2010年7月8日、レブロン・ジェームズがクリーブランド・キャバリアーズからマイアミ・ヒートに移籍することを発表した。ジェームズはクリーブランド近郊にあるアクロンの出身で、地元のスターと目されていた。そのためジェームズの移籍は衝撃的だったが、それ以上に衝撃的だったのは、彼の移籍発表の仕方だった。なんとジェームズは生放送のテレビ番組で移籍を発表したのだ。 ジェームズの移籍は“The Decision”というテレビ番組で発表された。75分の番組はアメリカ国内で平均9,948,000人が視聴、放送開始30分後に訪れた移籍発表の瞬間は13,100,000人もの視聴者が見ていたという。レブロンの移籍表明は「僕は自分の才能をサウスビーチに持ち込み、マイアミ・ヒートに入る。これはただ勝つというだけでなく複数年に渡り勝ち続ける最高の機会だ。もちろんこの勝つという言葉の意味はレギュラーシーズンの話じゃない。5連勝するとか3連勝するとかいう意味でもない。優勝の話だ。僕はマイアミでならそれをやり遂げられると思っている」というものだった。 怒ったのはクリーブランド陣営だ。なんとジェームズは、テレビ番組が始まる直前に移籍することをクリーブランド側に伝えたのだ。オーナーのダン・ギルバートはキャバリアーズのウェブサイトにすぐさまジェームズへの手紙を公開。「その決断は自分勝手で血も涙もなく冷淡で卑怯な裏切りだ」とジェームズを批判したギルバートは、「自称王様」が優勝するより先にクリーブランドが優勝することをファンに誓った。ファンの中ではジェームズのジャージを燃やす者があとを絶たなかった。 ジェームズは宣言通り、マイアミで優勝の夢を叶えた。クリーブランドはジェームズより先に優勝することはできなかったが、その後ジェームズがクリーブランドに帰還、2016年に悲願の優勝を彼の力で手にすることになる。