シーズン開幕から約2カ月。現時点で投票が行われるのであれば、新人王はメンフィス・グリズリーズのジャ・モラントの手に渡るだろう。 まだ序盤戦ではあるが、モラントは結果を残している。平均得点(19.1)とアシスト(6.6)は新人中トップ。スーパースターとの対戦では一歩も引かず、ウイニングショットを沈め、対戦したすべてのチームのコーチから称賛を浴びている。 このままモラントがほかのルーキーたち(ザイオン・ウィリアムソンの復帰も近づいている)を抑えるためには、現在の勢いを維持していかなければいけない。 試合終盤での勝負強さがモラントの長所となりつつあるのは大きなプラスだ。モラントは第4クォーターでリーグ6位の平均8.8得点を記録しており、FG成功率でも51.6%と高い数字を残している。モラントよりも高い得点を記録するのは、ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)、カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)、ブラッドリー・ビール(ワシントン・ウィザーズ)、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)の5人しかおらず、いずれもリーグ屈指のスーパースターたちだ。 重圧のかかる場面で輝きを増すモラントにボールを託すことで、グリズリーズは成功を収めているといえるだろう。 現地23日のレイカーズ戦でも、最終クォーターに9得点、3スティールと活躍。パスフェイクからのレイアップ、ダブルクラッチでのバスケットカウント、そして試合残り約30秒の場面では1点差に迫るレイアップを決めるなど、ビッグプレイをいくつも披露した。 試合には敗れたが、モラントはチームの奮闘ぶりに満足している様子だった。 「チームとして成長できていると思う。勝つことはできなかったが、俺たちがどのようなタイプのチームであるか、またどのようなチームを目指しているかを今日は示せた。結果には満足できないけど、チームの戦いぶりには満足している。チーム一丸となって攻守でハードにプレイした。勝利には届かなかったけどね」 現地水曜日のクリッパーズ戦でも、モラントは試合終盤で躍動し、アップセットを起こす手前まで来ていた。 前半は無得点に終わったモラントだったが、この日マークした20得点中14得点を第4クォーターで記録。ただ119対119の場面では、ショットクロック残り5秒でタフショットに繋がるパスを選択してしまうミスも犯しており、その後、試合残り2.3秒にモントレズ・ハレルがティップインを決めたクリッパーズが2点差で勝利を飾っている。 グリズリーズの5連敗を阻止できなかったモラントだが、プレッシャーがかかる場面でのプレイを恐れていないことを再び証明した。勝利という結果はまだついてきていないが、試合終盤おけるグリズリーズのゴー・トゥ・ガイという評価を獲得している。 1. ジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ) アグレッシブなドライブを仕掛けることで知られるモラントだが、現地月曜のペイサーズ戦では肝を冷やすシーンがあった。マイルズ・ターナーにレイアップをブロックされた際、ベースラインのカメラマンに衝突。ゆっくりと起き上がったが、そのままスタッフに支えられロッカールームへと下がっていった(その後、試合には復帰)。数日後、リムにアタックする現在のプレイスタイルを変えるかと聞かれたモラントは、「今までずっとこのスタイルでやってきた。リーグ入りできた理由でもあるし、このまま貫いていく。チームのためならこの身を捧げるよ」と質問を一蹴している。 2.タイラー・ヒーロー(マイアミ・ヒート) 平均17.3得点を記録するなど、この1週間でヒーローは再び素晴らしい活躍を披露した。多くの出場時間を獲得しているヒーローだが、スポットアップの練習が好結果につながっているようだ。「チーム練習の前に、毎朝キャッチ&シュートの練習に力を入れている。この努力が徐々に結果につながってきている。ただもっと鍛錬を積んで精度を上げないとね」 3.ケンドリック・ナン(マイアミ・ヒート) ドラフト外のナンだが、新人王は自分であると感じているようだ。『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者に対して、「僕が新人王だと思っている。まだ時期尚早かもしれないが、その候補として十分なパフォーマンスをできている。このレベルをシーズン通して維持し、最後に受賞できるようにしたい」と自信を見せている。しかし今週は76ers戦で6得点(FG 3/10)、ロケッツ相手に9得点(FG 3/11)と苦戦。新人王が残す様な数字ではないが、彼が言うようにまだ判断するには時期尚早だろう。 4.エリック・パスカル(ゴールデンステイト・ウォリアーズ) 現地水曜のブルズ戦で、25得点、7リバウンドと躍動し、104対90でチームを勝利に導いたパスカル。ルーキーではモラント(9回)、ナン(7回)に次いで多い6度目の20得点越えを記録した。 5.RJ・バレット(ニューヨーク・ニックス) ラプターズを見て育ったバレットの故郷カナダへの凱旋試合は、彼が思い描いたような結果にはならなかった。現地水曜に行われた試合でバレットは16得点を記録するも、フィールドゴール17本中5本成功(3ポイント 2/8)とシュートに苦戦し、チームも敗戦。ラプターズファンから暖かいオベーションを受けたバレットは、「様々な感情があった。本当に嬉しくて、試合直前の2時間は自分を落ち着かせることに精一杯だった」と心境を語った。