1. レブロン・ジェームズのレイカーズ移籍
このオフシーズン最大のニュースは何と言ってもレブロン・ジェームズのロサンジェルス(LA)・レイカーズへのFA移籍。すでに昨季前からこのオフにFAで「レイカーズへ移籍」というのは専らの噂ではあったが、FA解禁日(7月1日(日))即日にエージェントを通じてレイカーズと契約するというコメントをリリース。6月29日(金)に前年度所属のキャブスとの契約オプションを行使しないと発表しており、76ersやロケッツ、セルティックスなども獲得の噂が上がったが、当の本人はあっさりとレイカーズを選択した。 自宅や自身の経営するプロダクション会社などがLAにあることに加え、FA解禁日にレブロンの自宅まで出向いてチームを売り込んだバスケットボール運営部門代表・マジック・ジョンソンの存在も大きかったことだろう。 また、そのマジック代表が現職就任後進めてきたチーム改革により、今季のレイカーズはレブロンを軸に有望な若手、実績のあるベテランとバランス良く戦力が整い、非常に楽しみなチームとなった。最近も高額契約だったルオル・デンの契約バイアウト(注:契約を途中破棄する事)も実行し、来オフにもマックス契約(注:NBAが定める最高年俸)をオファーできるサラリーキャップの空きを作る事に成功。マジック代表の手腕とレブロンのリーダーシップによって、早くも古豪復活の予感を漂わせるレイカーズからますます目が離せない。
2. カワイ・レナード スパーズとの決別と騒動
2番目に大きなニュースといえば前サンアントニオ・スパーズ所属のカワイ・レナードのトレード。昨季怪我でわずか9試合の出場しかなかった元NBAファイナルMVPは、当人の不可解な長期離脱がメディアやチームメイトの間で様々な憶測を呼び、結果「チームやチームメイトとの信頼関係がなくなってしまった」として一方的にトレードを要求。スパーズとしてもビッグスリー(ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリ)の後継としてレナードを大事に育ててきただけに、5年総額約240億円(2億1,900万米ドル)のスーパーマックス契約(注:MVP取得やNBAオールチーム選出などの条件を満たしたNBAでもごくわずかな選手にしか提示できない最高級契約)を提示。更にグレッグ・ポポビッチHC自ら出向いてレナードと直接対話するなど誠心誠意を尽くしたものの、レナードの意思は固くスパーズ残留を固辞。地元であるLAへの移籍希望を公言していたが、結果デマー・デローザンらとの交換でトロント・ラプターズへ移籍した。 この移籍に関して今度はラプターズ側でも一波乱が起きる。ラプターズのマサイ・ウジリGMは、度々移籍の噂話があったデローザンに対し、本人へ直接「移籍させる事はない」と明言しておきながらこの移籍を実行。これにデローザン側は自身のインスタグラムで「信頼もロイヤリティのかけらもない」とラプターズ陣営を痛烈に批判。レナードのレイカーズ移籍希望・怪我の回復具合の不透明性さ、なども相まってラプターズの選手やファンの間でもこの移籍は大きな議論を呼び、ウジリGMも一連の行為に関してデローザンへ公に謝罪するまでに発展。今オフ最もNBAを騒がせたと言ってもいいこの両者の戦いは、2019年2月22日(金)(現地時間)にラプターズの本拠地エア・カナダセンターで行われる。この試合は見逃せない。
3. 議論を巻き起こしたデマーカス・カズンズのウォリアーズ移籍
誰もが耳を疑った衝撃ニュースとしてはこのオフナンバー1と言ってもいい、前ニューオーリンズ・ペリカンズ所属のオールスターセンター、デマーカス・カズンズのゴールデンステート・ウォリアーズへのFA移籍。昨シーズン途中に見舞われたアキレス腱断裂という重傷で、FA市場での価値を下げたとはいえ、わずか「1年約5億8,300万円(530万米ドル)でウォリアーズ移籍」のニュースは衝撃的で、これを聞いたNBA選手の間では「信じられない」「馬鹿げている」というリアクションが相次いだ。当の本人も、ペリカンズからの2年契約44億円(4千万米ドル)というオファーを蹴ってまで選択したウォリアーズとの単年契約。来オフで希望するマックス契約を勝ち取るには、ウォリアーズの3連覇に貢献する事が絶対条件か。 そんなカズンズは怪我から順調に回復している様子を自身のインスタにあげているが、試合への本格復帰はおそらく年明けになるのでないかと言われている。NBA史上稀にみる「スタメン5選手全員がオールスター」のお披露目はまだもう少し先になりそうだが、性格に難ありのカズンズがタレント揃いのウォリアーズにどうフィットするのか?今から楽しみでしかたがない。
4. ロケッツの打倒ウォリアーズにかける異常なまでの意気込み
そんなウォリアーズを血眼になって倒しにかかっているのが、昨季ウェスタンカンファレンスファイナルでウォリアーズ敗退まであと「1勝」と追い詰めたヒューストン・ロケッツ。そのロケッツの打倒ウォリアーズにかける意気込みは、今オフの選手補強を見れば一目瞭然。 アトランタ・ホークスとのバイアウト成立後、ベテランミニマムのわずか1年約2億6,400万円(240万米ドル)で、元オールスター選手カーメロ・アンソニーの獲得に成功し、更にここ1年以上画策していた高給取りで守備に難ありのライアン・アンダーソンのトレードもフェニックス・サンズと成立させ、見返りにブランドン・ナイト、マーキス・クリスという運動能力の高い若手2選手の獲得に成功。ロスターに厚みも増し、少々気が早いが、今季プレーオフでのウォリアーズとのウェスタンカンファレンス決勝の行方はいよいよ分からなくなってきたと言っていい。そんな事実上のNBAファイナル、ロケッツとウォリアーズが今シーズン最初に相見えるのは11月15日(木)(現地時間)、ウォリアーズの本拠地オラクルアリーナだ。この試合は絶対に見逃せない。
5. 順調な回復を見せるヘイワードとアーヴィング
目を伏せたくなるような作季開幕戦の大怪我から復帰を目指しているオースルターフォワード、ゴードン・ヘイワードと、昨季プレーオフ前に左膝の手術から復帰を図るカイリー・アーヴィング。ダニー・エインジ(ボストン・セルティックス、バスケットボール運営部門代表)によれば、すでに両選手ともトレーニングキャンプではフルスピードでプレーできるまでに回復できていると話しており、今季初戦から約1年越しにこの強力コンビがプレーする姿が見られるはずだ。 昨季はこのセルティックスの「2大エース」を欠きながらも、若手選手たちの台頭でNBAファイナル進出まであと一歩のところまでレブロンを追い詰めた。アーヴィングの控えにテリー・ロジアーとマーカス・スマート、ウィングにヘイワード、ジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウンのローテーションを組めるのは嬉しい悲鳴。昨季とほぼ同じロスターで今季を迎える事ができ、ケミストリーと選手層の厚さから言えばウォリアーズ、ロケッツを凌いでいると言っていい。今季この2チームに一波乱を起こせるとすれば、間違いなくそれはセルティックスしかいない。
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