「この後のレギュラーシーズンは俺のキャリアの中で最も重要な23試合になる。俺たちはロスターを整えたから、レギュラーシーズンをしっかり終えられればウェストのどこが相手だろうと競い合えるよ」 オールスターゲームの会見でこう答えたのはロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズだ。プレイオフ進出へ負けられない戦いが続くレイカーズは2月11日に締め切りとなったトレードデッドラインで最も動いたチームの一つだ。 カイリー・アービング(ダラス・マーベリックス)やケビン・デュラント(フェニックス・サンズ)らスーパースターの電撃移籍も話題となったNBAのトレード戦線だが、その先陣を切ったのが八村塁のレイカーズへ移籍だった。ジェームズ、アンソニー・デイビス、ラッセル・ウェストブルックといったスーパースターが所属する名門への加入は、チームのプレイオフ出場に向けたラストピースの獲得かに思えたが、レイカーズはその後さらに大きな動きをみせた。
八村がレイカーズデビューを飾った1月26日のサンアントニオ・スパーズ戦から2月8日までの7試合で3勝4敗と結果が出なかったチームは、トレードデッドライン直前にウェストブルック、トーマス・ブライアント、パトリック・ベバリーを放出し、代わりにディアンジェロ・ラッセル、マリーク・ビーズリー、ジャレッド・バンダービルト、モー・バンバを獲得。特に八村にとっては同じポジションでディフェンスとリバウンドに定評のあるバンダービルトや、シューターのビーズリーの加入が、自身のプレイタイムにも大きく影響するところだ。実際にレイカーズ移籍直後の8試合で平均27.4分プレイしていた八村だが、新戦力加入後の3試合では31分、22分、16分と徐々に減少傾向にある。
難しい状況の中で、八村に必要とされるのはプレイにおける積極性の部分だろう。レイカーズ移籍後、1試合あたりのプレイタイムは増加(24.3分→26.2分)しているが、シュートアテンプトは減少(10.8本→8.8本)している。もちろん新しいチームに馴染みきっていない面もあるが、ノーマークで打てるタイミングでも躊躇する場面が散見され、その迷いからかシュート成功率も軒並み低下(FG:48.8%→46.4%、3ポイント:33.7%→28.6%)し、平均得点も13.0点から10.7点に落ちている。 直近の試合ではバンダービルトに先発の座を奪われた八村だが、ジェームズやデイビスの代役として期待されているだけに、思い切りのいいプレイを見せてもらいたい。
ロスターが固まり、シーズンはいよいよ佳境に入っていく。その中で八村が求められる役割は、セカンドユニットの得点源になることだ。ワシントン・ウィザーズ在籍時も含め、今季は先発時よりベンチから出場した時のほうが得点を多く挙げており(スタート出場時:12.0点、ベンチ出場時:12.5点)、仕事がより明確になるベンチスタートは八村にとっても決して悪いことではない。チームはレブロンのオフコート時にはネットレーティングが-6.6、デイビスのオフコート時も-3.0と苦戦を強いられているだけに2人がベンチに下がる時間帯に八村がいかにチームを引っ張っていけるかが重要となるだろう。
オールスターブレイクを経て24日から再開するNBA。ここまでレイカーズはウェスタン・カンファレンス10位だが、無条件でのプレイオフ出場圏内の6位までは3.5ゲーム差とまだまだ挽回は可能な位置にいる。誰よりも競争心の強いレブロンを間近で見ながら、八村は自身の闘争心に火をつけプレイオフへと導くことができるか。ウォリアーズ戦から始まるラスト23試合に注目していきたい。 ■【THE MATCHUP】ゴールデンステイト・ウォリアーズ対ロサンゼルス・レイカーズ 日時:日本時間2月24日(金)正午 会場:クリプト・ドットコム・アリーナ 解説:中原雄 / 実況:加藤暁 視聴可能プラン:LEAGUE PASS