若きオールラウンドスーパースター、ニューオーリンズ・ペリカンズの大黒柱アンソニー・デイビス

学生時代に迎えた驚異の成長期

アンソニー・デイビスは学生時代、数学・科学では名門だが、決してアスリートを誕生させるような学校には通っていなかった。学校の敷地に体育館はなく、所属するバスケットボールチームは近くの教会でよく練習をしていたという。デイビスは15歳の時まで身長が180cm前後だったこともあり、スリーポイントを多発する小さいガードとして知られていた。 しかし、高校入学後、17歳の時には身長が200cmを超え、徐々に頭角を現すこととなる。両親はバスケットの強豪校への転校も考えたが、実力があれば必ずスカウト陣に発掘されるというヘッドコーチの言葉を信じ、残留を決意。事実、チームの成績は芳しくなかったものの、デイビスはスカウト陣の注目の的となる。多くの奨学金オファーが届く中、デイビスは名門ケンタッキー大学を選択。 19歳の時には身長は208cmまで伸び、豊富なガード経験に加えサイズを手に入れたデイビスは、ハンドリングが上手なインサイド選手として名を馳せた。大学時代のシーズンでは個人賞を総なめ。NCAAトーナメントの決勝戦ではカンザス大を破って見事に優勝を果たし、デイビス自身はMost Outstanding Player(NCAAではMVPの位置づけの賞)に選出された。 その後、2012年のNBAドラフト全体1位指名でニューオーリンズ・ホーネッツ(現ペリカンズ)へ入団を果たすこととなるのだが、デイビスはNBAデビュー前に一足早くアメリカ代表メンバーとしてロンドン五輪に出場することとなる。大学生として代表メンバーに選ばれるのはクリスチャン・レイトナー、エメカ・オカフォー以来の3人目の快挙である。 同大会で、バスケットボールの米国代表選手としては史上最年少で金メダリストのメンバーに輝き、デイビスはNBAデビューを前にして一躍有名となる。出場時間は限られたものの、当時から豪快なダンクやブロックショットが目立ち、コート内外でチームメイトのコービー・ブライアントやレブロン・ジェームズ等から多くの助言をもらったことはきっと本人に大きな刺激を与えたに違いない。 ちなみにドラフト前、デイビスはトレードマークの眉毛に関して、「Fear The Brow」(眉毛を恐れよ)と「Raise The Brow」(眉毛を上げろ)という二つの言葉を商標登録している。家族へ相談し、とてもユニークな自身の眉毛を他の人に真似してほしくないということと、自分の眉毛のグッズを不当には販売して欲しくないなどという思いから商標登録をしたようだ。但し、この影響でデイビス自身が稼いだという話は聞いたことがない。

華々しくフランチャイズプレイヤーへの階段を駆け上ったNBAキャリア前半

2012年の入団以降、これまで6シーズンに渡って素晴らしい成績を残してきたデイビス。ルーキーシーズンこそ平均13.5得点、8.2リバウンドという数字で少し大人しい印象を与え、ルーキーオブザイヤーもデイミアン・リラードへ奪われたが、2年目以降は中・外万能なプレイで孤軍奮闘、これまで長くに渡りチームを牽引している。 デイビス自身は6フィート10インチ(208cm)という身長を気に入っているため、決して登録は変えないと言うが、NBA入団後も身長が伸び、3シーズン目にはなんと211cm近くまで成長していたという。230cm近いウィングスパンに加え、入団前は100kgを切ってきた体重も今では115kgまで鍛え上げ、既にスーパースターに相応しい完成されたボディを手に入れている。 アンソニー・デイビスのこれからの長いキャリアにおいても、間違いなくスポットライトが当たるハイライトは2015年2月11日のオクラホマシティ・サンダー戦だろう。この日、プレイオフ出場争い真最中のチームにおいて、ケビン・デュラントとアンドレ・ロバーソン越しに決勝点となるダブルポンプ・スリーポイントブザービーターを決めたデイビス。このひとつのプレイで、いつかNBAにアンソニー・デイビスの時代が来ると確信を得た方も少なくないのではないだろうか。

