リーグトップのボストン・セルティックスを牽引している1人がジェイソン・テイタムだ。今季は平均26.9点、8.5リバウンド、4.8アシスト、FG成功率47.5%、3ポイント成功率36.4%を記録し、個人としても申し分のないスタッツを残している。しかし、シーズン中に発表されるMVP予想ではトップ3位内にランクインすることがない。100人のメディア関係者(各チームが本拠とする地域から最低2人ずつ選出)に調査して発表している『ESPN』のティム・ボンテンプス記者による最新のランキングでも、二コラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(オクラホマシティ・サンダー)、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)、ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)、カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)に次ぐ6位だった。 そうした状況に声を上げたのが、ゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンだ。自身のポッドキャスト番組で、近年のMVP受賞者にはあった基準がテイタムには適用されていないと主張している。 「MVPレースの基準が劇的に変わってしまった。セルティックスが2位に7.5ゲーム差をつけて首位に立っているのに、テイタムは5位にいるんだ(※実際には6位)。優勝するまでMVPとして扱われないのだろう。ヨキッチ、アデトクンボ、エンビードらはそうじゃなかった。JTにだけそのような基準が適用されるのは理解できないね」 ヨキッチは昨季優勝する前に2度(2021、2022年)、アデトクンボも2021年に優勝する前に2度(2019、2020年)、エンビードもカンファレンス決勝に進出した経験がないものの2023年にMVPを受賞している。一方でテイタムは、キャリア最初の6シーズンでカンファレンス決勝に4度、NBAファイナルに1度出場している。 なおテイタムは2021年に出場したNBAファイナルで、ウォリアーズに敗れている。グリーンはその時の敗戦がネガティブな心証を与えたのではないかと推測。その上で、「だとすればそれは酷な話。なぜこの投票で後れを取っているのか分からないよ。セルティックスはいいチームだ」とコメントしている。 そうした状況を踏まえてテイタムが真のMVP候補として扱われるためには、やはり「優勝するしかない」とグリーンは語った。チームとしても個人としても十分な結果を残しているテイタムにチャンピオンの称号が加わった時、MVPはもちろん、他のスーパースターと一線を画す存在として認識されるようになるのかもしれない。