レジー・ミラーに憧れて。スリーポイントが僕の生きる道【アルバルク東京コラム vol.1 ザック・バランスキー】

自己紹介

みなさん、初めまして。アルバルク東京のザック・バランスキーです。アメリカ人の両親のもとで生まれた正真正銘のアメリカ人ですが、生まれも育ちも日本。この顔で普通に日本語を話すので、初めてお会いした人にはびっくりされることもあります(笑)。愛称はファーストネームのとおり「ザック」。みなさんもぜひ「ザック」と呼んでくださいね。 まずは簡単に自己紹介をさせてもらいます。本名はザック・アラン・バランスキー。6人兄弟の末っ子として生まれ、一番上の兄とは19歳年の差があります。兄姉たちからはとても可愛がられて育ったとは思うのですが、一方で、かなり雑に育てられたような気もします(笑)。

左下がザック選手

生まれは栃木県ですが、4歳から10歳まではアメリカで過ごしています。10歳で日本に戻って来た時は、日本語を一つも覚えていなくて苦労しましたね。当初は友だちもできず、いつも一人で過ごして淋しい思いもしました。でも、「もっといろんな人と話したい」と、片言ながら一生懸命コミュニケーションをとることを心がけたら、同級生たちも、徐々に受け入れてくれるようになりました。小学6年生のときにミニバス教室に通い始めたのも、実は、一番の目的は友だち作りだったんです。

新しい風を吹かせる3人の大学生プレイヤー

©ALVARK TOKYO 

さて、ここからはアルバルクの近況についてお伝えしようと思います。コロナウィルスの影響で大変な状況になっていますが、僕らは変わらず「リーグ三連覇」という目標のためにハードワークを続けています。アルバルクはBリーグ創設シーズンから、あまり選手の入れ替えがないチームですが、昨年末には一気に平岩玄、笹倉怜寿、小酒部泰暉と3人の大学生が加入しました。ヘッドコーチのルカが目指すチームスタイルに大きな変わりはありませんが、その中でも彼らはチームに新しい風を吹かせて、「何か」を持ってきてくれるんじゃないかと期待しています。 まずは玄。彼は昨季も特別指定選手としてチームにいるので、すでにかなりチームに溶け込んでいますね。(アレックス)カークやミラン(マチュワン)とも練習からバチバチやり合って、アシスタントコーチのジャレ(イゴア・ジャレティッチ)とも毎日のようにワークアウトをしています。体の強さや前向きさを武器に、いろんなものを吸収していけば、すごい選手になると思う。徐々に成長していって、いつかは日本代表を背負うような存在になってくれると期待しています。 次は小酒部。彼はまだ大学3年生ですが、大学バスケ部を退部してアルバルクに加入しました。小酒部は身体能力が高くてセンスがバツグン。まだ体が弱くて、ディフェンスのシステムを完全には理解していないのでミスもするんですけど、やろうとしている気持ちがすごく伝わってくる選手です。体ができてきたらもっともっと化けていくだろうし、早くて来年には日本代表に入るんじゃないかなって思っています。 最後に怜寿。彼の強みは、予測できないうまさですね。何をし出すかわからないんだけど、とにかくうまい。今いるガードとはひと味違うセンスを持っているし、プレーに安定感があるので、慣れたらどんどんプレータイムもが増えていくんじゃないかな。個人的には、怜寿はBリーグでは数少ない高校の後輩なので、アルバルクに来ると知った時はとてもうれしかったですね。遠征の移動では、隣の席はだいたい怜寿です(笑)。

今シーズンの振り返りとチャンピオンシップへの意気込み

©ALVARK TOKYO

彼らの加入もあって、チームはとてもいい雰囲気なのですが、僕個人はイマイチです。今シーズン開幕直前に負ったケガが完治してなくて(復帰は12月でした)、まだウエイトトレーニングは完全に別メニューで行っています。ただ、気持ちは前向きですし、焦りもありません。本当に頼りになるチームメイトばかりなので、僕が無理する必要はありませんから、じっくりとコンディションを上げていこうと思っています。今やれることを100パーセントやっていって、ルカから求められている「安定性」を取り戻して、チャンピオンシップで一番いい状態に仕上がっているのが理想です。 今回のケガは、僕のバスケキャリアにおいて初めての大きなケガでした。公式戦を欠場したのも、これが初めてです。でも、すごくいい機会を得たととらえるようにしています。ケガをしたことで、自分がプレーできるのは当たり前のことではないと感じさせられましたし、バスケットを仕事にしていることが、どれだけ幸せかを実感することができたからです。 こんなふうに思えるのは、僕がクリスチャンということもあるかもしれません。神様のおかげで今の自分があると思っていますし、「神様が見てくれている」と思うと、なんか頑張れるんですよね。バッシュには必ず「GOD IS GREAT」という文字を入れるようにしていますし、試合前の練習では、相手側のベンチに座って一人でお祈りをしています。

©ALVARK TOKYO

僕の私生活

ここからは、オフコートでの僕についてもお話させてもらいます。オフの行動は、その日の気分によって様々です。映画を見に行ったり、美術館に行ったり、ドライブして滝を見たり……。最近はラーメンにもハマっていて、両国でおいしいお店を見つけました! ファッションも大好きです。「何系」でくくるとしたら、たぶんストリートに近いのかな。マイブームは、アメリカのカートゥーンキャラクター(スポンジボブとか、リックアンドモーティとか…)を取り入れること。子どもっぽいかもしれませんが、カートゥーンは何歳になっても好きなんですよね。チームメートはわりとシンプルなコーディネートをする人が多いんですが、僕はせっかくなんだから目立ちまくって、自分の存在をアピールしたいタイプです。インスタグラムで女性がよくやるOOTDを紹介してみたいんですが…「あいつ、また同じ服を着てる」って思われるのはつらいかも(笑)。もしそういうことがあっても、みなさんは温かい目で見てくださいね(笑)