デイビスがチームの顔を務めるニューオリンズ・ペリカンズ事情

ここまで5年連続でオールスターへ出場し、3度に渡りオールNBAファーストチームにも選出されているデイビス。主だった個人賞で残すところはシーズンMVPの獲得だが、チーム成績を少しでも上向かせ、インパクトを与えることができれば今シーズンの受賞獲得も夢ではない。 しかしながら、チームは現在勝率5割前後を行ったり来たりしており、イマイチ勢いに乗れていない状況。特に今シーズンのウェスタン・カンファレンスは15チーム中14チームが6ゲーム差以内と稀に見る大混戦を極めており、決して層が厚いとはいえない現在のペリカンズのロスターでは、いつ失速してもおかしくない状況である。 思い返せば、デイビスが入団してからこれまで、ニューオーリンズ・ペリカンズというチームは優秀な選手を獲得しておきながら、主力がケガで満足にプレイできず、下位に低迷していたシーズンが多く存在する。咋シーズンは完全復帰を果たし、プレイオフでポートランド・トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードを封じ込め、株を上げたドリュー・ホリデーもその1人。彼はチームの主力として今シーズンもペリカンズで奮闘しているが、既にチームを去ったメンバーではエリック・ゴードン、タイリーク・エバンス、ライアン・アンダーソンなどが対象となる。 また、記憶に新しいのが昨季のデマーカス・カズンズのアキレス腱断裂だ。2016-17シーズンに大型トレードによってペリカンズへ加入したカズンズ。ケンタッキー大出身のインサイドコンビ結成にニューオーリンズは沸いたが、結局ケガによる失速でチームも浮上できずにカズンズもチームを去ってしまった。

スーパースターが下す今後の決断とは…

ペリカンズというチームは決して悪いチームではないながら、上位に食い込めないまま、デイビスも7シーズン目を迎えてしまった。これまでの6シーズンで2度しかプレイオフへ進出しておらず、そのいずれも下位シードでの出場。どちらも王者ウォーリアーズに歯が立たず敗退を喫している。 今シーズンもジュリアス・ランドル、エルフレッド・ペイトンなど、的確な補強を行い、得意なアップテンポな攻撃型の布陣を手に入れたものの、他のウェストのチームと比較すると全体的に見劣りするロスターであることは否めない。 そんな状況下、アンソニー・デイビスはいかなる決断を下すのかに注目が集まる。デイビスは今シーズン終了後にペリカンズとスーパーマックス契約を結ぶことが可能なのだ。特定のキャリア年数や個人賞の受賞が必要となるスーパーマックス契約だが、仮に実現すれば、チームの35%までのサラリーを上限として1人の選手と契約できる条件下となるため、デイビスは史上最高額の契約を締結できる可能性を秘めている。一方、デイビスが勝利を求め、トレードを希望する場合、チームは契約更新前の今季に動かなければ、反対にその契約の重さが大きな痛手となる可能性もある。 今夏、デイビスは代理人を変更している。以前からボストン・セルティックスやゴールデンステイト・ウォーリアーズへの移籍が噂されていたデイビスだが、今回締結したKlutch Sports Group社でデイビスの代理人となるリッチ・ポールはあのロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズの代理人でもあることから、レイカーズへの移籍の可能性も感じられる。 今年のエイプリルフールにはインスタグラムで自身のユニブローを剃る動画を投稿し、世間を賑わしたデイビス。2016年にベビーフェイスのステフィン・カリー、サンタクロースのような髭が特徴的なジェームズ・ハーデンと共に3人で人気ゲームのNBA2Kの表紙を飾った際は、独特なプレイスタイルのみでなく、その個性的なルックスにNBAの新たな時代を感じたファンも多いはずだ。 直に全盛期を迎えるアンソニー・デイビス。彼が仮にフランチャイズプレイヤーへの道を捨て、チームを離れるようなことがあれば、それは間違いなくリーグを震撼させることになるだろう。その際には誰とペアを組み、頂点を目指すことになるのか、注目せずにはいられない。デイビスのようにリーグに名を残す若きスーパースターが今後どのような決断を下すのか、あらゆる期待と妄想を膨らませながら応援するのも面白いかもしれない。

NBAライター ゆーきり 幼少期の10年間をアメリカで過ごす。初めて行ったNBA観戦で間近で見る選手に強い衝撃を受けNBAにどっぷりのめり込み、自身もバスケットボールを始める。ファン歴は20年を超え、これまでの自身の知識を発信しNBAファンを増やしたいという想いから、ブログ「NBA journal」を開設。現地の情報をもとに、わかりやすくもマニアックな内容を届けることを意識し、日々奮闘している。

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