を迎えた。現在NBAは新型コロナウイルスの影響でシーズンが中断されているが、6月中旬~下旬に再開されてプレイオフまで行われれば、ロサンゼルスを拠点とするチームに籍を置く両者の兄弟対決が見られるかもしれない。