過去3シーズン連続でプレイオフを逃しているダラス・マーベリックスだが、今季はシーズン中断前の時点で40勝27敗と、すでに昨季から7勝上積みするなど躍進を遂げている。ウェスタン・カンファレンス6位とポストシーズン進出をほぼ手中に納める原動力となったのが、ルカ・ドンチッチだ。1年目の昨季から目覚ましい活躍を見せ、新人王を受賞。2年目の今季もその勢いは留まるところを知らない。そんな21歳の若きスターが、7月30日(日本時間31日)から再開する2019-20シーズンで、チームを4年ぶりのプレイオフ進出に導き、その大舞台でどんな活躍を披露するのかに注目が集まっている。
昨季、平均21.2得点、7.8リバウンド、6.0アシストという新人らしからぬ活躍を見せたドンチッチは、2年目の今季も開幕から得点を量産。トリプルダブルも連発するなど、一躍リーグで最も話題に挙がる選手の1人となった。 昨年11月18日(同19日)に行われたサンアントニオ・スパーズ戦では、キャリアハイとなる42得点、11リバウンド、12アシストという驚異的なスタッツを弱冠20歳にして叩き出し、レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)に次ぐリーグ史上2番目の若さで40得点超えのトリプルダブル達成という偉業を成し遂げた。さらに、その2日後のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦でもトリプルダブルを達成するなど、11月は平均32.4得点、10.3リバウンド、10.4アシストと爆発。キャリア初の月間MVPに輝いたドンチッチは、シーズンMVPの候補にも挙がっていた。
その後も一貫性のあるパフォーマンスでチームに貢献したドンチッチは、オールスターにも初出場。30得点、17リバウンド、10アシストを挙げた3月4日(同5日)のニューオーリンズ・ペリカンズ戦で、今季のトリプルダブル数をリーグ最多の14に伸ばし、マーベリックスのチーム記録(22)も塗り替えている。新型コロナウイルスの影響で3月11日(同12日)にリーグが中断された時点では、いずれもキャリアハイとなる平均28.7得点、9.3リバウンド、8.7アシストをマークしていた。
飛ぶ鳥を落とす勢いでスーパースターの階段を駆け上がるドンチッチは、身体能力こそ平凡だが、天性のシュート力、パスセンス、ドリブルスキルに加え、高いバスケットボールIQで試合を支配する。ドライブからのダンクやレイアップ、ユーロステップ、フローター、ステップバックなど、攻撃オプションも豊富だ。
状況判断能力に優れたドンチッチのパスは、マジック・ジョンソン(元ロサンゼルス・レイカーズ)、ジェイソン・キッド(元ダラス・マーベリックスほか)、レブロンを彷彿とさせ、華麗なステップバックスリーは、現代最強のスコアリングマシンであるジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)のそれと並び、「アンストッパブル」と称されている。 すでにNBA最高峰のスキルセットを持つこのスロベニア出身の若きスターが、いずれ歴代屈指の選手の1人として語り継がれる逸材であることには議論の余地がない。
マーベリックスのフランチャイズプレイヤーとして21年間にわたりチームを牽引し、2011年にはチームを初優勝に導くなど数々の功績を残したレジェンドのダーク・ノビツキーから、今季バトンを引き継いだドンチッチ。 新生マーベリックスの大黒柱として期待以上の結果を残すなか、昨季途中に加入したクリスタプス・ポルジンギスとのコンビで、自身が夢だと語るリーグ優勝を現実のものにできるのだろうか。