「良いこともつらいことも、すべてが自分の糧になるはず」町田瑠唯(WNBAミスティックス)独占インタビュー【開幕戦はNBA RakutenでLIVE配信】

2021年夏の東京五輪で銀メダルを獲得した日本女子バスケ界から、史上4人目のWNBAプレイヤーが誕生した。ワシントン・ミスティックスと契約したポイントガード(PG)の町田瑠唯である。身長162cmと小柄ながら、広い視野を生かしたトリッキーなプレイメイクを得意とし、東京五輪でもアシスト王と大会ベスト5に輝いた。29歳にしてのアメリカ挑戦。日本時間5月7日(現地6日)に行われるホームでのインディアナ・フィーバー戦で新シーズン開幕を迎えるなか、内に秘める意気込みを訊いた。※インタビューは4月28日に実施。

自分にプレッシャーをかけながらやっています

――Wリーグのファイナル(町田が所属する富士通レッドウェーブはトヨタ自動車アンテロープスに0-2で敗戦)が4月17日に終了し、23日に日本を出発。27日に現地入りしましたが、現在のコンディションは? 町田:「何%」と表現するのは難しいですけど、正直なところ、自分的にはまだまだで、徐々に戻ってきている状況です。時差ボケもありましたし、(Wリーグのシーズンが終わってから)トレーニングが思うようにできていなかったので、ここから“アメリカ仕様”に仕上げていきたいと思います。 ――今年2月にミスティックスとの契約が発表されてから、チーム合流までおよそ3か月。Wリーグを戦いながらのこの期間は時間の経過が早かったですか、それとも遅かったですか? 町田:早かったです。私は器用なタイプではないので、2つのことを同時に考えるのはうまくできなくて(苦笑)。ミスティックスとの契約が決まったあとも、Wリーグでの目標(優勝)があったので、そこに向かって目の前の戦いに集中していました。 ――渡米後のミスティックス入団会見を見ても、町田選手に対する注目度の高さが感じられます。 町田:これほど注目されることは今までなかったですし、ワシントンに来てから改めて周囲の期待を感じていて、自分にプレッシャーをかけながらやっています。みんなに期待されてプレッシャーを過度に感じてしまうよりは、自分でプレッシャーをかけた方が気持ち的にも楽かなと思って(笑)。自分なりに捉え方を変えている感じですね。

ミスティックス入団会見には日米から多くのメディアが参加。町田も「ワシントンに来てから改めて周囲の期待を感じた」と語る

いろんな選手がコミュニケーションを取ってくれる

――記者会見では、もともとWNBAを意識していたというよりは、オファーが来てから挑戦を考えたと話していました。WNBAにはどんな印象を持っていますか? 町田:どのチームも、どの選手もトップレベルで、アメリカバスケットボールの最高峰だなと感じています。 ――4月28日(同27日)に行われたプレシーズンマッチのミネソタ・リンクス戦(78-66で勝利)では、途中出場から18分42秒プレイし、ピック&ロールからのレイアップで移籍後初得点も決めました。チームにはスムーズに溶け込めましたか? 町田:ちゃんと練習に入ったのが4月26日で、翌日にもう試合だったので、「まだ合わないのも当然だよね」という部分は正直あります。WリーグとWNBAのルールが違ったり、ボールの違いによる感覚の変化はすごく感じました。そこはしっかりとアジャストしていかないといけないですけど、コート上でのコミュニケーションはバスケットボール用語である程度分かったので、相手が話していること、何にフォーカスして言いたいのかは理解できていました。今後は、例えばベテランの選手がチームに対して何かを言っていることをすべて聞き取りたいと思っています。絶対に良いことを言ってくれているはずなので、きっと学びにもなるはず。できるだけ通訳の方に入っていただいて、何を言っているか教えてもらっています。 ――チームメイトで特によく話す選手はいますか? 町田:ミーシャ(ハインズ・アレン)とステフ(ステファニー・マブンガ)は、私が英語をあまり分からなくてもよく声をかけてくれます。ほかにもいろんな選手が短い単語で話してくれたり、ハイタッチやハグでコミュニケーションを取ってくれるので、すごくいいチームだなと感じています。 ――昨シーズンのメインPGであるナターシャ・クラウド選手とも頻繁にコミュニケーションを? 町田:普段からたくさん話すというわけではないですけど、リンクス戦でも一緒に出ていて常に声をかけてくれて、気にかけてくれている感じがします。ロッカールームは隣にナターシャ、アリシャ(クラーク)とベテランの2人に囲まれているので、恵まれた位置に入れたと思っています(笑)。

