【NBA Rakuten解説者インタビュー】大宮宏正さん「日本人の力でもNBAとの距離を縮められる」

1月30日(火)のフェニックス・サンズ対マイアミ・ヒート戦で「NBA Rakuten」の解説に初登場いただいた大宮宏正さんにインタビュー。大宮さんは専修大学を卒業後、1年間のアメリカ挑戦を経て、2007年に三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ(現名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)でプロキャリアをスタート。その後、7チームを渡り歩き、2022-23シーズンを最後に現役引退を表明した。2006年には日本代表にも選出されている大宮さんに、アメリカでの経験や、NBAの見どころなどについて聞いた。※インタビューはサンズ対ヒート戦の解説後に実施。

意識するのは聞き手が分かりやすい言葉選び

――本日はお疲れ様でした。NBAの解説は初めてということだったんですが、いかがでしたか? 大宮: NBAのコアファンの方ってたくさんいらっしゃいますよね。僕はBリーグ観戦はしないNBAマニアのみなさんと喧嘩をしに来ました。というのは完全に冗談ですが(笑)、自分の話したいことをそのまま伝えに来ました。 ――解説をするにあたり意識していたことはありますか? 大宮:僕はバスケットボール一筋でやってきてしまったので、事象を言語化するのが上手くいかずの所があります。なので思ったことを分かりやすくなるべく短く伝えることを意識しました。 ただ、バスケットボールはどうしても抽象的な表現になってしまいがちです。なので、目をつぶっていても状況が分かるような加藤さん(当日実況担当の加藤暁さん)の実況に、僕が付け足しをできれば良いなと思っていましたが、中々そこには至りませんね。

衝撃続きの海外挑戦

――専修大学を卒業された後に、NBAのキャンプに参加されていたんですよね? 大宮:はい。サマーリーグのキャンプに参加できるチャンスを得まして、ロサンゼルス・クリッパーズの若手1次キャンプに飛び込みました。ドラフトされた若手選手メインのチームで、ショーン・リビングストン、クリス・ケイマンなどがいる中、バスに乗り込んだあの時の物々しい雰囲気は忘れられません。「いったいどこに俺はつれて行かれるの…?」と(笑)。怖かったですね。 ――その時、他に日本人はいたんですか? 大宮:僕1人でした。アジアの選手はいませんでしたね。当日の午前、午後とやって、僕は2日目の午前中にカットされました。一言で言うとパスがきませんでしたね。 ――その時の参加者はどれくらいだったんですか? 大宮:20人ほどでした。サマーリーグといえハイレベルなキャンプでしたね。カットされた翌日、フェニックスのシュートアラウンドに参加できると連絡を受け、伝えられた場所に行きましたが、体育館に人影はなく。連絡をビクビクしながら待っていると1時間後に電話が来て、「すまん、チームの試合内容が悪すぎてアリゾナに急遽飛行機で帰ったから参加は無し」と伝えられました。 ただ、この瞬間僕はホッとしてしまったんです。「俺のチャンスをどうしてくれるんだ」ではなく、「良かった」と思ってしまいました。22歳の僕はメンタルは子供でしたね。 ――先ほどの「怖かった」を具体的に言うと、どういう意味ですか? 大宮:未知にビビってました。僕は身長197cm、体重86kgぐらいだったんですけど、マッチアップする人が2メートル、130kgみたいなやつなんで(笑)。 そこに、コーリー・マゲッティも参加していました。デューク大で初めてアーリーエントリーをした選手の1人ですね(もう1人はエルトン・ブランド)。何故か彼とマッチアップできたんですが、とにかくムキムキのフィジカルモンスターで、交通事故かと思うアタックを受けました。一歩も動けないという良い経験をさせてもらいました。 ――当時の専修大学にも素晴らしい選手が多く揃っていたと思うんですけど、感じたことがないものでしたか? 大宮:そのレベルではありませんでした。そのとき自分にはバスケットの知識が少なすぎると気付きました。能力任せだった事に気付かされましたね。 今思い出しましたが、レイカーズの練習会場に呼ばれてフィル・ジャクソンの前でトライアウトをさせてもらった凄い経験もありました。僕とDリーグ(現Gリーグ)の選手とルーキーの選手。そこにもう1人練習生を入れて2対2をしました。 ――その時はフィル・ジャクソンとは絡みはありましたか? 大宮:正直に言うと、緊張で何をやったかは細かく覚えていないんですけど、体力テストをさせられましたね。その時に同じ身長のアメリカ人と1.5倍くらいウイングスパンの長さが違ったので、その時点でちょっと難しいだろうなと思っていました。ただ、ジャンプ力だけは「おぉ!」となって、それだけは通用するなと自信になりましたね。 そして帰り際に、パッと拾ったボールを見たら、レイカーズの体育館にクリッパーズと書いてあるボールがあったんです。それをフィル・ジャクソンに渡したら「何だこれ。やるよ」と言われて、そのボールを今も持ってます(笑)。本当いい思い出ですね。 ――ちなみにその参加されたキャンプで一番印象に残っているのはマゲッティですか? 大宮:ショーン・リビングストンですね。彼がルーキーの時で、ちょっと足首を捻挫しただったか、大してプレイしなかったんですけど、1ドリブルで信じられない幅を一瞬で作ったら、ジャンプシュートを打つんです。それが高すぎて、今で言うKD(ケビン・デュラント)みたいな雰囲気がありましたね。 あとパスが上手かったんですよ。本能的に痺れるようなパスを繰り出していたんで震えましたね。マゲッティは違います。速くて跳べて強いお相撲さんでした。あれがまさにモンスターです(笑)。

