ポートランド・トレイルブレーザーズのセンターであるエネス・カンターは、NBAファイナルズのスポットを賭けてゴールデンステート・ウォーリアーズと戦っていた。悔しくもディフェンディングチャンピオンに敗れてしまったトレイルブレーザーズだが、カンターの戦いはまだ終わっていないようだ。 公の場でトルコのエルドアン大統領を批判し続けているカンターは、故郷に戻ると逮捕されてしまう可能性が極めて高い。また、何度も殺害の脅迫を受けており、国外での試合を強制的に見送るはめになっているカンターは、万が一の場合に備えてFBIと直通のコンタクトを持っている。 今年2月のトレードデッドラインを前に、ニューヨーク・ニックスから放出されたカンターは、数日後にブレーザーズと契約した。ESPNによると、カンターがチームに入ってまず行ったのは、地元ポートランドのFBIエージェントとのミーティングだったという。 トルコ政府やエルドアン大統領との間に起った出来事や、ニックス時代のロンドンへの遠征を機に殺害の脅迫がエスカレートしていることをFBIに告げたカンターに、万が一に備えて非常ボタンが支給された。担当したFBIエージェントは、カンターに非常ボタンをベッドの横に常備することを支持し、不審なことが起きたらいつでもボタンを押すように伝えたという。 しかし、命の危機にさらされているにも関わらず、カンターは公の場でトルコ政府について発言することは辞めないようだ。 「俺はトルコ政府について公言することを辞めないよ。トルコにいる俺の家族を危機にさらしていることは分かっている。けど俺が発信することを辞めたら、誰が監獄に入れられた何万もの無実な人のために戦うんだ?多くの人が拷問を受けて殺されている。だから俺がこの問題について発信しなければならない。俺は政治家でもジャーナリストでもない。ここが俺のプラットフォームなんだ。」 トルコにおける自由と人権のために発言し続けるカンター。今シーズンのNBAでの戦いが終わっても、地元トルコのためのエルドアン政権との戦いはまだまだ続くようだ。 文:ビタラフ アドル