ニューヨーク・ニックスのナーレンズ・ノエルが、かつて自身の代理人を務めていたリッチ・ポールとクラッチ・スポーツ・グループを相手に訴訟を起こした。『Sports Agent Blog』のレポートによると、ノエルは5800万ドルの逸失利益を請求しているという。 話はノエルが制限付きFAとなった2017年の夏に遡る。カリフォルニア州で他のNBA選手とワークアウトを行なっていたノエルは、その流れで同じく汗を流していたベン・シモンズ(フィラデルフィア・76ers)の誕生日パーティーに参加。そこで出会ったのが、シモンズの代理人を務めていたポールだった。その席でノエルは「君は1億ドルの男だ」と言われ、自分を代理人にすれば1年後にMAX契約を引き出せると持ち掛けられたという。 当時ノエルはマーベリックスと4年7000万ドルの契約で交渉していたものの、ポールの提案を受けて辞退。代理人もポールに変えると、410万ドルのクオリファイングオファーでマーベリックスと単年契約を結び、1年後に無制限FAとしてMAX契約を狙う算段でいた。しかし、その後ノエルが左手親指の怪我や反薬物プログラムに違反したことで市場価値が下がり、MAX契約どころか安価な契約しか結べず。以降4シーズンの年俸総額は、計1297万3622ドルでしかなかった。 訴状には、ノエルのマーベリックスとの1年契約が満了した2018年7月、ポールとクラッチ・スポーツ・グループはノエルが長期契約を獲得するための戦略やアイデアについて何も提案してこなかったと記されている。さらにノエルは、当時フィラデルフィア・76ersのヘッドコーチだったブレット・ブラウン、ヒューストン・ロケッツやロサンゼルス・クリッパーズが自身に興味を持っているにもかかわらず、ポールと連絡を取れなかったと聞いたと明かした。 その後ノエルは、2020年12月にクラッチ・スポーツ・グループとの契約を終了。同社は先述のシモンズ、レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビス(ともにロサンゼルス・レイカーズ)、トレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)、ドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)らトップクライアントに注力し、他の選手を蔑ろにしているとも述べている。 なお、ノエルは今オフにニックスと3年3200万ドルで延長契約を結んだと報じられている。しかし、マーベリックス時代に交渉していた4年7000万ドル、そしてポールに口約束されていた総額1億ドル級の契約には遠く及ばず。その補填を求めるべく起こした訴訟の行方は、どのような結末を迎えるのだろうか。