2000年7月20日、アイザイア・トーマスがインディアナ・ペイサーズのヘッドコーチに就任した。前任のラリー・バードは初年度から最優秀コーチ賞を受賞、3シーズン目にはインディアナをフランチャイズ初のNBAファイナル進出に導き「名選手は名監督になれない」というジンクスを打ち破った。そのバードの成功で味を占めたのか、インディアナが次のヘッドコーチに選んだのが元スター選手のトーマスだった。トーマスは12回もオールスターに選出された名選手で、デトロイト・ピストンズが優勝した時の司令塔であり、1990年にはファイナルMVPも受賞していた。有名な「ジョーダン・ルール」を考案したのもトーマスだと言われており、バードの後任には打って付けの人材に思われた。 しかし、蓋を開けてみればトーマスこそ「名選手は名監督になれない」を地でいくヘッドコーチだった。初年度はリック・スミッツの引退、マーク・ジャックソンの移籍などトーマス一人に責任を押し付けるのは酷な状況だったが、その後ブラッド・ミラーの獲得やジャーメイン・オニールの成長があったにもかかわらず就任3シーズン全てでプレーオフ一回戦負け。結局トーマスは2003年のオフに解雇されてしまう。後任のリック・カーライルは、トーマスとは対照的に選手としては凡庸だったが、就任初年度の2003-04シーズンにインディアナをカンファレンス・ファイナルまで導いている。 トーマスはその後もニューヨーク・ニックスやフロリダ国際大学でヘッドコーチを務めるも、いずれも成績不振を理由に解任された。 ダブドリ編集長:大柴壮平