NBAは2023-24シーズンから新たなCBA(労使協定)が適用されたことで、シーズンMVPやオールNBAチーム選出のためには、レギュラーシーズン82試合のうち最低でも65試合以上に出場しなければならない。これが選手たちを傷つける要因になると、ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)が見解を述べている。『デンバー・ポスト』のベネット・デュランド記者が伝えた。 顕著な例に挙がるのが、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)だ。エンビードは今季、リーグトップ相当の平均35.3得点、11.3リバウンド、5.7アシスト、1.1スティール、1.8ブロック、フィールドゴール成功率53.3%とMVPの成績を記録。その一方で、半月板を負傷した左膝の手術を受けるなど出場試合数は「34」とオールスター前に20試合を欠場し、シーズンMVPやオールNBAなど個人賞受賞の条件である65試合出場を満たせなくなった。 2021、22年に2年連続でMVPに輝いているヨキッチは、「たとえ怪我をしていても、選手にプレイすることを強いているのは間違いない。ジョエル(エンビード)に起こったことを見たけど、それはリーグが望んでいること。ただ、僕はそれが好きではない。何かを成し遂げたい時、怪我をしていても選手にプレイを強要することになる」と語っている。 「もちろん、どんな賞であれ、手にするためにはシーズンでかなりの試合をプレイしなければならないと思っている。でも、65試合は少し厳しすぎるかもしれない」 この新ルールに関しては、そのほかの選手からも否定的な声が上がっている。デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)が「タフな状況だ。常に最高のものを提供するのがリーグの目的だが、同時に人々を守ろうとしている。みんな選手のプレイを見たいのが現実だからね」とコメントすれば、カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)も「選手をより長くコートに立たせようとしているだけだ。このルールが負傷した選手をプレイさせるものなのか、それともその逆なのか、分からないと以前に発言した。何のためのルールかはNBAに聞かないと分からないが、彼らは選手にプレイしてほしいだけなんだ。それはビジネスであり、ギャンブルのようなものだ」と選手にとっては厳しい条件だと示唆した。 出場試合を制限するロードマネジメントの取り締まりも強化されるなかで、選手たちに怪我人が続出する事態は避けたいところだ。