 

インスタでは、NBAプレイヤーの私服もかなりチェックします。注目しているのはやっぱりラッセル・ウェストブルック。自分のブランドを持っていて、同じ服は二度と着ないとか言っていて、「すげーな」って思ってます。たまに、アルミホイルみたいなとんでもない服を着てるのも、彼らしくて最高(笑)。僕も流行や周りの目を気にせず、いつまでも自分が好きだと思う服を着ていたいですね。 あと、僕を語る上で欠かせないのがスイーツ! 甘いものを毎日のように食べてますし、小ぶりなケーキだったら一気に8個くらい食べちゃいます(笑)。遠征でも、駅や空港でその土地のお菓子を買うのが楽しみで、特に北海道ではテンションが上がって、たくさん買い込んでしまいますね。そんなスイーツ好きが高じて、2017年には「スイーツコンシェルジュ スペシャルアンバサダー」に就任しました(同じくスイーツ好きの先輩・菊地祥平さんも一緒です)。おかげさまでいろんなスイーツを食べられて大興奮です。

大学時代から大好きだったウェイド

さて、そろそろNBAの話題に移りましょうか。今はフルゲームでNBAを見ることはほとんどないんですが、ハイライトや順位表だけはいつもチェックしています。 好きなチームはマイアミ・ヒート。マーケット大時代から大好きだったドウェイン・ウェイドが引退して悲しいし、彼がいなくなったことでチームの雰囲気がちょっと変わりましたけど、それでも応援しています。ザ・スーパースターという選手はいないけれど、それぞれが役割を果たしている感じが伝わるのがいいですよね。バム・アデバヨがめっちゃ成長して活躍しているし、ルーキーのケンドリック・ナンやタイラー・ヒーローもいい。ジミー・バトラーが来たのはかなりでかいし、アンドレ・イグダーラも入ったし、さらに楽しみが増えました。 ウェストは全チーム強すぎです(笑)。ロサンゼルス・レイカーズが久しぶりに首位にいるのは熱いですが、プレイオフ争いにも注目しています。小さい頃に応援していたメンフィス・グリズリーズに行ってほしいという思いもありつつ、デイミアン・リラードやCJ・マッカラムなど好きな選手が多いポートランド・トレイルブレイザーズも気になるし……複雑な気持ちですね。 昨年の2月初めて、NBAでプレイするウェイドを生で観戦しました。ちょうどバイウィーク(試合がない週)でまとまったオフができた上に、ウェイドがすでに引退を表明していたので、「これは絶対に見に行かなきゃ」って、すぐにチケットを買いました。コートサイドの真ん中の席でかなり高かったですけど、迷わなかったですね。間近で見たウェイドは……すごかったです。憧れの人に会って言葉が出ないってこういうことかって思いました。別に話すわけでもないのに、「わあ、ウェイドがいる!!」って子どもみたいにアガっちゃって(笑)。本当に行ってよかったです。

NBAとの出会い

僕がNBAと出会ったのは、アメリカに住んでいた4歳の頃です。今と違い、フルゲームをかなりがっつり見ていました。応援していたのは地元に近いグリズリーズと、インディアナ・ペイサーズ。レジー・ミラーがめっちゃ好きだったんです。

 

ミラーのシュートは本当にすごかった。どんな体勢でも、どんなシチュエーションでも決めるじゃないですか。あとは、なんともいえないギャップ。トラッシュトークやダーティートークも多いけれど、その分シュートはきっちり決めるし、フォームもめっちゃきれいなところに惹かれました。 ミラーにあこがれた僕は、当然シューターを目指しました。でも、本格的にバスケを始めた日本では、なかなかスリーポイントは打てませんでした。監督が、ゴール下でプレーしろと言ったからです。「俺はゴール下じゃなくてスリーを打ちたいです」って言っても「ダメだ。お前はデカいからゴール下だ」って言われて、なんかおかしいな、やりたいことと違うなと思いつつ、バスケ自体は楽しかったので「いつかスリーを打てるようにがんばろう」と思いながら練習をしていました。 高校では、監督が「長身選手であっても、留学生を相手にスリーを打てないとダメ」という考えの方だったので、ようやくスリーを打たせてもらえるようになりました。大学ではまた少しプレーエリアがインサイド寄りになりましたが、アルバルクでは再びアウトサイドシュートを求められています。入団当時のヘッドコーチが「大きな選手がたくさんいる中では、スリーポイントを得意としないと生きていけないよ」と言ってくれて、「やっと俺がスリーを打てる時代が来た!」って嬉しかったですね。今でも、僕の生きていく道はここだと思って、スリーポイントを打っています。

©ALVARK TOKYO

というわけで、僕のコラムは以上です。どうですか? 楽しんでいただけましたか? 次回登場する選手もきっと、楽しい話題を届けてくれるはずですよ! (構成:青木美帆)

ザック・バランスキー 生年月日1992年12月18日、身長:193㎝、体重:100㎏ 幼少期から日本で過ごし、東海大学卒業後にアルバルク東京の前身となるトヨタアルバルク東京に入団。幅広いプレースタイルと勝負強さ持ち合わせチームに貢献。

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