静かなる“優勝請負人”、カワイ・レナード【シーズン再開ガイド】

今季最もリーグにインパクトを与えた移籍は、昨年7月に発表されたカワイ・レナードのロサンゼルス・クリッパーズ加入だろう。レナードは昨季、所属していたトロント・ラプターズを、移籍1年目ながらエースとしてフランチャイズ初のNBAチャンピオンに導き、東西両カンファレンスでファイナルMVPを受賞したNBA史上初の選手となった。そして、その歓喜の約1か月後にフリーエージェントとなり、バスケットボール界の注目を集めるなか、レナードは地元カリフォルニア州のクリッパーズへの移籍を決断した。

懸念されたコンディションは万全。「この時のために準備をしてきた」

1969年にファイナルMVPが制定されて以降、受賞者が翌シーズンに移籍するのは史上初めてのこと。クリッパーズはレナードの入団に伴い、オクラホマシティ・サンダーからトレードでリーグ屈指の2ウェイプレイヤー(攻守両面で優れた選手)として鳴らすポール・ジョージを獲得。一気に優勝候補へとその名を挙げた。 いざシーズンが開幕すると、ジョージが22試合に欠場するなど、シーズン中断前はなかなかベストメンバーで戦えていなかったクリッパーズだったが、そんな状況でもレナードは抜群の存在感を放っていた。ロードマネージメント(疲労管理法)を採用しているため出場こそ51試合に留まったが、コート上では平均得点(26.9得点)とアシスト(5.0本)で自己最高の数字をマーク。特に30得点以上を記録した試合では17勝3敗と圧巻の戦績を残すなど、大黒柱としてウェスタン・カンファレンス2位(44勝20敗)につけるクリッパーズを牽引した。

リーグ入団当初は守備が最大の売りだったが、今やリーグ屈指のスコアラーに成長。

再開シーズンでは、レナードが過密日程をこなすことができるかがポイントとなるが、中断期間中、共にワークアウトを行った同僚パトリック・ベバリーが「彼の練習は今までに見たことがないレベルだった」と賞賛するなど、コンディションは上々のようだ。本人も「調子はいいよ。この時(シーズン再開)のために準備をしてきた」と自信を見せており、ドック・リバースHC(ヘッドコーチ)も、起用法について「制限はない」とレナードに期待を寄せている。

“優勝請負人”の使命を果たせるか

クリッパーズの歴史を振り返ると、カンファレンス準決勝がこれまでの最高戦績だった。クリス・ポールとブレイク・グリフィンのコンビを軸に、次々と繰り出す豪快なダンクでファンを魅了した2011〜17年の“ロブ・シティ”時代においても、その壁を乗り越えることはできなかった。しかし、レナード、ジョージ、ベバリー、ルー・ウィリアムズ、モントレズ・ハレル、マーカス・モリスらを揃えたリーグ屈指の戦力を有する今季のチームに期待されるのは、フランチャイズ悲願のリーグ優勝だ。そしてこの目標を達成する上で、レナードに懸かる期待は人一倍大きい。

同じロサンゼルスを拠点とするレイカーズなど、強豪揃いのウェストを勝ち上がれるか。

昨季のプレイオフでレナードは、全24試合に出場して平均30.5得点、9.1リバウンド、3.9アシストと、レギュラーシーズンからさらにレベルアップさせたプレイを披露。フィラデルフィア・76ersとのカンファレンス準決勝第7戦で決めたブザービーターや、ポストシーズン史上歴代3位となる合計732得点を記録した昨プレイオフでの歴史的なパフォーマンスを再現できれば、クリッパーズがリーグの頂点に立つことも一層現実味を帯びてくるだろう。 仮にクリッパーズが優勝を果たし、レナードがファイナルMVPに輝くようであれば、3つの異なるチームでファイナルMVPを受賞した史上初の選手となる。果たして“優勝請負人”としての責務を背負うレナードは、昨年大暴れしたファイナルの舞台へと舞い戻り、再びその名を歴史に刻むことはできるのだろうか。


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