現在イースタン・カンファレンス14位に位置するデトロイト・ピストンズ(9勝31敗)だが、年明け以降の7戦で4勝と調子が上向いている。若手を軸に再建を図るチームの中で際立つ存在感を放っているのが、今季のドラフト1位指名ルーキー、ケイド・カニングハムだ。 日本時間1月11日(同10日)には自己最多となる29点を挙げ、ウェスタン・カンファレンス4位の強豪ユタ・ジャズ撃破に貢献。安全衛生プロトコル入りしたドウェイン・ケイシーHC(ヘッドコーチ)の代理を務めるレックス・カラミアンAC(アシスタントコーチ)は、20歳ながらチームを引っ張るカニングハムを「すごい活躍だった。彼のプレイメイクや積極性が、このチームの助けになる」と称賛。同僚サディック・ベイも「彼は確実に成長している。試合中に話したことを着実に遂行し、勝利のためにチームを正しい方向に導いてくれる」とその成長ぶりに目を細めた。 プレシーズン中に負った足首の怪我で、シーズン開幕に出遅れたカニングハム。5戦目で公式戦デビューとなったが最初の5試合はFG成功率28.4%と深刻なシュートスランプに陥り、“バスト(期待外れ)”と揶揄する声もあった。しかし、そこから徐々にプロの水にも慣れ、12月以降は平均17.1点、6.2アシスト、FG成功率41.0%、3ポイント成功率38.1%とドラ1の評価に違わぬ活躍を披露。ここまで20点、5アシスト以上をルーキー最多の5回記録するなど、持ち味の高い得点力とプレイメイク力を随所で発揮している。 開幕当初は蚊帳の外だった新人王争いにも、最近では有力候補として頻繁に名前が上がるようになった。『NBA.com』がウィークリーで新人を格付けする「Rookie Ladder」の最新順位では、エバン・モーブリー(クリーブランド・キャバリアーズ)に次ぐ2位にランクイン。今季はモーブリー以外にもスコッティ・バーンズ(トロント・ラプターズ)、フランツ・バグナー(オーランド・マジック)といった実力のあるルーキーが豊富なため熾烈な戦いとなるが、新人王獲得に向けて今後さらに調子を上げていくことが期待される。 そんなカニングハムは15日(同14日)、ホームのリトル・シーザーズ・アリーナで渡邊雄太が所属するラプターズ(20勝18敗)と対戦する。ラプターズはフレッド・バンブリートが直近9戦で平均29.6点と絶好調で、11日にはキャリア初の週間MVPを受賞。リーダーの大活躍もあり、チームも12日(同11日)のフェニックス・サンズ戦で敗れるまで6連勝を記録していた。 ラプターズはリーチが長い選手を多く揃え、ターンオーバー誘発率がリーグで2番目に高い。ひざを怪我しているバーンズとの新人対決実現の可能性は微妙だが、カニングハムにとってクリエイターとしての真価が問われる一戦となるだろう。持ち前の技術を駆使した身体能力に頼らないプレイで、チームをホーム4連勝に導けるか。