2023年のNBAドラフトで1位指名されるのは誰か。この質問に対して多くの人は、フランス人ビッグマンのビクター・ウェンバンヤマだと答えるだろう。身長223cmという圧倒的なサイズとガードのようなテクニックを兼備する怪物のトップ指名がほぼ確実視されるなか、そこに自ら待ったをかける男がいる。 「俺は唯一無二だ。彼(ウェンバンヤマ)より勝利への執念と、リーダーとしての素質が優れている」 そう豪語する男の名前は、スクート・ヘンダーソン。NBAの下部リーグにあたるGリーグの、Gリーグ・イグナイトでプレイをしている18歳のポイントガードだ。身長は188cmと特別大きくないものの、それを補って余りある爆発的なスピードと跳躍力を活かした力強いドライブや、ダンクが持ち味。2023年のドラフトでは、ウェンバンヤマに次ぐ存在として大きく期待されている。
人並外れた身体能力を備えるヘンダーソンの比較対象として、頻繁に名前が挙がるのは全盛期のデリック・ローズ(ニューヨーク・ニックス)とジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ)だ。そのような声に本人も納得しているようで、「積極果敢にペイントへ攻めることや、常に全力で挑む姿は似ているね」とコメントしている。 10月4日に行われたウェンバンヤマが所属するフランスのメトロポリタンズ92と、イグナイトによるエキシビションマッチでも、その才能を遺憾なく発揮した。37点、5ブロックと躍動したウェンバンヤマに対し、ヘンダーソンも28点、5リバウンド、9アシストと負けず劣らずのパフォーマンスでチームの勝利に貢献。結果的にブロックされるもウェンバンヤマ相手に果敢にダンクを仕掛けるなど、その圧倒的な跳躍力と負けん気の強さに魅了されたファンも少なくないはずだ。
ヘンダーソンがイグナイトに加入したのは、2021-22シーズンから。高校卒業を1年早めるも大学には進学せず、アメリカ史上最年少のプロバスケットボール選手としてGリーグに挑戦することを決断した。年齢制限によりGリーグで2年目のシーズンを過ごしているが、研鑽を積み質の高いプレイを継続。NBA予備軍とも言える大人たちに囲まれるなか、一際強い光を放っている。 日本時間11月18日時点で5試合に出場し、平均24.2点、4.4リバウンド、7.2アシスト、2.0スティール、FG成功率47.5%、3ポイント成功率50.0%を記録。目が行きがちなオフェンスだけでなく、「常に相手を抑えたい」と語るほど守備への意識も高く、攻守で活躍する2ウェイプレイヤーとして評価を高めている。 「彼は素晴らしい選手」とウェンバンヤマへのリスペクトを示すヘンダーソンだが、「自分は競争者だからNo.1になりたいんだ」と世代トップの座を渡すつもりは毛頭ない。ウェンバンヤマという高い牙城を崩すためにも、Gリーグでの圧倒的なパフォーマンスが期待される。 ■ソルトレイクシティ・スターズ対Gリーグ・イグナイト 配信日時:日本時間11月19日(土)正午12時