ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボは、7年連続でオールスターに出場するなど、現NBAを代表するスーパースターだ。飽くなき向上心の陰には、今の日々を失うのではないかという恐怖心があることを、『The Athletic』のサム・アミック記者とのインタビューで明かしている。 2019、20年に史上12人目となる2年連続MVP受賞、20年には最優秀守備選手賞にも輝き、翌21年には念願のリーグ優勝を達成。節目となるプロ10年目の今季もリーグ4位の平均31.4得点、同2位タイの11.9リバウンド、5.5アシスト、フィールドゴール成功率54.2%とリーグ首位(50勝20敗)に立つチームのエースとして君臨している。 個人タイトル、名声ともに手にできるものはすでに手にした印象さえあるが、アデトクンボ自身は過去の栄光を気にかけ過ぎないようにしているという。 「過去の成果を見てしまうと、必死になるのをやめてしまうことがあると思う。僕が今の位置(地位)にいるのは、必死だからだ。僕はステフ(ステフィン・カリー/ゴールデンステイト・ウォリアーズ)ほど才能がないし、ケビン・デュラント(フェニックス・サンズ)ほど才能がない。必死だし、目の前のことしか考えていない。神が与えてくれたもの、兄弟や母のための生活を失うのが怖いんだ。だから、このままでダメだと思い、できる限りハードに練習し、プレイしている」 もっとも、決して苦しい思いだけではなく、2021年のNBAタイトル獲得は「人生で最高の気分だった」と振り返っている。 「シーズン中の8か月間、浮き沈みを繰り返しながら自分の人生を懸けて働く。あの感覚が好きなんだ。小さなことが積み重なって、あの瞬間(優勝)につながるんだ」 アデトクンボは自身2度目のリーグ優勝に向けて、“自分磨き”に余念がない。