待ちに待った2019-20シーズンの再スタートが目前に迫っている。再開シーズンでは、無観客や一箇所集中開催など、過去に例のない要素が多く取り入れられているだけに、その展開を予想するのが非常に難しい状況だ。今回はそんな予測不能のシーズンの行方を、大きく左右する可能性を秘めたキープレイヤーを5人ピックアップして紹介する。
オールNBAチーム選出5回、オールディフェンシブチームは4回と、リーグでも指折りの実績を誇るジョージだが、今季はMVP投票で3位に入った昨季のような輝きはまだ披露できていない。昨年6月に手術した肩の状態が万全ではなく、シーズン中断前の時点で22試合を欠場。わずか20分で37得点を叩き出した昨年11月のホークス戦など随所で爆発力を見せる一方で、15得点未満に終わった試合がすでに昨季の3倍以上(3→11)に増えるなど安定感を欠いていた。 そんななかで迎えた中断期間は、ジョージにとってコンディションを取り戻す絶好の機会となったようだ。「今はとても調子がいい」と本人が語ったように、練習試合では3戦で3ポイントを19本中10本決めるなど好調ぶりをアピールしている。コンビネーションは未完成ながら、カワイ・レナードと共にプレイした試合では24勝8敗と高い勝率を残すだけに、ベストな状態のジョージがいればクリッパーズ優勝の可能性は大きく跳ね上がるはずだ。
クリッパーズと共に優勝の有力候補として挙げられているのがレイカーズ。レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスを軸に、今季はリーグ中断前の時点でウェスト首位に立っている。しかし、好調だったチームとは対照的に、浮き沈みの激しいシーズンを送っていたのが3年目のクーズマだ。今季はデイビスの加入により出場時間が大幅に減少(33.1→24.6)。二枚看板に次ぐ3番手スコアラーとして期待されるも、開幕前に痛めた足首の影響もあり、平均得点(12.5)、リバウンド(4.5)、アシスト(1.3)など成績は軒並み自己ワーストにとどまっていた。 与えられた役割を果たせていなかったクーズマだったが、「中断期間に身体と心を鍛えた」と再開シーズンへのモチベーションは高い。練習試合でも2戦目に5本の3ポイントを沈めて25得点を記録するなど印象的な活躍を披露している。15得点以上記録すれば17勝4敗とチームは今季ほぼ負け知らずで、クーズマが攻撃面でジェームズとデイビスの負担を軽減できるかが、レイカーズがリーグ制覇を達成する上での鍵となる。
35歳となり得点(7.6)、リバウンド(6.4)、ブロック(0.9)で自己最低の成績を記録しているガソルだが、その高いバスケットボールIQを生かしたプレイは依然として健在だ。数字にこそ現れないが、潤滑油としてオフェンスの流れを作り、守備ではアンカーとして機能。今季はハムストリングの怪我で28試合を欠場したものの、平均10分以上プレイするチームの主力の中で最も高いネットレイティング(+10.4)を記録するなどコートに立てば攻守に存在感を示し、チームの勝利に貢献していた。 ガソルは中断期間を好機と見て、肉体改造に着手。「最初は彼だと分からなかった」と同僚パトリック・マコーを驚かせるほど体を絞ることに成功している。12年のキャリアで最もフィットした状態で帰ってきたガソルが、全盛期並の活躍を披露できるようであれば、ラプターズはライバルたちを脅かす存在になるだろう。
今年1月に大腿四頭筋の負傷から約1年ぶりの復活を果たしたオラディポは、シーズン再開が発表された当初、リハビリに集中するため不参加を表明していたが、その後改めて再開シーズンへの参加を示唆。最終的な決断は現時点(日本時間7月29日)でまだ下していないが、26日(同27日)のマーベリックス戦で16得点、7リバウンドをマークするなど、3試合すべての練習試合に出場し、まずまずの仕上がりを見せている。 ペイサーズは、今季のリーディングスコアラーだったドマンタス・サボニスが足を負傷してオーランドのバブル(隔離地域)を離脱。シーズン欠場の可能性も指摘されるなかで、オラディポに対する期待は高まっている。2回のオールスター出場を誇る大黒柱のオラディポが参加を表明し、シーズン中断直前のセルティックス戦で見せたような活躍(27得点、7リバウンド)ができれば、ペイサーズはイーストのダークホースとなるかもしれない。
ウェスタン・カンファレンス8位のメンフィス・グリズリーズを3.5ゲーム差で追いかけるブレイザーズだが、逆転でのプレイオフ出場権獲得を予想する声が多く聞かれる。その理由はデイミアン・リラード、CJ・マッカラムと言ったスター選手を擁し、チーム全体として経験が豊富であること、そして“ボスニアン・ビースト”と称されるビッグマン、ユスフ・ヌルキッチの復帰にある。昨年3月に負った左足開放骨折という重傷により、今季はシーズンが中断するまでの全試合を欠場していたヌルキッチだったが、23日(同24日)に行われたペイサーズとの練習試合で久々の実戦復帰。出場した練習試合3戦では、平均12.0得点、8.7リバウンド、3.0アシストと頼もしい活躍を披露している。 ブレイザーズではストッパーのトレバー・アリーザがシーズン不参加となったが、昨季チーム最高のネットレイティング(10.5)を記録したヌルキッチがいればその穴は十分にカバーできるはず。7年連続となるブレイザーズのポストシーズン出場の救世主として期待されるヌルキッチは、果たしてそのプレッシャーに打ち勝つことができるか。