かつて大半のバスケットボール選手が“神様”マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)を目標にしたように、現在NBAでプレイする若手の多くはコービー・ブライアント(元ロサンゼルス・レイカーズ)のようになりたいと思って育った。それだけに、現地1月26日にヘリコプターの墜落事故に遭い、41歳で命を落としたコービーの訃報は世界中を悲しみに包んでいる。 フェニックス・サンズ5年目のデビン・ブッカーも、“マンバ・メンタリティ”に影響を受けた1人だ。23歳のスコアラーは2017年3月のボストン・セルティックス戦で史上6人目となる1試合70得点(シュート40本21本成功、3ポイント11本中4本成功、フリースロー26本中24本成功)を達成。70点超えは、ウィルト・チェンバレン、デビッド・トンプソン、エルジン・ベイラー、デビッド・ロビンソン、そしてコービーしか成し遂げていない快挙だった。 年々磨きがかかるブッカーのフェイダウェイやステップバックは、尊敬するコービーを彷彿させるとも言われる。コービーの現役ラストイヤーとなった2015-16シーズンの直接対決後、「伝説になれ」というメッセージとサインの入ったシューズとゲームプログラムをプレゼントされるなど接点のある2人だが、サンズを中心にNBAやWNBAをカバーする『Forbes』のブレンダン・クリーン記者は、ブッカーがコービーのハイライトの一つである歴代2位の81得点(2006年1月のトロント・ラプターズ戦)について触れたコメントを伝えた。 「コービーのハイライトを数えきれないほど見てきたけど、あのパフォーマンスは特別だった。明らかに史上最高のパフォーマンスの一つ。ただ、僕はメンタリティーの観点でも彼にずっと心酔してきた。コービーはそこにたどり着くためにハードな挑戦を繰り返したらからこそ、NBAでリスペクトされていると思う」 現在NBAにはブッカーのほか、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)、ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)ら有能なスコアラーが揃う。「コービーの81得点にチャレンジできるか」と尋ねられたブッカーは、驚きながらも小さく笑って答えたという。 「ノーと言うつもりはない。そのうち分かるよ」 ブッカーのさらなる飛躍を、コービーも望んでいることだろう。