フィラデルフィア・76ers(以下、シクサーズ)のジョエル・エンビードとデンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチは、今季のMVP候補に挙げられる活躍を見せている。現役時代に怪物センターとして名を馳せ、殿堂入りも果たしているシャキール・オニールは、“エンビード派”のようだ。 エンビードはNBA7年目の今季、開幕からエンジン全開。インサイドを支配し、シクサーズがイースタン・カンファレンス首位争いをする原動力となってきた。オールスター後に左膝の骨挫傷で約1カ月離脱するなど計19試合を欠場したが、リーグ3位相当の平均29.2得点、同10位の10.8リバウンド、3.0アシスト、シュート成功率51.1%と充実の内容だ。 一方のヨキッチは、6年目を迎えてオールラウンダーぶりにいっそう磨きがかかった。平均26.2得点は自己ベストを大きく上回り、リーグ11位にランクイン。同9位の10.9リバウンド、同6位の8.6アシストを挙げ、トリプルダブルもリーグ2位の計15回をマークしている。相棒のジャマール・マレーが左膝前十字靭帯断裂で今季絶望となったなかでも、チームを牽引している。 『NBA.com』の最新MVPレース予想では、ヨキッチが7週連続で1位、エンビードが2位を維持しているが、2000年にMVPを獲得した経験を持つシャックは、僅差でエンビード優勢と考えているようだ。『TNT』の番組『Inside the NBA』でこのように主張している。 「俺は今すぐMVPをジョエル・エンビードに与える。彼は本来すべきプレイをしている。リバウンドを牽引し、インサイドでのプレイを楽しんでいる。PPG(平均得点)はジョーカー(ヨキッチの愛称)以上だ。ジョエル・エンビードのほうがわずかにいい。彼を『10』としたら、ジョーカーは9.9762541だ。非常に肉薄している」 そして、改めてアピールするかのように、ポッドキャスト『All The Smoke』の最新エピソードで現在のリーグトップ5プレイヤーを選ぶ際にも、センターにはエンビードの名前を挙げた。 「ステフ(ステフィン・カリー)、デイム(デイミアン・リラード)、KD(ケビン・デュラント)、レブロン(ジェームズ)、ジョエル(エンビード)だ」 過去には、ビル・ウォルトンが1977-78シーズン(平均18.9得点、13.2リバウンド、5.0アシスト、1.0スティール、2.5ブロック)に24試合を欠場しながらMVPに輝いた例はあるが、果たして混戦の今季MVPは誰の手に渡るのだろうか。