NBAサマーリーグが日本時間7月7日(現地6日)に開幕する。先日ドラフトされたルーキーたちや躍進を期す若手選手、そしてNBA入りを目指す選手たちなどが実力をアピールする場となるが、その中で人一倍注目を浴びるのはブロニー・ジェームズだろう。 ドラフト全体2巡目55位で、父レブロンが所属するロサンゼルス・レイカーズに指名されたブロニー。その後、2ウェイ契約や無保証契約を結ぶケースが珍しくない2巡目下位指名ながら、チームとは790万ドルが保証された4年のNBA本契約を締結している。
大学1年生だった昨季は、開幕前にあった心停止からの治療明けということもあり、平均4.8点、2.8リバウンド、2.1アシストと低調な成績に終わった。ドラフトされたこと自体が過大評価という声もあるが、レイカーズの新ヘッドコーチとなったJJ・レディックは「ロブ(ペリンカGM)と私は何もブロニーに与えてない。彼は自分のハードワークでこの契約を勝ち取った」と疑いの声を一掃。さらに「バスケセンス、身体能力、ディフェンス、シュート、パスなど高い素質を持っている」と期待も口にしている。 父が偉大すぎるが故に話題が先行するブロニーだが、選手としての能力は実際のところどういったものか。現時点で最も評価されているのは、ディフェンダーとしてのポテンシャルだ。身長187cmに対して201cmと長いウィングスパンを有し、足元の俊敏性やボールに対する反応には定評があるなど、マンツーマンとオフ・ザ・ボールの両面で評価されている。自身の比較対象としてドリュー・ホリデーやデリック・ホワイト(ともにボストン・セルティックス)、そしてデイビオン・ミッチェル(トロント・ラプターズ)といった好ディフェンダーを挙げていることからも、本人もそこはストロングポイントとして認識している部分だろう。
その反面、オフェンス能力は未知数と言わざるを得ない。体調面で問題のなかった高校最終年も、平均14.2点、2.4アシストと頭抜けた数字は残せておらず。特に昨季成功率が26.7%だった3ポイントは間違いなく今後の課題だ。コンバインで行われた3ポイントのシューティング・ドリルでは25本中19本成功と参加選手中2番目に良い成功率で決めたが、それをNBAのフロアで実証できるかがキャリアの行方を左右すると言っても過言ではない。 NBA初の親子共演が期待されるが、「よく聞かれるけど特に父と一緒にプレイすることについては考えていない。ただ、毎日成長していきたい」と本人は至って謙虚だ。同時に「ものすごいプレッシャーを感じている。SNS上では相応しくはないとか言われているけど、これは初めてではない。適応できるよ」と結果を残す重要性も理解している。現時点ではシーズンの大半をGリーグで過ごす見込みだが、まずはサマーリーグでどんなプレイを見せてくれるのか見ものだ。
サマーリーグで注目なのは、もちろんブロニーだけではない。ドラフト1位指名のザッカリー・リザシェイ(アトランタ・ホークス)と、2位指名のアレックス・サー(ワシントン・ウィザーズ)のフランス人コンビも見逃せない。 リザシェイは持ち味のシュート力に加えて複数ポジションをカバーできる万能性が魅力のウィング。先日デジャンテ・マレーを放出したホークスが懸ける期待も大きく、サマーリーグからインパクトを残すことが求められる。 ディフェンシブ・レーティング(118.9/リーグ28位)と、平均失点(123/リーグ最下位)で下位に沈んだウィザーズの救世主候補がサーだ。身長213cm、ウィングスパン223.5cmとサイズは申し分なく、同郷であり昨季新人王のビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)のようになる可能性も秘めている。 その他にも魅力的な若手選手が出場予定のサマーリーグ。新シーズンより一足先に、未来のスターたちのプレイを是非チェックしてほしい。