フィラデルフィア・76ers(以下、シクサーズ)は、ドック・リバース新HC(ヘッドコーチ)、ダリル・モーリー新バスケットボール運営部門代表を迎え、2020-21シーズンの優勝を目標に掲げる。そのなかで、トレードの噂もあるベン・シモンズがキーマンの1人となるのは間違いなく、『The Sixer Sense』のルーカス・ジョンソン記者は24歳のオールラウンダーの起用法を予測している。 シモンズは身長208cmのサイズがありながら、抜群のゲームメイクセンスで攻撃を牽引。過去2年連続でオールスター出場を果たし、2019-20シーズンにはスティール王(平均2.1本)、オールディフェンシブ1stチームにも選出されるなど、攻守両面で一級品の実力を誇る。 昨季フロリダ州オーランドのバブル(隔離地域)でシーズンが再開された際、ブレット・ブラウン前HCはシェイク・ミルトンをポイントガード(PG)に入れ、シモンズをパワーフォワードに転向させた。リバース新HCの起用法にも注目が集まるところで、ジョンソン記者は「ドック・リバースはどう攻撃的にベン・シモンズを使うのか?」と銘打って取り上げている。 「ベン・シモンズは(シクサーズの)ロスターでベストプレイヤーの1人でありながら、208cmでプレイメーカー、ジャンパーを撃ちたくないという姿勢は、ハーフコートで使うことを複雑なものにしている。リバースHCのシモンズ起用法は、オフシーズンの動向に左右される。シェイク・ミルトンはシクサーズにとって貴重な選手であることは実証されているが、プレイオフチームの先発PGの器ではない。それを踏まえて、フランチャイズは別のプレイメーカーを探しているはずだ」 シーズンを通して先発を任せられるPGが見つからなければ、シモンズがこれまでのように司令塔を務め、補強に成功すればシモンズを“ポイントフォワード”として起用する割合が増える見込みだという。 「PGで考えるなら、リバースHCはボストン・セルティックス時代にラジョン・ロンド(現ロサンゼルス・レイカーズ)を起用した。サイズの違いを除けば、シモンズとはトランジションが好きで、外角からのシュートは得意ではないという類似点がある。ロンドはエルボー付近でのピック&ロールで、自らミドルレンジジャンパーを打つか、ドライブするか、ケビン・ガーネットにジャンパーを打たせるか、ハーフコートで効率的にプレイした。シモンズがミドルレンジを積極的に放てるようにすれば、このオプションはシクサーズの武器になる可能性がある」 「ポイントフォワードであれば、ロサンゼルス・クリッパーズ時代のブレイク・グリフィンのようにシモンズを使っても驚きはない。リバースHCは当初、グリフィンをピック&ロールのフィニッシャーを任せていたが、プレイメーク力が備わったあとはトップ・オブ・ザ・キー付近で起点とした。すでにNBAで指折りのゲームメーカーであるシモンズを同じように使わないのは得策ではない」 昨季のシーディングゲームでの左膝負傷で手術を受けて迎える5年目の2020-21シーズン、シモンズがどのポジションで起用されるのかも、チームの命運を握ることになりそうだ。