――先日、ビンス・カーターが引退を表明しましたが、率直な感想を聞かせてください。 Bose:前から言われていたから、納得する部分もあったんですけど……残念ですね。ただ、それ以上に「よくぞ」っていう気持ちが強いです。その功績も言われているように、4つの年代でプレイした。スター選手ってやっぱり脚光を浴びるけど怪我で終わったり、長くやったとしてもあるところで優勝経験して、スパッと綺麗に終わるとか。最後に優勝求めてうまいこといかずにズルズルとか。これまでそういうケースは多かったけど、本当に今までになかったスターの終わり方でしたね。すごい現代的なのかなって思いました。NBA選手じゃない普通の人の人生としても、「こういう風にやればいいんだ」っていう見本になる、自分のスタイルを変えたり、違ったいいところを発見して、そこを頑張ってキャリアを続けていくとか。 ――選手だけではなく、いろいろな人にとってのロールモデルだと。 Bose:そうですね。あとスポーツ選手って終わったあとの人生も重要だと思うから、そういう次のスタートっていう意味ではいい印象で選手を終えられたので、次のキャリアもすごく上手く始まりそうな印象があります。なんかビンス・カーターの家庭があんまりうまくいってないって想像つかないじゃないですか(笑)。もちろん家族とかも大切にするし、家庭のこともちゃんとやるっていうような、本当に人間として素晴らしい面を見せてくれている気がしますね。 ――カーターのプレイで印象的だったものはありますか? Bose:やっぱり、ダンクコンテストが彼の人生を決定づけた。そういう人生をまずスタートするっていうね。こんなスタートができる人ってどんなジャンルにおいてもなかなかいないと思うし、世界に衝撃に与えたという意味で、ダンクコンテストが本当に始まりであり、これがなかったら今の終わり方もなかったんだろうと思いますね。あのダンクコンテストはすごい。それ以前もノースカロライナ大に入ってドラフトにかかるとか、選ばれし者だったんだけど、さらに頂点に上り詰めた。世界のみんなが同時にビンス・カーターという物語の始まりを見たんです。20年前ですけど鮮明に覚えてますからね。「すげーヤツ出てきた!」みたいな。そういうことってなかなかないので。 ――あのダンクコンテストは、今見ても色あせないですね。 Bose:そうそう、みんながあのことを思い出として持っている。あのダンクコンテストを、今もみんながイメージしながら、新しいことをやったりしてますよね。 ――Boseさんが選ぶカーター最高のダンクは、どれですか? Bose:ダンクコンテストと、オリンピックの人を飛び越えてっていうのが印象深い。だけど、バーっと思い出すのは試合中に回ってダンクしたりとか、2回空中で動いて決めるみたいな(笑)。ああいうの今でも覚えてますね。その週のハイライトのナンバーワンになってるイメージ。ラプターズにいた頃の試合を何度も見たっていう印象はないんだけど、ハイライトでダンクのシーンが出てくるっていうのは印象にありますね。 ――引退するカーターへメッセージを伝えるなら、どんな言葉をかけますか? Bose:本当にありがとうしかないですね。新しいここからの人生を、また僕らはファンとして、テレビとかSNSを通して活躍する姿を見ていくだろうから、楽しくNBAに関わってより盛り上げていってくれることを願います。
現役引退を表明したビンス・カーターをフィーチャーした『俺達のNBA!!』7月号後編は、絶賛配信中。出演はBoseさん(スチャダラパー)、上鈴木兄弟、中村昌也さん、サンキュータツオさん。視聴は下記リンクから。