「彼に触れたり、守ることはできない」 日本時間12月29日(現地28日)、キャリアハイとなる43得点をあげたニューオーリンズ・ペリカンズのザイオン・ウィリアムソンに対し、対戦相手のディアンジェロ・ラッセル(ミネソタ・ティンバーウルブズ)が脱帽した。 2019年、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)が1巡目9位で指名されたドラフトにおいて全体1位指名を受けたウィリアムソンは、3年目の昨季をケガで全休。今シーズン待望の復帰を果たし、ここまでチームトップの1試合平均26.0得点と活躍を続けている。 なかでも注目すべきがフィールドゴール成功率の高さだ。1試合平均で15本以上シュートを打つ選手で、成功率60%を超えるのはウィリアムソンとニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)のみと確実性の高さはNBAでもトップクラスとなっている。
高いフィールドゴール成功率の大きな要因がシュートエリアだ。身長198cmとNBAでは決して恵まれたサイズではないが、圧倒的なフィジカルを活かし、ペイント内得点は1試合平均19.1得点とヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)を抑えてリーグトップの数字を記録。今季成功させた275本のシュートのうち230本、約84%を制限区域内で得点していることとなる。チームメイトのCJ・マッカラムも「さまざまな選手とプレイしてきたがこれほどまでペイントで支配的な選手はいなかった」とその支配力は誰もが認めるところだ。 ウィリアムソンの最大の武器は、そのドライブ力だ。2020-21シーズンに1試合平均12.9回だったドライブ数が、今シーズンは15.6回と増加。また、ドライブからの得点も9.3点から12.1点と増えており、同項目でリーグ4位につけるなどさらに磨きがかかっている。
それを生かすべくチームもウィリアムソンのアイソレーションの機会を増やしており、平均3回以上アイソレーションの機会がある選手に限ると、1ポゼッションあたりの得点数はリーグで5番目。これはNBA屈指の得点マシン、ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)よりも高く、アイソレーションでの得点効率の高さは相手にとって脅威になっている。
2019-20のルーキーシーズンは24試合のみの出場ながら、平均22.5得点6.3リバウンド2.1アシストにフィールドゴール成功率58.3パーセントをマーク。ルーキーシーズンに平均20.0得点以上、フィールドゴール成功率55.0パーセント以上を残したのは、シャキール・オニール(元ロサンゼルス・レイカーズほか)に続いて史上2人目だ。また、同シーズンには10代の選手としてNBA史上最長となる、13試合連続の20得点超えも記録した。
2年目にはオールスター初選出。コービー・ブライアント(元レイカーズ)、レブロン・ジェームズ(レイカーズ)、マジック・ジョンソン(元レイカーズ)に次ぐ史上4番目の若さでスターター入りを果たした。さらにこのシーズンには平均27.0得点でフィールドゴール成功率61.1パーセントを記録。NBAの歴史上、フィールドゴール成功率60.0パーセント以上で残した平均得点としては歴代最高となっている。すでにいくつかの項目で歴史に名を刻むウィリアムソンだが、今後どのような記録を残していくのかにも注目が集まる。
大学時代には履いていたナイキのシューズがプレイに耐えきれず、破損して負傷交代。それによりナイキの株価が急落するなど(ナイキとはプロ入り後に7年契約を締結)、NBA入り以前から話題を振りまいていた怪物は、今シーズン、5年1億9300万ドルでペリカンズとの契約を延長した。 しかしデビュー以降幾度となくケガで離脱したウィリアムソンに対し、コンディションを維持させるため、チームはこの契約に体重制限の条項を加えたという。こうした条件が加えられるのもウィリアムソンへのチームの期待感を表している。そんなエピソードも規格外の男が狙うのはただ一つ、NBAチャンピオンの栄冠だ。 「人々は勝者を憶えている。史上最高の選手たちを見ると、最初に目にするのはチャンピオンシップで、彼らが大事な時に成し遂げたことだ。僕も勝者として記憶されたい」 ウィリアムソンの活躍もあり、ペリカンズはウェスト3位(23勝13敗)と躍進中だ。1月3日(同2日)には、ジョエル・エンビードとジェームズ・ハーデンを擁するフィラデルフィア・76ers(21勝14敗)と対戦する。被ペイント内得点がリーグ6位(47.1)と堅守を誇るイーストの強豪相手に、アタックを仕掛けるウィリアムソンのプレイは見ものだ。 ■ニューオーリンズ・ペリカンズ対フィラデルフィア・76ers 日時:日本時間1月3日(火)午前9時 会場:ウェルズ・ファーゴ・センター 視聴可能プラン:LEAGUE PASS