「そろそろNBAの一番上が見たい」 自身初のNBA制覇に向けて、新シーズンの決意を語った八村塁の6年目がいよいよ始まる。これまでNBAで6シーズン戦ってきた渡邊雄太は日本のBリーグに舞台を移したが、今年はロサンゼルス・レイカーズに所属する八村と、メンフィス・グリズリーズと2ウェイ契約を結んだ河村勇輝の2人(Gリーグ、インディアナ・マッドアンツの富永啓生がNBAに昇格すれば3人)が日本人として世界最高峰の舞台でシーズンを戦う。 八村擁するレイカーズの開幕戦は日本時間23日、ホームのクリプトドットコム・アリーナにミネソタ・ティンバーウルブズを迎えて行われる。
今季のレイカーズは、NBAで15シーズンをプレイし引退後は解説者として活躍していたJJ・レディックを新指揮官に招聘した。八村にとってNBAで4人目のHC(ヘッドコーチ)となるレディックHCは、就任後に出演したポッドキャスト番組で「昨季23勝10敗のユニットが先発の5人になるだろう」と八村の先発起用を明言し、プレシーズンでもプレイした4試合すべてで先発出場。ラスト2戦はふくらはぎの張りで欠場したものの、レディックHCは軽傷を強調しており開幕戦でもスターティングメンバーに名を連ねると見られている。 昨季自己最多の68試合に出場し平均13.6点と、2年目に記録した13.8点に次ぐ平均得点をマークした八村。ただ、スターターとして出場した39試合では平均15.4点で、3月以降に限ると平均17.0点まで跳ね上がるなど躍進を見せた。レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビスに次ぐサードオプションとしての役割も増えたが、レディックHCは「塁に期待することは、もっと3ポイントを打つこととオフェンシブリバウンド」と語っており、これまで以上に高いレベルでのプレイを求めている。 昨季42.2%とリーグ12位の成功率を誇った3ポイントは、ジェームズとデイビスといった個で打開できるダブルエース擁するレイカーズにとってオフェンス時のスペーシングの面でも非常に大きなファクターとなってくる。そしてもう一つ、レディックHCはリバウンド面でも「エリートなオフェンシブリバウンダーになれる」と八村に期待をかけている。 レイカーズは昨季オフェンシブリバウンドが平均8.2本、オフェンシブリバウンドから生まれた得点も平均10.5点と、ともにリーグ最下位でチームの課題の一つとなっていた。年々プレイエリアがアウトサイドに広がっているとはいえ、ルーキー時代には自己最多の平均1.6本のオフェンシブリバウンドを獲得していた八村だけに、より積極的にリバウンドに絡み課題解決に一役買いところだ。 プレシーズンでも短い出場時間ながら、昨季のレギュラーシーズンを上回る3ポイント試投数とオフェンシブリバウンドを記録し、レディックHCの求める姿を体現する姿勢を見せている。さらに今季からワシントン・ウィザーズ時代のHCとしてNBA入り直後の2シーズン八村を見てきた、スコット・ブルックスがレイカーズのアシスタントコーチに就任した。自身をよく知るコーチの加入も八村にとっては心強い変化の一つといえるだろう。
昨季47勝35敗でウェスタン・カンファレンス8位となったレイカーズだが、プレイオフでは第2シードのデンバー・ナゲッツに1勝4敗と敗北しシーズンを終えた。今季はトーリアン・プリンス、スペンサー・ディンウィディーといったロールプレイヤーが移籍したものの、その他の主力組は残留しチームとしての継続性・ケミストリーといった面ではさほど心配はないだろう。 ただ、まだまだ第一線で活躍しているとはいえジェームズは39歳。デイビスも昨季こそ健康体を維持したがケガの不安がつきまとうことは事実であり、この2人の負担を減らすためにも八村をはじめディアンジェロ・ラッセル、オースティン・リーブスといった選手の活躍が昨季以上に重要となってくるだろう。 対するウルブズは、2020年のドラフト全体1位で“次世代のスター”と目されるアンソニー・エドワーズを中心に、昨季ウェスト3位の56勝26敗という好成績を残すと、実に20年ぶりとなるカンファレンス決勝にコマを進める大躍進を遂げた。フランチャイズ初のファイナル進出を狙う今季は、オフシーズンに大きな動きを見せている。 2015年にドラフト全体1位で指名されてから、9年間チームの顔としてウルブズを牽引してきたカール・アンソニー・タウンズを3チーム間のトレードでニューヨーク・ニックスに放出。代わりにニックスで先発を務めたジュリアス・ランドルと、ドンテ・ディビンチェンゾを獲得したのだ。 チーム2位の平均得点を記録していたタウンズの穴は決して小さくないが、平均24.0点を挙げオールスターに選出(本戦はケガで欠場)される活躍を見せていたランドルと、平均15.5点、3ポイント成功率40.1%と軒並みキャリアハイの数字を残したディビンチェンゾの加入はチーム全体の底上げに繋がるだろう。毎年恒例のGM調査によるウェスタン・カンファレンスのランキングでも、ウルブズは2位となりトレード後も高く評価されている。 レディックHCのもと2020年以来5年ぶり、18度目のNBA王者を目指すレイカーズか。大型トレードを敢行し、悲願のファイナル進出を目指すウルブズか。開幕戦に勝利しどちらが最高のスタートダッシュを切ることができるのか注目だ。
実況:加藤暁 解説:佐々木クリス ゲスト:MANATO(BE:FIRST) 視聴にはNBA Rakutenの会員登録が必要ですが(楽天IDでログインするのみ)、視聴プランのご購入や楽天モバイルのご契約は不要です。※試合の配信は予告なく中止となる可能性があります。