ウェスタン・カンファレンスの15チーム中13チームが、7月30日(日本時間31日)よりフロリダ州オーランドで再開される2019-20シーズンに参加する。 すでにプレイオフ進出を決めている上位6チームの中でも特に戦力が充実しているのは、カンファレンストップを走るロサンゼルス・レイカーズと、2位のロサンゼルス・クリッパーズだ。
レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスという2大スターを軸に、経験豊富なベテラン選手で脇を固めたレイカーズは、目立った戦力ダウンも無くシーズン再開を迎えることに成功した。先発ガードのエイブリー・ブラッドリーが再開後のシーズンに不参加となったが、ジェームズの親友で優勝経験もあるJR・スミスとすぐさま契約したことからも、今シーズンの優勝に賭けるレイカーズの強い意志が感じられる。セカンドユニットの司令塔、ラジョン・ロンドが右手親指を骨折したが、プレイオフで復帰すると見られており、「選手の中で最もシーズンの再開を望んだ」と噂されるジェームズ率いるレイカーズがウェストで一歩抜きん出ることが予想される。
レイカーズの対抗馬と見られているのが、昨季トロント・ラプターズを優勝に導いたカワイ・レナードとリーグ有数のスウィングマンであるポール・ジョージを擁するクリッパーズだ。クリッパーズも戦力を維持したまま再開を迎えるチームの1つだが、なかでもシックスマン賞に3度輝いているルー・ウィリアムズが参加を決意したことが大きい。ほかにも、闘志むき出しのディフェンスが持ち味のパトリック・べバリー、インサイドで存在感を示すモントレズ・ハレルなど、ディフェンスで他チームを圧倒できるタレントを揃えているのが最大の強みだ。
LAの2チームを追いかける3位のデンバー・ナゲッツは、中断期間中に大減量したエースのニコラ・ヨキッチが母国セルビアで新型コロナウイルスに感染した影響で、チームへの合流が遅れたことが懸念材料となる。しかし、ガード選手並みのハンドリングスキルとパスセンスを備えるビッグマンのヨキッチが減量によって万能性をアップさせているとすれば、他チームにとってはかなりの脅威になるはずだ。 戦力的に厳しいのが4位のユタ・ジャズ。チーム2位の平均20.2得点を記録したボヤン・ボグダノビッチが中断期間中に手首を手術して残りのシーズン全休となったほか、先発ポイントガードのマイク・コンリーが出産に立ち会うため8月下旬にチームを離れることが決まっている。しかし、新型コロナウイルスの感染をきっかけに表面化したエースのドノバン・ミッチェルとルディ・ゴベアの確執が、この中断期間中に修復へと向かっている点と、チーム3位の平均15.6得点を記録しているジョーダン・クラークソンが「狙うのは(優勝)ただ一つ」とシーズン再開に向けて気合十分な点は、明るい材料だ。 今季のサプライズチームと称される5位オクラホマシティ・サンダーは、「毎年プレイオフに入ると怪我をしがち」と言われ続けてきた司令塔のクリス・ポールが、シーズン中断によって休養を取れたことが何よりも大きい。また、真偽不明ながら、中断期間中に母国のニュージーランドで牧場の牛を相手にボックスアウトのトレーニングをしたと語った、センターのスティーブン・アダムズの仕上がり具合にも注目だ。
昨年のジャパンゲームズで来日した6位ヒューストン・ロケッツは、今年2月に身長208cmのクリント・カペラをトレードで放出し、198cmのPJ・タッカーを先発センターにするという超スモールラインナップを取り入れたことで話題となった。エースのジェームズ・ハーデンと新加入のラッセル・ウェストブルックの共存については、シーズン中断前に明確な答えを出せなかったが、ゴール下のシュートとスリーポイントシュートを重視する近代バスケのトレンドを極限まで突き詰めた破壊力抜群のオフェンスが上手く機能すれば、混戦のウェストで台風の目となるはずだ。 7位のダラス・マーベリックスは現時点でプレイオフ進出が確定していないものの、8位との差が7ゲームあるため、安全圏と言って差し支えないだろう。注目は昨季の新人王を受賞し、2年目の今季はオールスターゲームにも先発したルカ・ドンチッチだ。弱冠20歳ながら平均28.7得点、9.3リバウンド、8.7アシストという驚異の成績を残すエースが、持ち前の多彩なプレイぶりを発揮してチームを牽引できれば、マーベリックスは一気に上位シードまで駆け上がるかもしれない。3位のナゲッツとはわずか4ゲーム差のため、その可能性は十分にある。
プレイオフの最終枠を争うのは、8位のメンフィス・グリズリーズ(32勝33敗)と、9位以降のポートランド・トレイルブレイザーズ(29勝37敗)、ニューオーリンズ・ペリカンズ(28勝36敗)、サクラメント・キングス(28勝36敗)、サンアントニオ・スパーズ(27勝36敗)、フェニックス・サンズ(26勝39敗)の計6チームだ。 渡邊雄太が2WAY契約を結んでいるグリズリーズは、ブレイザーズ、ペリカンズ、キングスの3チームに3.5ゲーム差を付けているが、シーズン再開後のシーディング・ゲームの8試合を終えた時点で8位と9位が4ゲーム差以内の場合は、その2チームによるプレイオフ進出決定戦になるため、決して油断はできない。グリズリーズで鍵となるのは、今シーズンの新人王候補筆頭ジャ・モラントだが、日本のファンとしては渡邊の出場にも期待したいところ。
9位以下のチームで注目は、デイミアン・リラード率いるブレイザーズと、超大型ルーキーのザイオン・ウィリアムソンがいるペリカンズだ。 特にブレイザーズは、今シーズンに入って2度の“60得点ゲーム”を達成しているリラードとスコアラーのCJ・マッカラムに加え、怪我で長期離脱していたビッグマンのユスフ・ヌルキッチとザック・コリンズがシーズン再開後に復帰する見込み。上位チームにとっても侮れない存在になるはずだ。