「マイケル・ジョーダンvsレブロン・ジェームズ」――。NBA史上最高のプレイヤーを巡る議論は、コービー・ブライアントを含めてこれまで数えきれないほどかわされてきた。比較に際しては、リーグ全体のスタイルやルールの違いがネックとされてきたが、40年以上にわたってNBAを追い続けてきた伝説のコラムニストが、『NBA.com』で持論を展開している。 ジョーダンと言えば、「エア」の異名を取った驚異的な滞空力と相手を圧倒するスコアリング力を誇ったバスケットボール界の“神様”。得点王10回、スティール王3回、最優秀守備選手賞1回、シーズンMVP5回、キャリア通算平均得点歴代1位(30.1点)など数々の個人タイトルを獲得したのに加え、1991〜93年、96〜98年にシカゴ・ブルズで3連覇を果たし、そのすべてでファイナルMVPに輝く栄光に彩られたキャリアを送った。 一方のジェームズはジョーダン引退後の2003年にNBA入りすると、ルーキーイヤーからスターダムを邁進。ロサンゼルス・レイカーズ所属2年目の昨季は歴代3位タイとなる10度目のNBAファイナル進出を果たし、自身4度目のチャンピオンシップを獲得。異なる3チーム(マイアミ・ヒート、クリーブランド・キャバリアーズ、レイカーズ)で優勝&ファイナルMVPを獲得した史上初の選手としてその名を刻んだ。キャリア通算成績では総得点とアシストの両部門で歴代トップ10にランクイン。36歳となった今季も平均25.4点、7.9リバウンド、7.9アシストと衰え知らずの活躍を続けている。 ジョーダンとジェームズは「史上最高の選手は誰か?」という議論が交わされるうえで常にメインキャストを担ってきたが、『ボストン・グローブ』で1969年から40年以上にわたってバスケットボールの取材を続け、2012年のコラムニスト業引退後は『ESPN』のゲスト出演や自身のポッドキャストを立ち上げたボブ・ライアン氏が、両者について言及している。 「レブロンはより大きく、より強く、同じくらい速く、リバウンダーとしてもパサーとしても(ジョーダンより)上だ。マイケルは、レブロンが経験しなかったハンドチェックとフィジカルプレイに対処しなければならなかった。マイケルはより優れたディフェンダーで、その気になれば誰でも守ることができた」 ライアン氏はジェームズのオフェンス能力を高く評価しつつも、敢えて選ぶなら、より競争心の強いジョーダンを指名した。 「興味深い点が二つある。マイケルは、(チームメイトたちと)ともに戦うことを学ぶまで、タイトルを勝ち獲れなかった。1987年のマイケルは自分以外の誰も信用していなかったから、ウィニングショットを決めた(1993年の)ジョン・パクソンと(97年の)スティーブ・カーにパスをしなかっただろう。一方で、レブロンはコート上でベストプレイヤーになる責任を受け入れ、それを実際に体現するまで優勝できなかった。レブロンは2010年のセルティックスとのプレイオフでは完全に彼のチームだったが、2011年のマーベリックスとのファイナルではボールを求めていなかった。背景に何があったかは分からないが、レブロンのことは誰でも知っている。ただ、私が今日、自分の人生のためにプレイするなら、マイケルを選ぶだろう。彼は唯一無二の冷酷なコンペティターだったからね」 長年、NBAを見続けてきた熟練のライアン氏の目から見ても、ジョーダンの勝利への本能は特別だったようだ。