加入直後とはいえ司令塔としての責任感は強い。「ベテランの選手がチームに対して何かを言っていることをすべて聞き取りたい」と、より良いコミュニケーションを実現するためにどん欲だ

自分の得意とするプレイをチームで表現したい

――WNBA挑戦は萩原美樹子さん、大神雄子さん、渡嘉敷来夢選手に続いて日本の女子選手で4人目。同じPGの大神さんとは渡米前に話したりしましたか? 町田:大神さんから「頑張ってきて」というお言葉をいただいて、タイミングが合えば応援に来てくださるともおっしゃっていました。プレイに関して言えば、あまり話はしていなくて。大神さんとはスタイルが全然違うので、私は自分の得意とするプレイをチームで表現したいなと。練習の時からチームメイトに特徴を理解してもらえるように伝えながら、逆に自分もチームメイトの特徴をしっかりと把握して、それを試合で生かしていきたいです。 ――例えばサッカーの世界では、日本人選手が海外に行くと最初は思うようにパスが来ず、周囲を認めさせるプレイが求められることが多々あります。海外、しかも世界最高峰のWNBAの競争の激しさ・難しさを感じたりしましたか? 町田:「認めてもらうためにプレイする」という感覚はないです。コーチ陣は私のスタイルをよく理解してくれていて、「アタックしろ」と言ってくれますし、その言葉に応えられるようなプレイをしたいと思っています。海外は自分をしっかり持っている選手が多い印象です。ポイントガードの私はこれまで味方がディフェンスでリバウンドを取ったらまずボールをもらうのが仕事でしたけど、実際に試合をやってみて、ボールをもらいに行っても、「大丈夫」とアクションが返ってきたり、私がパスを受けずに(相手のコートへ)走るケースも何度かあったので、そこは日本とは少し違うなと感じました。

すべてが自分の糧になるはず

――ワシントンを拠点とし、「ルイ」という名前の共通点があるということで、必然とNBAのワシントン・ウィザーズに所属する八村塁選手の名前が挙がってくると思います。 町田:八村君が日本の男子選手としてNBAで結果を残していて、注目されていると思います。私も日本女子選手の「ルイ」として活躍して、2人で日本に良いニュースを届けて一緒に盛り上げていきたいです。 ――ミスティックス以外で、町田選手が注目しているWNBAプレイヤーはいますか? 町田:もともと(シアトル・ストームの)スー・バード選手が好きでした。代表でもマッチアップしていたので、WNBAの舞台でまた対戦できるのが楽しみです。シカゴ・スカイのポイントガードを務めるコートニー・バンダースルート選手もすごく上手くて、アシストだけでなく得点も取れる。マッチアップしてみたい選手の1人ですね。 ――最後に、WNBA挑戦1年目への意気込みをお願いします。 町田:まず、ミスティックスに加入することができてすごく嬉しいです。オファーをいただけたことに感謝しながらプレイしていきたいし、たとえバックアップだったとしても、起用方法にかかわらず、コーチや周りの選手たちから求められていることをコート上で表現したい。ミスティックスは優勝を目指しているチームだと思うので、その目標に貢献したいと考えています。良いことも、つらいことも、すべてが自分の糧になるはず。まだワシントンに来て間もないですけど、ここまで良い経験ができていて、きっと良い年になると信じています。

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