バックスのヤニス・アデトクンボが昨夏FA市場でのリクルート秘話を明かす

選手がほかのチームの選手を勧誘することが当たり前の時代になった。2016年のNBAファイナル終了後、優勝を逃したゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンは、当時FA(フリーエージェント)だったケビン・デュラントにメールを送り、チームに加入するよう勧誘。昨年にはブルックリン・ネッツのスペンサー・ディンウィディーが、夏にハーバード大学で同じマーケティングの授業を受けていたカイリー・アービングをチームと契約するよう説得している。 ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボも、チーム強化のために動いた1人だ。『The Athletic』のエリック・ネム記者に対し、昨夏自身が取ったリクルート行為の裏側を明かした。 アデトクンボは「(勧誘するのは)好きではないんだ。ジョン(ホーストGM)や、コーチ・バド(ブーデンホルザーHC)がやるような仕事でお金をもらっているわけではないしね」と勧誘に前向きではないとしつつも、「1、2年前なら『コーチに任せたよ』と言っていた」と状況は変わったと語っている。 心境の変化は、昨シーズンのチームにおける主軸の1人、マルコム・ブログドンがインディアナ・ペイサーズに移籍してしまったことが影響していたようだ。 戦力低下を危惧したアデトクンボが、チームのため最初に勧誘したのが、3&Dプレイヤーとして活躍するウェスリー・マシューズだった。マシューズはアデトクンボに「あなたは素晴らしい選手でリングを勝ち取る必要がある。そしてそれはミルウォーキーで達成出来る」と言われたことがバックス加入の決め手になったと語っている。 「僕にとってそれはとても重要な言葉だった。アスリートだけじゃなく、働いてる人はみんなそうだと思うけど、同僚に評価されることは大きな意味を持つ。メディアとかではない。共に戦う仲間、もしくは敵となる人たちからリスペクトを得ることが、この世界においてはすべてなんだ」 マシューズの次にアデトクンボがコンタクトを取ったのは、シューターのカイル・コーバー。電話で直接コーバーに連絡したアデトクンボだったが、その後偶然同じ施設でトレーニングを行うことになり、そこで改めてリクルートした。 「一緒に練習を始めたんだけど、そこで僕は『カイル、こうやって僕が君のオープンショットを作り出すよ』という感じで、これも出来る、あれも出来るって話していたんだ」とアデトクンボはその時を振り返っている。 「彼に『親友のアル・ホーフォードとフィリー(76ers)でプレイしたいんだろうけど、僕とならこんなに簡単にシュートできるよ』って言ったら彼は喜んでいたよ」 アデトクンボの尽力もあって戦力を保つことに成功したバックスは、今シーズン絶好調だ。現在52勝9敗と、シーズン70勝に届くかという勢いでイースタン・カンファレンス首位を独走している。 4月から始まるプレイオフでは、アデトクンボへのマークがさらに厳しくなることが予想されるだけに、マシューズ、コーバーといったシューターの存在がさらに重要になってくるだろう。今シーズン加入したベテラン勢が期待通りに輝くことができれば、バックスのファイナル進出も見えてくるはずだ。

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