日本時間5月7日(現地6日)の午前8時30分、アマリー・アリーナでワシントン・ウィザーズとトロント・ラプターズが対戦する。今季3度目の対決だが、1度目はラプターズの渡邊雄太が左足首捻挫、2度目はウィザーズの八村塁が右肩の張りで欠場。もし2人のマッチアップが実現すれば、今季初となるのだ。 シーズンも終盤戦を迎え、プレイイン・トーナメント進出をかけて争うチームに不可欠な存在となっている八村と渡邊。そんな2人のデータを見てみると、昨季から大きく飛躍の跡が見られたのは3ポイントだった。※成績は日本時間5月3日現在。
八村は平均得点だけを見ると、1年目の昨季と今季ともに13.5点と変化がないように見えるが、放ったシュートを深掘りすると大きな違いが見て取れる。それが3ポイントだ。昨季は全フィールドゴールに対して3ポイントの割合は16%だったが、今季は21.8%まで増加。総得点における3ポイントの割合も、11.6%から17.4%にアップしている。 さらに、チーム合計の3ポイント数に対して八村が占める割合も、試投数が7.2%から13.2%、成功数が9.5%から13.7%と大幅に増加。もちろん、成功率も昨季の28.7%から32.8%と約4%改善している。チームから3ポイント面で期待され、八村がそれに応えてきたことの証明と言えるだろう。 3月16日(同15日)のミルウォーキー・バックス戦では、9本放ってキャリアハイの4本を沈めている。八村本人も「ずっと練習してきたのでどんどん自信がついてきている」と試合後に語っている。ラプターズは被3ポイント成功率がリーグ25位の37.7%に落ち込んでいるだけに、7日(同6日)の対戦では八村の3ポイントが勝利を左右するポイントになるかもしれない。
渡邊に関して、NBAでの出場機会が少なかった過去のデータと今季のデータを比較するのは難しい。それでも顕著な違いを見い出せるのが3ポイントだ。自身の総得点における3ポイントの割合はメンフィス・グリズリーズでは1年目が15.4%、2年目が25.0%だったが、ラプターズでは48.1%にまでアップ。今季の平均FG試投数3.3本のうち1.6本が3ポイントで、成功率は40.5%と高い数字を残している。もともとディフェンスは評価されていた渡邊が、今季ラプターズで本契約を獲得するに至った理由の一つは、3ポイントを確実に決めてきたからだろう。 4月上旬、ニック・ナースHC(ヘッドコーチ)は渡邊について、「3ポイントシュートの技術はいいんだが、もっと打ってほしい」と語っていた。すると渡邊は、4月に37本中17本沈めて45.9%という申し分のない成功率を記録し、早速指揮官の期待に応えている。メンフィス・ハッスルでプレイしていたGリーグ時代、2シーズン合計の3ポイント成功率は34.4%。試投数の違いはあるものの、よりディフェンスの強度が高いNBAで成功率をアップさせたのは、渡邊の努力以外の何物でもない。 流れを引き寄せるタフなディフェンスと、好機で決める3ポイント。3&Dとして信頼を勝ち取った渡邊は、コート上では約1年半ぶりの再会となる八村にも容赦なく持ち味を発揮し、チームのために全力を尽くすはずだ。
■ワシントン・ウィザーズ対トロント・ラプターズ 日時:日本時間5月7日(金)午前8時30分 会場:アマリー・アリーナ 解説: 塚本清彦 / 実況: 永田実