デトロイト・ピストンズのレジェンド選手であるアイザイア・トーマスは、歴代屈指のポイントガードだったにも関わらず、1992年のバルセロナオリンピックに出場した初代ドリームチームに選出されていない。その理由としてマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)が、ロスターにトーマスを入れないよう指示したと噂されていたが、どうやらそれは真実だったようだ。 当時のアメリカ代表編成責任者であったロッド・ソーン(現ワシントン・ウィザーズ、シニアアドバイザー)に対し、チームにトーマスを入れないよう指示していたと明かすジョーダンの音声が録音された過去のテープが公開されたと、『ESPN』が5月26日(日本時間27日)に報じている。 『スポーツ・イラストレイテッド 』のジャック・マッカラム記者は、2011年に行った取材で、ソーンとのやりとりについて語ったジョーダンの音声を録音。自身がホストを務めるポッドキャスト番組『The Dream Team Tapes』にてそれを公開した。 テープには、「ロッドから電話を貰ったとき、俺はアイザイア・トーマスが選ばれるならプレイしないと伝えた。そうしたら彼は俺に、『チャック(チャールズ・バークレー)もアイザイア(トーマス)のメンバー入りを望んでいない。だから彼はチームに選出されないよ』と言ったんだ」と語るジョーダンの声が含まれていた。 ジョーダン率いるブルズが最後の優勝を飾った1997-98シーズンを追ったドキュメンタリー番組『マイケル・ジョーダン:ラスト・ダンス』でジョーダンは、トーマスのドリームチーム落選に関わっていたという噂を否定したが、公開された音声によって多少なりとも関与していたことが明らかとなった。それでもソーンは、「単純に候補に挙がらなかっただけ」とトーマス落選の理由にジョーダンが絡んでいないと説明している。 最恐のヒール軍団“バッドボーイズ”の司令塔であったトーマスを嫌う選手はジョーダンのほかにも多数いたため、トーマスがドリームチームに選出されなかった理由はいくつかあったのかもしれない。ただ、"神様"と呼ばれたジョーダンの意見が、ソーンの決断に少なからず影響を及ぼした可能性も十分に考えられるだろう。