バスケットボールにおいては、スターターの実力はもちろん、いかに有能なシックスマンを抱えているかがチームの成功を大きく左右する。『NBA.com』のスティーブ・アシュバーナー記者は、「ベンチ出場から新たな人生を見出した元オールスター7人」と題し、オールスター選出計31回、オールNBA23回、得点王1回、新人王2回、最優秀守備選手賞4回、MVP1回を誇るベテランスター7人にスポットライトを当てている。 ■カーメロ・アンソニー(ポートランド・トレイルブレイザーズ/36歳) 2020-21シーズン成績:61試合出場、平均13.6得点、3.2リバウンド、1.5アシスト プロ入り15年間はすべて先発出場。ヒューストン・ロケッツに移籍した2018-19シーズンに初めてベンチスタートを経験したが、本来の輝きを放てないまま、トレードされて解雇の憂き目にも遭った。復活を遂げるきっかけを掴んだブレイザーズでの2年目となる今季は、61試合中58試合が途中出場。アンソニーは「その役割を受け入れないといけなかった」と胸中を明かす一方、「俺はバスケットボールをしたいだけ。チームが成功するための主要因になりたい」とベテランの矜持を覗かせている。NBA18年目、悲願の優勝を手にできるか注目だ。 ■ドワイト・ハワード(フィラデルフィア・76ers/35歳) 2020-21シーズン成績:60試合出場、平均6.7得点、8.3リバウンド、0.9アシスト キャリア最初の1044試合でサブは1回だけだった男は、昨季ロサンゼルス・レイカーズでシックスマンに本格転向。ゴール下を支配するロールプレイヤーとして新たな道を切り開き、今季はジョエル・エンビードのバックアップとして存在感を示している。36分換算のリバウンドレーティングはキャリアハイの17.3。ベンチからの出場でダブルダブル8回は。1978-79シーズンのダリル・ドーキンス(16回)に次いでフランチャイズ史上2番目の数字だ。 ■ブレイク・グリフィン(ブルックリン・ネッツ/32歳) 2020-21シーズン成績:37試合出場、平均11.0得点、5.0リバウンド、3.1アシスト “ダンク王”として名を馳せたアスレティック系パワーフォワードも、過去1年半はデトロイト・ピストンズで苦しんだ。バイアウトを経て加入したネッツには、ケビン・デュラント、カイリー・アービング、ジェームズ・ハーデンの“ビッグ3”がいることもあり、スタメン出場は3試合のみだが、豪快なダンクも飛び出し、3ポイント成功率(37.0%)やフリースロー成功率(76.7%)はキャリア平均を上回っている。同僚のデュラントも「彼のIQは無限大。攻守でバスケットボールをする方法を知っている」と称賛している。 ■ポール・ミルサップ(デンバー・ナゲッツ/36歳) 2020-21シーズン成績:50試合出場、平均8.9得点、4.9リバウンド、1.7アシスト マイケル・ポーターJr.の台頭とアーロン・ゴードンの途中加入で、ニコラ・ヨキッチのバックアップへ。スタメン出場時は21勝14敗、ベンチスタート時には12勝2敗と黒子役を見事にこなしている。 ■ラジョン・ロンド(ロサンゼルス・クリッパーズ/35歳) 2020-21シーズン成績:38合出場、平均4.7得点、2.2リバウンド、4.1アシスト 2008年にボストン・セルティックスでスタメンとして、2020年にレイカーズでサブとして優勝を経験。「プレイオフ・ロンド」の異名を取るベテランは、二枚看板であるカワイ・レナードとポール・ジョージに1対1をさせることを優先しており、ジョージは「彼はこのグループのリーダーだ」と絶対の信頼を寄せている。 ■マーク・ガソル(ロサンゼルス・レイカーズ/36歳) 2020-21シーズン成績:45合出場、平均5.3得点、4.1リバウンド、2.1アシスト アンドレ・ドラモンドの途中加入でサブへ回る形となったが、2013年に最優秀守備選手に輝くなど、その実力は誰もが知るところ。フランク・ボーゲルHC(ヘッドコーチ)は、「マークは今年チャンピオンシップを獲得するための重要なファクターだ」と話している。 ■デリック・ローズ(ニューヨーク・ニックス/32歳) 2020-21シーズン成績:42合出場、平均13.8得点、2.3リバウンド、4.2アシスト 度重なる怪我に見舞われてきた元MVPは、ニックスでシカゴ・ブルズ時代の恩師であるトム・ティボドーHCと邂逅。新天地では平均13.6得点、2.6リバウンド、4.1アシストを記録し、指揮官も「彼はキャリアの杯段階で才能を開花させた。当時は今のような経験はなかったから、精神的に成熟している。運動能力は当時ほどではないが、スピードは変わらない。相手にとっては大きなプレッシャーだ」といぶし銀の活躍を喜んでいる。