ヒューストン・ロケッツのラッセル・ウェストブルックは、オクラホマシティ・サンダー時代にケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)とデュオを形成していた。当初は超絶スコアラーを支える“2番手”だったが、2012年のロンドン五輪でコービー・ブライアントから飛ばされた檄が、殻を破るきっかけとなったようだ。 2008年のドラフト1巡目4位指名を受けたウェストブルックは、自身よりも1年早くNBA入りしていたデュラントとサンダーの中心選手を長年担った。2010-11シーズンからはともに平均20得点を超える攻撃的デュオとして猛威を振るい、翌2011-12シーズンにはカンファレンス準決勝でコービー率いるレイカーズを破ってファイナル進出を果たした。
結果はマイアミ・ヒートに敗れて優勝は果たせなかったが、ファイナル後に行われたロンドン五輪にアメリカ代表の一員として出場したウェストブルックは、長い代表活動の中でコービーから檄を飛ばされていたという。『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が、自身のポッドキャストで当時のエピソードを振り返っている。 「2012年、コービーはオリンピックでラス(ウェストブルック)と多くの時間を過ごしていたのを覚えている。彼はラスに『お前は得点王のタイトルを取るべきだ。なぜケビン(デュラント)にタイトル獲得を許しているのか分からない。お前は勝つべきだ』と話していた」 当時、デュラントは2010~12年に3年連続で得点王を獲得し、リーグ随一のスコアリングマシンとして君臨。一方、二枚看板を背負いつつも、ウェストブルックはどちらかと言えばサポート役という扱いだった。 もともとコービーの戦う姿勢や勝利への執念に大きな影響を受けていたウェストブルックは、大会を機に攻撃的ポイントガードとしてさらに進化。2015年と2017年には得点王に輝いた。 ウェストブルックがボールを支配し、スペースを潰してしまうことが、2016-17シーズンのデュラント退団につながったとも報じられたが、今の地位にたどり着く過程にはコービーからの後押しがあったようだ。