ドンチッチがボールを持つとワクワクする

――シーズン後半戦で、注目しているチームはありますか? 大宮:今年はインディアナですかね。この間のインシーズン・トーナメントがあったじゃないですか。面白くなかったですか? ワクワクしましたよね。怪我でタイリース・ハリバートンがいなくても、全員アタックのバスケットが楽しかったですね。思い切りもいいし。 まあディフェンスはワーストレベルですけどね(笑)。僕はどちらかと言えばディフェンスに重きを置いているんですけど、(ペイサーズのスタイルが)NBA的には一番面白いんじゃないかなと思います。 そしてあとウォリアーズが、プレイオフに出られないかもしれないっていう状況ですよね。考えているのは、苦しんでるウォリアーズが8位でなんとかポストシーズンに進出して、気づいたら勝ち上がってきているみたいな展開が見てみたいですね。 ――選手個人にフォーカスした時、誰か注目している人はいますか? 大宮:やはりルカ・ドンチッチです。彼がボールを持つとワクワクします。彼は特別なんですよね。 子どもたちに教えるムーブで特に参考にしています。彼は相手の重心をずらすのがものすごく上手い。基礎力の塊だと思います。ルカはムーブが遅いと言われますが、遅いんじゃないんです。減速力がトップの選手なんです。それによってディフェンスを硬直させる時間を長く作ることができるわけです。これは参考になると思って見入ってしまいますね。 ――今季の八村塁選手の印象を教えてください。 大宮:鼻を骨折したり不運な怪我はありましたけど、周囲が騒ぐほど僕は全然心配していないです。僕はNBAをずっと見続けてきたとかじゃないんですけど、彼はものすごくキャラがいいじゃないですか。それがレイカーズにも浸透していると思うんですよね。プレイタイムには現れてないかもしれないですけど、レイカーズの一員ってだけでもおかしいんですよ(笑)。 アメリカの大学のトップ選手だって、あそこに入れるとは限らないわけじゃないですか。だからもう突き進んでほしい。今の活躍以上のポテンシャル彼は持ってるので。ディフェンスはどうだとか言われますけど、NBAでは正直そこまで大きくないのに、守れるじゃないですか。伸び代たっぷりで、心配ないですね。後半戦、すごい活躍をしますよって予言しておきます。 ――渡邊雄太選手についてはいかがですか? 大宮:現在、三遠ネオフェニックスのスキルコーチをしている大村将基君から教えてもらった話ですが、渡邊選手は統括力や周りを包む言葉の力があり、八村選手は口を開けば皆が目を向けるという期待感があると聞きました。 正直NBAでは八村選手より苦しい立場にいると思うんです。ただそういった話を聞いて、八村選手も含めてですけど、彼ら2人は(NBAの)チームに絶対にいることができるという確信を持っているんですよね。例え今がダメになったとしても欲しがるチームは絶対にあります。だから出場機会に恵まれなかった時期も、僕は不安に思っていなかったんですよね。彼のハードワークはいつ観ても震えますし、僕は彼に勇気を貰っています。 ――最後に今シーズンのNBAにキャッチコピーをつけるとしたらなんでしょうか? 大宮:「Break The Border」、Bリーグのスローガンにもなっていましたが、今NBAは更にインターナショナル。アメリカ人もおちおちしていられませんよね。日本人が太平洋の長い距離を自ら縮めてくれました。まさにこれだと思います。

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