ヒューストン・ロケッツのラッセル・ウェストブルックは現代NBA屈指のポイントガードだ。2016-17シーズンから3年連続でシーズン平均トリプルダブルの偉業を成し遂げ、今年2月にはオースカー・ロバートソン、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)に次ぐ史上3人目の通算2万得点、7000アシスト、6000リバウンド以上に到達した。バスケットボールで不可能なことはないほどのオールラウンダーだが、コート外では誤解されているという。 「悲しいことに、ロケッツのラッセル・ウェストブルックは全国メディアによって依然として誤解されている」 このように訴えたのは『Space City Scoop』のアンソニー・ダケット記者だ。
NBA入りした2008年から11シーズン所属したオクラホマシティ・サンダー時代、ウェストブルックはメディア対応を好むタイプではなく、むしろ“メディア嫌い”の印象さえ強かった。試合後のインタビューでも「次の質問」とそっけなく答えるシーンは幾度となくあり、同じ答えを繰り返すなか『The Oklahoman』でコラムニストを務めるベリー・トラメル氏に「何か怒っているの?」と訊かれた際には、「I don’t like you(君のことが好きじゃない)」と突き放す映像も残っているほどだ。 『Fox Sports 1』でパーソナリティを務めるコリン・カワード氏は、「ラッセル・ウェストブルックはマスコミとの付き合いが苦手で、あまりに精神的に不安定で気難しすぎる」と厳しく批評しているが、ダケット記者はウェストブルックが気まぐれな一面があることは認めつつも、「短気で近寄りがたい人物」として誤解されていると記した。 「おそらく主要因はウェストブルックのプレイスタイルだろう。コート上で燃えるような情熱を注ぐ彼は、コート外でも同様だと考えられがちだ。しかし、プレイから離れたら正真正銘の思いやりのあるナイスガイだ。ロケッツのメンバーになって以来、ヒューストンメディアの模範的存在だった」 ダケット記者は、ウェストブルックが新型コロナウイルスによるリーグ中断中にヒューストンの学生にパソコン650台を寄付し、人種差別撤廃を訴える『Black Lives Matter』の運動を支持するなど積極的に社会活動に参加してきたことを紹介。さらに、ロケッツのレポーターを務めるケイリー・グリフィン氏の証言も伝えている。 「彼はコート内外でまったくの別人。(試合が行われる)48分間だけスイッチがオンになる。最も驚いたのは、ウェストブルックが最も一緒に仕事がしやすい人物だということです。何かを求めた時、彼はいつも素晴らしい対応をしてくれるわ」(グリフィン氏) ウェストブルックは批判されるような人物じゃない――。ダケット記者は、むしろその人間性はリスペクトに値すると言わんばかりに主張していた。