日本時間12月26日(現地25日)、NBAでは「クリスマスゲーム」と称して計5試合が行われる。リーグ創設2年目の1947年に始まった、この年に一度のビッグイベントは今年で75回目。激戦が期待できる5試合それぞれの注目ポイントを紹介する。
ニューヨーク・ニックスは日本時間12月4日(同3日)時点でイースト11位の10勝13敗と苦しんでいたが、その後8連勝を飾りイースト6位まで浮上した(現在は2連敗中)。今季はオフェンシブ・レーティングがリーグ10位(113.8)と、同23位だった昨季(109.7)から大幅に改善。その要因は、昨オフにFAで獲得したジェイレン・ブランソンだろう。加入1年目ながら平均得点(20.4)とアシスト(6.3)でキャリアハイを記録するなど、堅実なプレイメイクと得点力を武器に好調のニックスを牽引。ジュリアス・ランドルとRJ・バレットも平均20点超えを記録しており、ニックスのオフェンスは注目だ。 フィラデルフィア・76ersも、ジェームズ・ハーデンが14試合ぶりに怪我から復帰した12月6日(同5日)以降、7勝1敗と好調だ。ハーデンは直前のロサンゼルス・クリッパーズ戦で、 20点、11リバウンド、そしてキャリアハイかつフランチャイズ記録タイの21アシストと、圧巻のトリプルダブルを達成。得点ランクトップ(平均33点)につけるジョエル・エンビードとの連携も日に日に深まっており、2人によるピック&ロール、またはピック&ポップを止めるのは至難の業だ。エンビードが30点以上、ハーデンが10アシスト以上を同時に記録した試合では4勝1敗と勝ち越しており、その活躍に期待したい。
24年連続でクリスマスゲームに登場のロサンゼルス・レイカーズは、アンソニー・デイビスとラッセル・ウェストブルックが怪我で欠場濃厚とチーム事情は厳しい。勝利するにはレブロン・ジェームズの活躍が不可欠だ。12月30日に38歳の誕生日を迎えるジェームズだが、現在6戦連続30点超えと依然リーグ最高峰の選手であることを証明している。クリスマスゲームでの通算得点は歴代最多の422点。出場数で歴代単独トップ(17回目)となる今回の一戦で、クリスマスの“王様”はどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。 ダラス・マーベリックスは、ルカ・ドンチッチがここまで平均得点(32.8)、リバウンド(8.3)、アシスト(8.7)、スティール(1.7)のすべてでチームトップと、八面六臂の活躍を見せている。さらにドンチッチがトリプルダブルを達成した試合では5勝1敗と、大黒柱の成績がチームの勝敗に直結している。直前のヒューストン・ロケッツ戦ではシーズンハイの50点と気を吐いたが、再び爆発なるか。
昨プレイオフのイースト準決勝で対戦したミルウォーキー・バックスとボストン・セルティックスの一戦では、MVP候補として名が挙がる両チームのスーパーエースに注目が集まる。イースト首位のセルティックスは今季、オフェンシブ・レーティングでリーグ首位(116.6)と高い数値を残すが、それを引っ張るのがキャリアハイの平均30.5点を挙げるジェイソン・テイタムだ。ペイントに仕掛ける回数やフリースロー試投数が増加したことで、31試合中17試合で30点以上とプレイの安定感が向上。NBAファイナルを経て、選手としてさらにステップアップした印象だ。 イースト2位のバックスを牽引するヤニス・アデトクンボは、平均31.4点、11.3リバウンド、5.2アシストと今季もオールラウンダーとして圧巻の活躍を見せている。大きなストライドを活かしたユーロステップからの豪快なダンクなど、その理不尽なプレイは健在。また、守備でも抜群の存在感を示す。数少ない弱点として3ポイントがあるが、今季1本以上決めた試合では13勝2敗と圧倒的な戦績を誇る。
この試合は昨季のウェスト準決勝のリマッチだ。球団史上初のクリスマスゲームをプレイするメンフィス・グリズリーズは、エースのジャ・モラントを中心にアップテンポかつアグレッシブなバスケを展開するのを持ち味としている。今季は速攻での平均得点(17.2)がリーグ3位、ペイント内の得点は同1位(58.3)と、モラントという最高峰のアタッカーを最大限活かしている。7勝9敗とアウェイでの戦いに課題を残すが、しっかりと結果を残せるか。 昨季王者のゴールデンステイト・ウォリアーズは、残念ながらステフィン・カリーが左肩亜脱臼で欠場予定だ。MVP級のパフォーマンスを披露していたカリー不在の影響は絶大で、今季は欠場した試合で1勝6敗と勝てていない。本拠地チェイス・センターでは12勝2敗と高い勝率を誇るが、勝利にはカリーの相棒であるクレイ・トンプソンや、代理で先発を務めるジョーダン・プールの奮起は必須となるだろう。チームの総合力向上のため、この危機を転機に変えられるか注目だ。
ウェストトップのオフェンス力を誇る2チームの対決。オフェンシブ・レーティングでリーグ3位(116.0)を記録するデンバー・ナゲッツは、2年連続MVPを受賞しているニコラ・ヨキッチが調子を上げている。スコアラーであり、司令塔でもあるビッグマンは、12月に入ってから平均28.9点、12.9リバウンド、9.8アシストと圧倒的なパフォーマンスを披露。ジャマール・マレーとマイケル・ポーターJr.が復帰したことで攻撃のオプションが増えた今季、ナゲッツはヨキッチが2桁アシストを記録した試合で11勝1敗と無類の強さを誇る。 オフェンシブ・レーティングで2位(116.1)のフェニックス・サンズは、デビン・ブッカーの状態が気になるところ。股関節の痛みで直近3試合を欠場しており、クリスマスゲームの出場も不透明な状況だ。チームトップの平均28点を挙げるエースを欠くとなれば、クリス・ポールの出来に勝敗は大きく左右されるだろう。ベテランらしい巧みな試合コントロールで、ビッグマンのディアンドレ・エイトンや、リーグ屈指の2ウェイプレイヤーとして進境著しいミケル・ブリッジズを上手く活かし、エースの穴を埋める働きが期待される。