「コートに立てたことは嬉しい。少しはいいアピールができた」 日本時間10月8日に行われたメンフィス・グリズリーズのプレシーズン初戦で河村勇輝が“NBAデビュー”を果たした。9分16秒の出場で5得点、3アシスト、3ポイントも1本成功させるなど短い出場時間ながら自身も納得のデビュー戦となった。
注目のプレシーズン初戦、河村はベンチから戦況を見つめていた。1Qから3Qにかけてヘッドコーチ(以下、HC)から声がかかることはなかったが、チームメイトのプレイに立ち上がって声援を送る姿はNBAで6シーズン生き抜いた渡邊雄太の姿とも重なった。そして第4Q残り9分16秒、ついにその瞬間が訪れる。 丁寧にコートにお辞儀をしてからコートイン。このルーティンは「今コートに立てていることが当たり前ではないことを再認識するため」と、日本でプレイしている時から続けている。「緊張した」と夢舞台でのデビュー戦はいつもと違う感覚に襲われたというが、ここから河村が強心臓っぷりを見せつけた。 プレシーズンという勝敗はさほど重要視されない試合とはいえ1点ビハインドで巡ってきた出場の機会、そのわずか30秒後に左コーナーでパスを受けた河村は逆転の3ポイントを難なく沈めNBA初得点を記録。試合時間残り4分31秒の場面ではルーズボールにいち早く反応すると、ゴール下の味方にノールックパスを出してNBA初アシストも記録した。試合中にはたびたびテイラー・ジェンキンスHCと会話しその指示をチームメイトに共有。司令塔としてコート上の5人をまとめる姿は、とてもルーキーとは思えない落ち着きぶりだった。 その後もハンドオフから味方のダンクをお膳立てしたり、ディフェンスでも足を動かし続け相手にタフショットを打たせるなど持ち味を存分に発揮。121-116の勝利に導く活躍で、堂々のデビュー戦を飾った。
「明日どうなるかわからない、1日1日が勝負」と初出場の余韻に浸る間もなく次戦を見据えた河村だが、その言葉通りいつカットされてもおかしくない厳しい立場にあることには変わりない。しかし、これまでも河村はバスケットボールファンの予想をはるかに超えるプレイを見せてきた。 2019年、当時福岡第一高校の3年生だった河村は天皇杯の2次ラウンドで富樫勇樹擁する千葉ジェッツと対戦。圧倒的格上相手にも臆することなくプレイして21得点、10アシスト、6スティールというセンセーショナルな活躍を見せてバスケファンを驚かせたのだ。 2022年3月には東海大学を中退しプロバスケットボール選手として道を歩み始め、2022-23シーズンにBリーグMVPと新人王を同時に獲得する快挙を達成。2023年の夏にはFIBAバスケットボールワールドカップで格上フィンランド相手に25得点、9アシストの大活躍で歴史的勝利に貢献すると、今夏行われたパリ五輪でも昨季のNBA新人王、ビクター・ウェンバンヤマ擁する開催国フランス相手に29得点を挙げ、準優勝国をあと一歩で撃破するところまで追い詰める立役者となった。 “河村ならやってくれる”日本中のバスケットボールファンがそう思えるだけの活躍をこれまでも見せてきた172cmの小さな巨人。次戦は日本時間11日、ホームのフェデックス・フォーラムでのシャーロット・ホーネッツ戦だ。地元のグリズリーズファンのみならず、我々日本のファンをも熱狂させる大きな活躍を期待したい。
解説:大西玲央 実況:永田実
解説:大西玲央 実況:波多江良一
解説:塚本清彦 実況:波多江良一
解説:佐々木クリス 実況:三橋泰介 上記試合の視聴にはNBA Rakutenの会員登録が必要ですが(楽天IDでログインするのみ)、視聴プランのご購入や楽天モバイルのご契約は不要です。※試合の配信は予告なく中止となる可能性があります。