バスケットボール選手が高校卒業後に、NBAの下部リーグにあたるGリーグで給料を貰いながら1年間プレイし、その後NBAドラフトにエントリーするという新しい育成プログラムが今年からスタートした。これを受け、ジェイレン・グリーン、アイザイア・トッド、デイシェン・ニックスといった高校トップクラスの選手たちが、既に決まっていた大学進学を取りやめ、Gリーグに行くことを相次いで表明している。 この新しいプロセスについて、NBAは「リーグの一貫したプログラムによって選手を育成できる」と期待するが、教育面や、若くして大金を得ることを不安視する声もある。『Yahoo Sports』のジャック・ベアー記者によると、大学バスケットボールの名門ケンタッキー大学のジョン・カリパリHC(ヘッドコーチ)も、この育成プログラムに警笛を鳴らした1人のようだ。 カリパリHCは毎週配信している自身の番組『Coffee With Cal』のなかで、この育成プログラムによって将来有望な選手をケンタッキー大学にリクルートできなくなることより、自分が将来有望ではないことに気付いていない選手が自分の能力を見誤ることをより心配していると語った。 「私が問題視しているのは、Gリーグが大金をチラつかせて高校生を誘惑していることだ。何千人もの中学3年生や高校1年生たちが『自分たちもその大金を得たい』と夢を見るだろうが、実際にその大金を得られる選手は全体の2%ぐらいだ。50人どころではなく、何千人もの中高生が、その大金を夢見るんだ」 情報筋によると、Gリーグと契約したことで、ブラウンは50万ドル(約5,300万円)、ニックスは30万ドル(約3,200万円)、トッドは25万ドル(約2,700万円)を稼ぐそうだ。 しかし、カリパリHCは、大金を得るためにバスケットボールに没頭して学業を疎かにした多くの中高生が、いざ夢が叶わなかったときに学力不足によって大学進学の道を断たれることを危惧している。 高卒選手が直接NBAドラフトにエントリーすることは支持しているが、NBAドラフトにエントリーできる能力に達していない選手は大学に進学すべきだと主張した。