八村塁所属のウィザーズも活用、ハイテクAIカメラ「KEEMOTION」とは【家徳悠介コラム vol.2】

どうも、NBAヲタクの家徳です。 前回はNBAのビジネス全般について紹介しました。今回からは、「NBAを対象にしたビジネスってどんなものがあるの?」という観点で、現在NBAで活用されている最新テクノロジー(スポーツテック)を紹介していきます。

1. スポーツテックとは?

日本では「スポーツテック」という単語がそれほど浸透していないかもしれませんが、米国やイスラエルだとこの分野は極めて大きく、例えば米国では2018年だけで2.5億米ドル(約2,700億円)もの投資が同セクターになされています。日本でも近年では広告業界大手の電通や、総合商社大手の伊藤忠商事もスポーツテック分野に力を入れ始めており、国内外で今後さらなる成長が期待される産業です。 NBAも例外ではありません。昨シーズンからはサマーリーグ中にNBA向けパフォーマンス関連テック企業を集めたサミットを、オールスター期間中にはNBA向けエンタメ関連テック企業を招集したサミットをそれぞれ招待制で実施するくらい、力を入れています。その中でも、今回は大半のNBAチームが導入しており、MLBの名門ロサンゼルス・ドジャーズのアクセラレータプログラムを卒業し、前NBAコミッショナーの故デイビッド・スターン氏も投資家に名を連ねていた注目の自動追跡AIカメラサービス、「キーモーション(Keemotion)」を紹介します。

2. キーモーションって何?

キーモーションは元々ベルギーで、3人のエンジニアが立ち上げた会社です。コンピューター・ビジョンの技術を応用し、スポーツ放映・撮影・録画の完全自動化に成功させた自動映像制作サービスです。具体的には、下記の画像にあるようにカメラシステムをアリーナ天井に固定し、最適なカメラアングルとズーム度合いをAIで割り出しながら撮影を行ないます。 使用用途は主に①マイナーなリーグの放映、及び②プロチームの強化であり、NBAでは後者を目的に、八村塁が所属するワシントン・ウィザーズを含む多くのチームが導入しています。 撮影・録画のオン・オフがipad一つで出来るため、練習の撮影、更にはリアルタイムでの分析を行なうにはうってつけです。また、画質も類似サービスより遥かに優れており、常時HD画質で綺麗に撮れるようになっています。

カメラシステムをアリーナ天井に固定し、最適なカメラアングルとズーム度合いをAIで割り出しながら撮影を行なう

3. その効果は!?

本サービスの効果は明確に表れています。最も分かりやすいのが、2017~18年の北米主要屋内スポーツ(NBA:ウォリアーズ、NCAA男子バスケ:ビラノバ大学、WNBA:ミネソタ・リンクス、NHL:ワシントン・キャピタルズ)の優勝チームすべてが、キーモーションを導入していた事です。 ロードでの試合が多く、チーム全体での練習が限られているNBAのチームにとっては、一回の練習における効率性を重視する必要があり、練習時に選手へリアルタイムで映像を使ったフィードバックを可能にするキーモーションは、不可欠な存在となっています。 中でもビデオ分析に力を入れているゴールデンステイト・ウォリアーズは、スティーブ・カーHCと専門のビデオ分析スタッフ数名が、練習中にキーモーションの映像を基にリアルタイムで分析しています。例えばセットプレイの確認メニューであれば、映像を見せながら各選手にどういった動きが正しいかをリアルタイムで伝えているのです。 確かに選手目線で見ると、セットプレイ等の動作を映像付きで練習中や直後に確認できるか否かは、指摘された点のイメージのしやすさで大きな差を生みますよね。 なお、カーHCは「キーモーションは、選手たちとスタッフがつながり続ける事を容易にしている」とも述べています。 前NBAコミッショナーのスターン氏に至っては、「キーモーションはスポーツ界のテスラ*だ」とまで述べている事から、その期待値の高さが分かるでしょう。 *電気自動車の本格的普及は遠いと言われていた自動車界で、洗練されたデザインと機能性でそれを可能にした自動車会社

セットプレイ等の確認を練習中に映像付きで確認できるため、選手の理解促進を促すのに一役買っている

4. 将来の展望は?

キーモーションは昨年末、同親会社のアトリウム社を通じて、NBAのスタッツ分析を一括で請け負う大手スポ―ツデータ会社であるシナジー社を買収。アリーナ内で起こり得るすべての事象(試合スタッツ管理、映像データ管理、セキュリティー管理、売店売上状況整理など)をIoTを通じてクラウド上で一元管理する“コネクテッドアリーナ構想”に一歩近づいたと言えます。 今後はチームへの導入を世界中で進めると共に、シナジー社との連携を強め、より多くのバスケリーグへの導入・展開を増やしていく事になりそうです。 次回はそのシナジー社について深堀し、NBAや各チームがどのようにデータ・スタッツを活用しているのか分析していきます。 Please Stay Tuned!

家徳悠介:「スポーツはヲタクに変えさせろ」をスローガンに、 ニューヨークをベースにスポーツビジネスコンサル、及びスポーツテクノロジー事業を行う「スポヲタ社」を経営。テクノロジーを活用して、よりスポーツを面白くする事を心掛ける。

NBAのチームって儲かるの? 知られざるNBAのビジネスとは【家徳悠介コラム vol.1】

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コメント(2件)

  • 002
    AsianMamba
    1週間前

    5G時代、面白いテックが増えそうだね!

    0
  • 001
    村マンバ
    1週間前

    こういう違う視点の記事も面白いですね

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