シカゴ・ブルズは2020-21シーズンに向けた新指揮官に、オクラホマシティ・サンダーのビリー・ドノバン前HC(ヘッドコーチ)を招聘した。NCAAで数々の実績を残した“カレッジ界の名将”に再建を託した形だが、現役時代にブルズで2度の3連覇を果たしたOBのスコッティ・ピッペンは、この人事に少なからず不満を抱いているようだ。 今季カンファレンス11位(22勝43敗)に沈み、3年連続でプレイオフ進出を逃したブルズは、2シーズンにわたってチームを指揮したジム・ボイレン前HCを8月14日(日本時間15日)に解任。サンダーでの5年間で通算243勝157敗(勝率60.8%)をマークし、今季限りで契約が満了したドノバンHCに白羽の矢が立った。
『Forbes』のクリス・ケイソン記者とのインタビューでドノバン新HCの誕生について問われたピッペンは、現役時代に計12年間プレイしたブルズの決断に厳しい見解を示した。 「ファン目線から言えば、あまり感心はしないね。チームとして劇的な変化はなかったと思う。これは私の個人的な見解だ。人としてビリー・ドノバンのことは好きだけど、彼にはNBAで、シカゴのように(低迷から脱出するために)助けを必要としているチームを立て直せると証明する実績がないと思う」 ピッペンが指摘するのは、フロリダ大を2年連続で全米一に導いたドノバンHCがスター不在のNBAチームを一から作り上げた経験がない点だ。2015-16シーズンのサンダーにはケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)とラッセル・ウェストブルック(現ヒューストン・ロケッツ)という二枚看板が君臨。2016年にデュラントが退団後も、ポール・ジョージ(現ロサンゼルス・クリッパーズ)やクリス・ポールなどリーグを代表する実力者に恵まれてきた。 現在のブルズには今季平均25.5得点を記録した25歳のザック・ラビーンがエースを務めるが、ドノバンHCがサンダー時代に主軸に据えてきた選手たちと比べると格の差は否めない。ピッペンは率直に、新指揮官が成功するかは未知数だと語っている。 「シカゴは長年苦しんできたチームだ。現時点で、ビリー・ドノバンがもたらす価値は測りかねるところがある。新HC候補には彼以外にもたくさんの人間がいた。オクラホマシティでは特別な結果は残していない」 果たして、ドノバンHCはピッペンの不安を一掃し、ブルズに強豪時代の輝きを取り戻すことができるだろうか。