ブルックリン・ネッツのカイリー・アービングにとって、2021-22シーズンはNBAキャリアの中でも苦難の1年となった。新型コロナウイルスのワクチン未接種により、チームから離脱していた期間、心の中ではトレードの可能性もゼロではなかったことを明かしている。 NBA11年目、ネッツ所属3年目となった今季、アービングはケビン・デュラント、ジェームズ・ハーデン(現フィラデルフィア・76ers)とのビッグ3を中心とした“スーパーチーム”でリーグ優勝を目指すはずだった。しかし、新型コロナウイルスのワクチン未接種で拠点を置くニューヨーク市での公式戦に出場できず、チームからも離脱。アウェーゲーム限定の“パートタイム・プレイヤー”としての合流が認められたのは、今年1月に入ってからだった。 日本時間3月9日(現地8日)のシャーロット・ホーネッツ戦で50得点、3月16日(同15日)のオーランド・マジック戦では今季リーグ最多タイの60得点を記録。3月下旬にはニューヨーク市のワクチン接種ルールの緩和によってホームゲーム出場が可能となり、最終的にレギュラーシーズン29試合に出場してキャリアハイタイ平均27.4得点、5.8アシスト、3ポイント成功率41.8%の成績を残した。 プレイイン・トーナメントを経て出場したプレイオフでは、1回戦でボストン・セルティックスにまさかの4連敗を喫してシーズン終了。2022-23シーズンの契約はプレイヤーオプションのため、去就報道も徐々に過熱してきている。 そのなかでアービングは、デュラントが立ち上げたスポーツメディア『Boardroom』の番組『The ETCs』に出演。コートを離れていた時期の胸中について口を開いた。 「失うものは何もなかった。家でただ座って、自分の将来はどうなるんだと思っていたから、戦列に戻って60得点を挙げた時は楽しむだけだった。トレードされるのか、別のチームに加わる機会を得るのか、考えるなかでも、なんとかポジティブに捉えようとしていた」 「状況は変わると自分に言い聞かせ続けた。ただ、シーズンを通して、本来の力を発揮できたとは思えなかった。通常は1年間の中で成長していくなかで、9~10月から動いていた選手たちとは少なからず差があった」 デュラントとのコンビで名誉挽回を期すのか、それとも新天地を求めることになるのか。苦難のシーズンを経て、アービングの今後に注目が集まる。