最新パワーランキングを発表。シーディングゲームをリードするのは?【杉浦大介コラム vol.29】

今回のコラムでは、スクリメージ(練習試合)のパフォーマンスや各チームの近況を鑑みつつ、筆者独自のパワーランキングを作成した。登場するチームはシーディングゲームに出場する22チームで、ランキングは東西カンファレンス別。再開シーズンの観戦にお役立ていただければ幸いである。

【イースタン・カンファレンス】

1位:ミルウォーキー・バックス 練習試合ではヤニス・アデトクンボ、クリス・ミドルトン、ブルック・ロペスといった主力は、ひとまず順調に見えた。新型コロナ陽性で心配されたエリック・ブレッドソーもすでに合流。懸念材料はほとんど見当たらず、“ファイナル進出以外はすべて失敗”の戦いがもうすぐ始まる。 2位:トロント・ラプターズ シーズンを通して故障者に悩まされてきた昨季王者だが、中断期間のおかげでついにチーム全体が健康体に戻った。ベテランの多いロスターはうまくコンディションを整えてくるはず。“王者の心(The Heart of a Champion)”は見くびられるべきではなく、今季もやはりバックスにとって最大の脅威か。 3位:マイアミ・ヒート 仕事人的なタレントを数多く擁し、“東のダークホース”に推す声が多い。新型コロナ陽性のバム・アデバヨもシーズン再開には間に合い、今季はバックスに2戦2勝という相性の良さも不気味。評判の良いエリック・スポールストラHC、勝負強いジミー・バトラーに導かれ、プレイオフで旋風を起こすかもしれない。 4位:ボストン・セルティックス ペリメーターに多くの武器を持っており、ポール・ピアース、ケンドリック・パーキンスといったOBたちは「セルティックスこそがバックスの対抗馬」と強気だ。左ヒザを痛めていたケンバ・ウォーカーも練習試合では良い動きだった。ただ、サイズ不足という弱点が気にかかる。上位進出のために、オールスター後は絶好調だったジェイソン・テイタムの活躍は不可欠だろう。

懸念事項がないバックスと健康を取り戻したラプターズ。順調に勝ち進めばカンファレンス決勝で対峙する

5位:フィラデルフィア・76ers リーグ屈指のパワーハウスながら、今季はケミストリー不足ゆえに停滞していた。しかし、潜在能力と守備力の高さに疑問の余地はなく、その可能性を買う声は消えない。故障から回復したジョエル・エンビード、PFでの起用が話題になっているベン・シモンズが爆発すれば一気に怖い存在になる。 6位:インディアナ・ペイサーズ 今季オールスターにも出場したドマンタス・サボニスが、左足のケガで離脱したのは痛恨としか言い様がない。まだ復帰の可能性もあるというが、短期間でコンディションを戻せるか疑問符がつく。参加を迷ったビクター・オラディポの練習試合での出来は良かったが、浮上は厳しそうだ。 7位:オーランド・マジック 期待度は低いが、実は数多くのタレントを抱えているのがマジックだ。故障を患っていたジョナサン・アイザック、マーケル・フルツも復帰し、ニコラ・ブーチェビッチ、アーロン・ゴードン、エバン・フォー二エ、テレンス・ロスなど生きの良いメンバーが揃う。プレイオフ第1ラウンドの突破は難しいかもしれないが、ネッツを抜いて7位浮上は望めそうだ。 8位:ブルックリン・ネッツ カイリー・アービング、ケビン・デュラント、スペンサー・ディンウィディーを欠く陣容ではポストシーズンでの勝利は厳しく、なんとかプレイオフ圏内に残るのがやっとだろう。層が薄くなったメンバーの中で、注目はキャリス・ルバートの働き。25歳のルバートがスター候補らしいプレイを見せてくれれば、来季以降を睨むネッツにとっては大きな収穫となるはずだ。 9位:ワシントン・ウィザーズ 練習試合ではクリッパーズ、レイカーズと接戦を演じたが、結局は3連敗を喫した。ブラッドリー・ビール、ダービス・ベルターンズの不在もあって、得意のはずの3ポイントもこの3戦では成功率30%以下と不振。現状では全22チーム中最下位の実力と評価されても仕方あるまい。ただ、再開後、サンズ、ネッツと対戦する最初の2戦で勢いをつければ、まだプレイイン・トーナメント進出の希望はある。

