ドキュメンタリーの公開に伴い、マイケル・ジョーダンが再び注目されている。超人的なプレイの数々、何度頂点に立っても衰えることのない勝利への渇望、体調不良でも結果を残す集中力、局面での勝負強さから、多くの識者がG.O.A.T.(Greatest Of All Time、史上最強)と称する、バスケットボールの神様だ。 そんなジョーダンが輝きを放っていたのが90年代である。ライバルたちとの名勝負があったからこそ、その輝きは一層際立つというものだ。90年代を初期・中期・後期と分けて、ジョーダンとライバルのストーリーを紹介しよう。
91年、ジョーダンにとって初めてファイナルで対戦したのが、マジック・ジョンソン率いるロサンゼルス・レイカーズだった。1979年にNBA入りしたマジックは、PGからセンターまでこなすオールラウンドな能力を武器に、チームに黄金期をもたらした。80年から89年にかけて5度チャンピオンに輝き、ファイナルMVPにも3度(80、82、87年)輝くなど、まさに80年代のNBAを代表する存在だった。 マジックにとっては88年以来3年ぶりの頂点を目指す戦い。一方、ジョーダンはキャリア7年目にして初の大舞台。前評判は、経験豊富なレイカーズに分があるとの声が強かった。しかし、ジョーダンはそうした予想を覆す。初戦こそ逆転負けを喫したものの、続く第2戦からはブルズがレイカーズを圧倒。第2戦で沈めた滞空時間の長いダブルクラッチは、長いキャリアの中でも名場面のひとつに挙げられるほど。そして第4戦まで3連勝し、ついに王手をかけたのだった。 無論、マジックも黙ってはいなかった。主力がケガにより相次いで離脱していく中、第5戦では残されたメンバーを巧みに操り、第3Q終了時点で80-80の同点という好勝負を演じる。その後もマジックとジョーダンは互いに意地を見せつけ合う中、勝負を決めたのは意外な伏兵だった――。 なお、この試合でジョーダンとマジックはともに48分プレイ。1秒たりとも休まず、コートに立ち続けた。ブルズが歓喜の時を迎えると、マジックはジョーダンに近づき優勝を祝福。その後、マジックは引退を発表し、ジョーダンは93年まで連覇を続けることとなる。この一戦で、世代交代というバトンタッチが行なわれたと言っても過言ではないだろう。
「NBA Rakuten」では、今回紹介したブルズとレイカーズによる1991年のファイナル第5戦を、5月2日(土)15時から配信している。その他の配信試合については下記を参照。