「大学卒業後の目標はNBAに行くこと」アメリカで飛躍を誓う19歳、ケイン・ロバーツ【独占インタビュー】

2020-21シーズンのBリーグで注目を集めた逸材がいた。B2・アースフレンズ東京Zでプレイしたケイン・ロバーツだ。Bリーグ史上最年少となる18歳でフルシーズン契約をしたロバーツは、類い稀なスピードとジャンプ力を活かして数々のハイライトプレイを生み出した。そして2021年4月には、NCAAのディビジョン1に所属するストーニーブルック大学への進学を発表。今後、さらなる飛躍が期待されている。 そんなロバーツは、2019年に東京で行なわれたステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)によるバスケットボールキャンプ「Underrated Tour, powered by Rakuten」に参加している。このキャンプは、高校時代に「小さくて細い」、「決定力がない」、「能力の限界」などと評され、3つ星の“Underrated(低評価)”プレイヤーとみなされていたカリーが、その後たゆまぬ努力によってNBAのトップ選手まで這い上がった経験から、日の目を見ない若い選手にも成長するチャンス、能力をアピールする場を与えたいというコンセプトのもと行なわれているものだ。なお、キャンプは3年目の今年もアメリカ国内で開催されており、さらなる高みを目指す多くのプレイヤーたちがしのぎを削っている。 スポーツを通して世界中の人々に感動と喜びを届けることで社会貢献を目指す楽天がサポートするこのツアーに参加したこと、カリーからの言葉は、ロバーツにとってどのような影響を与えたのか。これまでのキャリアや将来のビジョン、そして子どもたちへのアドバイスなどについて語ってもらった。

ディビジョン1でプレイしたいと思ったのは高校1年生の時

――ロバーツ選手はスピードに定評があり、身体能力も高いと言われています。自分ではどんな点が長所だと思いますか? ロバーツ:僕の長所は最初の一歩と、その一歩を踏み込む前にプレイできる能力です。ディフェンダーをかわしてバスケットにアタックし、得点やアシストをするのが得意ですね。 ――NCAAのディビジョン1でプレイすることを目標に定めたのはいつ頃ですか? また、その目標を実現するためにどのような努力を重ねましたか? ロバーツ:最初にディビジョン1でプレイしたいと思ったのは高校1年生の時、プレイの上達を実感し始めた頃です。目標を達成するためには多くのことをやらなければならないので、ジムで何時間もスキルアップに励みました。 ――これまでのバスケットボールキャリアの中で、最もチャレンジングだったことは? ロバーツ:アースフレンズ東京Zでプロとして活動した事ですね。NCAAのアマチュアリズムに関するルールが多いので、自分が選んだこのルートはリスクがありました。それでもNCAAでプレイする資格を得られる可能性があったので、こうしたキャリアを選択しました。 ――カレッジ進学前にアースフレンズ東京Zで学べたことは? ロバーツ:ベテランの選手や対戦相手、コーチやスタッフから多くのことを学びました。自分のゲームを次のレベルに引き上げるために、テクニカルなものから細かい部分までいろんなことを教わりました。彼らと一緒にプレイすることで多くを学び、シーズンを通して助けてもらっていましたね。

昨季はBリーグのアースフレンズ東京Zでプレイ。持ち前の身体能力を活かして活躍した

カリーのツアーに参加できただけでも貴重な経験となった

――アースフレンズ東京Zの東頭俊典前ヘッドコーチは、2019年の「Underrated Tour, powered by Rakuten」でプレイするロバーツ選手を見たことが、チームに誘うきっかけのひとつとなったと話しています。とりわけツアー2日目のあなたは――招待された選手の中でも2日目に参加できるのは選抜された一部のみ――際立っていました。このツアーから学んだことはありますか? ロバーツ:過小評価されていても構わないということ。あと、国や州で5つ星の選手になることが夢を叶える唯一の方法と思っていましたが、その地位に達するには地道に反復練習を重ねることが大切なのだということです。このキャンプで最も印象に残っているのは、自分がいたチームがすべての試合に勝って、チャンピオンとなったことですね。 ――ツアーでステフィン・カリーに会った際、どんなアドバイスがありましたか? ロバーツ:多くの人のロールモデルであるカリーのツアーに参加できたことだけでも、素晴らしい機会に恵まれ、貴重な経験ができたと思います。カリーが全体に向けて話してくれた言葉の中で印象的だったのは、彼はもともとシュートが上手かったわけではなく、努力を重ね、繰り返し練習することで今のようにシュート打てるようになった、というエピソードです。

2019年に東京で行なわれた「Underrated Tour, powered by Rakuten」に参加した選手たちとカリー(ロバーツは1列目61番の選手)

コツコツと努力を積み重ね続けてほしい

――以前、インタビューで好きなNBA選手はカイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)と答えていらっしゃいました。どのような点が好きなのでしょうか? また、他に参考にしている選手はいますか? ロバーツ:僕がバスケットボールというゲームを好きになったのは、彼のおかげです。彼のボールの扱い方、どんなムーブからでもリングにボールをねじ込んでしまう部分は驚異的です。そのほかでは、もちろんステフ・カリーも好きですね。多彩な技を持っており、シュートの能力はこの世のものとは思えないほどです。 ――大学卒業後の目標は? ロバーツ:NBAに行くことです。もしそれが叶わなかった場合は、どの国でもいいのでプロ選手としてプレイしたいです。 ――八村塁(ワシントン・ウィザーズ)や渡邊雄太(トロント・ラプターズ)のNBAでの活躍やBリーグの成長もあって、日本でもプロバスケットボール選手に憧れる子どもたちが増えています。すでにプロの世界を経験し、これから大学生活も始めるロバーツ選手から、子どもたちに伝えたいアドバイスはありますか? ロバーツ:プロのアスリートになりたいと思っている自分より若い世代には、どんなルートを選んだとしても、コツコツと努力を積み重ね続けてほしいと思います。キャリアの中では厳しい時期もたくさんあるでしょう。しかし、誰かに何かを言われても、常に前進し続けることが大切です。


東京都内で活動するクラブチーム「Tokyo Samurai」でコーチを務め、ロバーツを中学生の頃から見ていたというクリス・シーセン氏は、日本でバスケットボールが本格的に普及し始めたことを実感しつつ、国際大会で成功を収めるためには「もっと多くの子どもたちが海外でプレイするようになることが大切」と話す。現にロバーツも「Tokyo Samurai」の一員としてアメリカ遠征した際に、クレイ・トンプソン(ウォリアーズ)の母校サンタ・マルガリータ・カトリック高校からオファーを受けたことを、シーセン氏は明かしている。 来季から戦いの場をNCAAへと移すロバーツ。どんなステージでもどん欲にバスケットボールに取り組み、チャンスを掴み取ってきた男の挑戦を、応援せずにはいられない。

■プロフィール 名前:ケイン・ロバーツ/Kaine Roberts 出身地:神奈川県 生年月日:2002年7月5日 身長・体重:187cm・81kg ポジション:ガード 所属:ストーニーブルック大学 出身校:サンタマルガリータ・カトリック高校

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