ウィザーズでエースの役割を務める八村塁。プレイイン・トーナメントに進むためにも、最初の2戦が肝心となる

【ウェスタン・カンファレンス】

1位:ロサンゼルス・レイカーズ レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビスが引っ張るチームの目標は優勝以外にあり得ないが、不安材料もある。エイブリー・ブラッドリーが家族の事情、ラジョン・ロンドがケガで離脱。層がやや薄くなったチーム内で、練習試合の2戦目ではチーム最多の25得点を挙げたカイル・クーズマの奮起に期待がかかる。 2位:ロサンゼルス・クリッパーズ   諸事情で多くの選手の合流が遅れ、中でもバブルから出た際の行動でNBAから調査を受けたルー・ウィリアムズは、シーズン再開に間に合わないことが確定した。練習試合のウィザーズ戦ではカワイ・レナードの動きの悪さが目に付くなど、全体的に調整の遅れは否めない。もっとも、レナード、ポール・ジョージが牽引するチームは徐々に体勢を整えてくるはず。総合力ではレイカーズより上と見る関係者も少なくない。 3位:ヒューストン・ロケッツ ジェームズ・ハーデンの合流が遅れ、ラッセル・ウェストブルックの新型コロナ陽性が発覚し、ファンを心配させた。しかし練習試合ではともに好調。センターを置かないラインナップの先行きを読むのは難しいが、意外性があるだけに、どの強豪チームも内心ではできれば対戦したくないと思っているはずだ。スーパースモールボールのロケッツはプレイオフで台風の目となるか。 4位:デンバー・ナゲッツ 練習試合中はなかなかローテーションの選手が揃わず、現在のナゲッツの真価を測るのは難しい。本来ならばウェスト3番手のはずが、1つランクを下げざるを得なかった。ただ、シーズン再開を前にようやく全員が復帰したのは好材料。激痩せが話題になったニコラ・ヨキッチも力を保っており、依然として怖いチームではある。 5位:ユタ・ジャズ コート外での関係が取り沙汰されるドノバン・ミッチェルとルディ・ゴベアも、練習試合では良好なケミストリーを見せていた。あとはケガで今季終了となったボヤン・ボグダノビッチの得点力の穴を誰が埋めるか。今季は不安定だったマイク・コンリーの復調具合も見どころになる。 6位:オクラホマシティ・サンダー 今季を通じて過小評価されてきた感があるが、12月1日以降は33勝13敗と中断前は絶好調だった。長く戦列を離れてきたアンドレ・ロバーソンも復帰し、ほぼフルメンバーとなったのも好材料。クリス・ポール、シェイ・ギルジャス・アレクサンダー、デニス・シュルーダーのスリーガードを軸に、プレイオフ第1ラウンドでの勝利は射程圏内にある。

合流が遅れたハーデンとウェストブルックだが、再開には間に合った。超攻撃的なオフェンスで”台風の目”となるか

7位:ダラス・マーベリックス ルカ・ドンチッチのコンディションが心配されたが、練習試合では中断前と変わらず華麗なプレイを続けている。相棒役のクリスタプス・ポルジンギスの体調も良さそう。現在ウェスト7位だが、レイカーズ、クリッパーズの撃破はやはり厳しいだけに、シーディングゲームでなんとか6位には上がっておきたいところだ。 8位:ポートランド・トレイルブレイザーズ デイミアン・リラード、CJ・マッカラム、カーメロ・アンソニーを中心とした経験豊富なチームに、ユスフ・ヌルキッチ、ザック・コリンズといった実力派ビッグマンが戻ってきたのは大きい。リラードとヌルキッチのケミストリーは健在。再開後のスケジュールは厳しいが、グリズリーズを捉えてプレイオフ出場を果たしても誰も驚かない。 9位:メンフィス・グリズリーズ 新人王候補筆頭のジャ・モラントに脚光が集まりがちだが、決してワンマンチームではない。ジャレン・ジャクソンJr.、ブランドン・クラークも上質なプレイを続けてきた。ジャスティス・ウィンズロウの離脱は痛く、プレイオフに向けて気の抜けない戦いが続くが、若手トリオにとって貴重な経験の場となるはずだ。 10位:ニューオーリンズ・ペリカンズ シーディングゲーム開始を目前に控え、家庭の事情によりバブルを離れていたザイオン・ウィリアムソンが戻ってきた。おかげでチームの士気は高まるはず。ザイオンのコンディションが気になるが、ブランドン・イングラムとのフレッシュなデュオが万全ならペリカンズは一躍注目チームに浮上する。グリズリーズ、ブレイザーズとの8位争いは激化するに違いない。 11位:サクラメント・キングス 右足を痛めたマービン・バグリー三世は不参加となったものの、練習試合ではバディ・ヒールド、ボグダン・ボグダノビッチの動きはシャープだった。逆転でのプレイオフ進出は容易ではないが、ディアロン・フォックス、ヒールド、ボグダノビッチというガードトリオが爆発すれば一縷の望みが出てくる。 12位:フェニックス・サンズ デビン・ブッカー、今季は欠場が多かったディアンドレ・エイトンにとって、オーランドでの8試合はケミストリー養成のための貴重な時間となる。シーディングゲームはいわばサマーリーグの拡大版。プレイオフ進出の可能性は極めて低いが、来季以降に繋がる場にしたいところだ。 13位:サンアントニオ・スパーズ ラマーカス・オルドリッジはケガのため不参加で、インサイドの層の薄さは如何ともし難い。昨季まで22シーズン連続でプレイオフ進出を続けてきたが、記録継続は絶望的という見方が一般的。デジャンテ・マレー、デリック・ホワイト、ロニー・ウォーカー四世らの若手に経験を積ませることが焦点になりそうだ。


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杉浦大介:ニューヨーク在住のフリーライター。NBA、MLB、ボクシングなどアメリカのスポーツの取材・執筆を行なっている。『DUNK SHOOT』、『SLUGGER』など各種専門誌や『NBA JAPAN』、『日本経済新聞・電子版』といったウェブメディアなどに寄稿している。

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