カワイ・レナードは昨季、トロント・ラプターズにフランチャイズ初タイトルをもたらし、NBA史上初めて東西でファイナルMVPに輝いた。優勝請負人として今季ロサンゼルス・クリッパーズに加入したが、キャリア当初とはディフェンスの“質”が違うという。『SBNATION』のマイケル・ピーニャ記者は、「ディフェンダーとしてのカワイ・レナードの進化」と題して、様々な選手やHCの見解から万能戦士の凄みに迫っている。 2011年のドラフト1巡目15位で指名されたレナードは、サンアントニオ・スパーズでNBAキャリアをスタート。名将グレッグ・ポポビッチHC(ヘッドコーチ)の下、大きな手と長いウィングスパンを生かした守備で頭角を現した。2015年、16年には2年連続で最優秀守備選手賞に輝いているが、ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリの衰えとともに、徐々に攻撃での役割が増加。2016-17シーズンには平均25.5得点、ラプターズで初優勝を果たした昨季はキャリアハイの平均26.6得点を記録している。 2月16日(日本時間17日)のNBAオールスターでも3ポイント8本を含む30得点で「コービー・ブライアント・MVPアウォード」の初代受賞者となったのは記憶に新しい。ただ、レナード本人は「より賢く、万能なチームプレイヤー、チームディフェンダーになろうとしているだけだ」と冷静に語る。さらに、ピーニャ記者がぶつけた「以前と同じ守備レベルを維持できているか」という問いには、スパーズ時代初期との違いを挙げている。 「それ(守備)は当時の僕の仕事だった。ほぼボールを多く持っていなかったし、最高のディフェンシブプレイヤーである必要があった。今はできないよ。コートでのエネルギー消費が多すぎる」 近年のレナードは膝に慢性的な不安を抱えており、負担を考慮しながらの起用が続いている。その分、がむしゃらなディフェンスではなく、読みの鋭さを生かし、相手を自らのテリトリーに引き込むようなスタイルへと巧みに変化させているようだ。 ベン・シモンズ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)が「ボールがどこに行くのか知っている」と語れば、ジャレン・ジャクソンJr.(メンフィス・グリズリーズ)も「彼は攻撃のためにディフェンスを変えることはない」と証言。同じロサンゼルスのライバルチームであるレイカーズを率いるフランク・ヴォーゲルHCは「選手とは年齢を重ねれば自然と上手くなるものだが、彼には生まれ持った守備本能と素晴らしいフィジカルツールがあった」と語っている。 レナードの完成度の高いディフェンスは、クリッパーズ初優勝の鍵となるだろう。