ユーロリーグのスーパースター 今期注目ルーキー ルカ・ドンチッチとは?

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ユーロリーグのスーパースター 今期注目ルーキー ルカ・ドンチッチとは?

今年のNBAドラフトでダラス・マーベリックスへの入団を遂げたルカ・ドンチッチ。スロベニア出身のドンチッチは若き天才と呼ばれ、スター性溢れる活躍ぶりから、将来はチームの顔として、マブスのフランチャイズプレイヤーへと成長してくれることが大いに期待されている。今期の新人王大本命として名高いドンチッチとは一体どんな選手なのか?

逸材揃う2018年ドラフト組

昨年に続き、逸材が揃っているとの見方が強い2018年のドラフト組。全体1位指名のビッグマン、ディアンドレ・エイトンは既にその将来性をリーグNo. 1センターとの呼び名の高いジョエル・エンビードと比較されるほど。その他にも、名門デューク大でプレイし、211cmの長身ながら、俊敏な動きとアウトサイドシュートまでも駆使する万能フォワードのマービン・バグリー3世。昨季、カレッジで史上初の得点王とアシスト王の同時受賞を成し遂げたステフィン・カリー2世ことトレイ・ヤング。ドラフトコンバイン史上最長となる239cmという驚異のウィングスパンを持ち、マジックの守護神としての期待が高まるモハメド・バンバ。椎間板ヘルニアに悩まされ、ドラフトでは大きく順位を落としたものの、高校時代は名実共にNo.1プレイヤーであったマイケル・ポーターJr.など、将来NBAの顔となるであろう選手が多く入団した。 そんな中、異彩を放ち、その実績から非常に高い注目度を浴びている選手が、ルカ・ドンチッチだ。全体3位指名でアトランタ・ホークスから指名を受けたが、最終的にダラス・マーベリックスに入団することとなったドンチッチ。ダラス・マーベリックスがドラフト5位指名のトレイ・ヤングとの交渉権と2019年のドラフト1巡目指名権までを手放すことで実現したトレードによるものだ。大型新人をなんとしても手に入れたいというチームのドンチッチに対する期待値がうかがえる。 そこまでしてマブスが手に入れた、今年のルーキーオブザイヤー最有力とも呼ばれるルカ・ドンチッチとは一体どのような選手なのだろうか。

ルカ・ドンチッチの輝かしい功績

ドンチッチは幼少期にバスケットを始めてから、常に自分よりサイズとスピードが上回る年上の選手を相手に練習を重ねたという。元プロバスケット選手である父親の影響もあり、プロリーグ下部組織チームの練習への参加や、時には試合へも出場させてもらっていた。13歳の時から名門レアルマドリードの下部組織でプレイをし始めたドンチッチ。その後、15歳からプロの世界へと飛び込み、プロリーグでのデビューを果たすと、早くも長身フロアリーダーとしてチームを牽引する存在となった。また、世界大会への出場経験も豊富で、コート上での冷静で堂々としたプレイぶりは、このようなバックグラウンドがあってのことなのだと納得がいく。そして、昨シーズンは所属するレアル・マドリードにて、平均16.0得点、4.8リバウンド、4.3アシストを記録し、遂にはチームを優勝へと導き、19歳という年齢でシーズンとファイナル4のMVPを最年少でダブル受賞するという華やかな道を歩んできたスター選手なのである。 長年ポイントガードを任されてきたドンチッチは、201cmながらプレイメイキング能力、パスセンスに長けていることから、NBAではヒド・ターコルーやベン・シモンズと比較される存在に成り得るだろう。また、非凡なシュート力の持ち主であることから、キングスのアシスタントGMに就任したペジャ・ストヤコビッチや昨季引退を決意したマヌ・ジノビリをも思い出させてくれるかもしれない。 NBAへ順応するのはそう簡単ではないが、欧州最高の若き天才は重圧をはねのけ、NBAにその名を轟かせる存在となれるか、マブスファンはシーズン開幕に明るい兆しが見えているに違いない。

マブスはダーク・ノビツキーの後継者として期待!?

1998年の入団以降、ダラス・マーベリックス一筋20年の大ベテランであるダーク・ノビツキー。スティーブ・ナッシュと共にマブスに旋風を起こし、NBAで活躍した外国人プレイヤーの代表格へと成長を遂げた。おそらくヨーロッパ出身の選手で、NBAで最も成功を収めている選手は誰かと問われれば、このダーク・ノビツキーと答える方も多いのではないだろうか。ノビツキーはこれまで毎年チームをシーズン上位にランクさせながら、プレイオフでは苦戦を強いられ、一時はノビツキーが中心のチームでのリーグ制覇は不可能とさえ言われた苦労人である。それでも、2010-11シーズンにはコービー・ブライアント率いる当時2連覇中だった王者ロサンゼルス・レイカーズと、現在全盛期を迎えているラッセル・ウェストブルック、ジェームズ・ハーデン、ケビン・デュラントのトリオを中心に結成されていた若きオクラホマ・シティサンダー、そしてファイナルではレブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュのスリーキングス全盛期のマイアミ・ヒートを破り、悲願の初優勝を果たした。ノビツキーが優勝トロフィーをダラスへと持ち帰ったのは、入団から実に13年目のことである。その年にファイナルMVPを受賞したノビツキーは、自身の評価を払拭するとともに、外国人選手が中心のチームを頂点へ導けることを証明したシーズンでもあった。その甲斐があってか、近年ではNBAのスカウト人はその視野を海外へも広げ、今回のルカ・ドンチッチのようにNBAで外国人選手が上位指名されるパターンも珍しいものではなくなったのである。 この約20年は、いわばノビツキー時代と言えるダラス・マーベリックス。但し、そのノビツキーも今年で40歳を迎え、チームも世代交代を強いられている。近年は成績も下降気味で昨季の成績は遂に24勝58敗まで落ち込み、ドアマット化していると言えるだろう。 そんなマブスが次世代ノビツキーとして、間違いなくチーム再建の中心人物として抜擢するであろう選手がルカ・ドンチッチだ。ガードとしての経験が豊富なドンチッチだが、既に開幕しているプレシーズンではポイントフォワードとして起用されており、ここまでの3試合はいずれもパワーフォワードとして先発出場を果たしている。おそらくマブスはドンチッチのプレイスタイルを見極めながら、彼に最適な形のチーム編成を構築するだろうが、多才な才能を活かし、レブロン・ジェームズ、ベン・シモンズ、ヤニス・アデトクンボのように、チームの状況に応じてプレイするポジションを変更できる選手を目指し、今後も柔軟な起用法を期待したい。 昨季オールルーキー2ndチームに選出されたデニス・スミスJr.、優勝経験を持つハリソン・バーンズ、そして3年前に一度は逃げられたものの、今回ようやく獲得に至ったディアンドレ・ジョーダンの加入など、少しずつ充実したロスターとなってきたマブス。ダーク・ノビツキーにとってはラストシーズンとなる可能性も高い今季。レジェンドから多くを学びながら、ドンチッチは有望な若手と共にチームを勝利へと導けるか。ドンチッチが前評判通りルーキーオブザイヤーを受賞するようだと、群雄割拠のウェスタンカンファレンスでプレイオフ進出へも滑り込む可能性が期待できる。それが実現すれば、アメリカンエアラインズセンターにあの優勝で歓喜に包まれたような熱気が再び戻るかもしれない。

NBAライター ゆーきり 幼少期の10年間をアメリカで過ごす。初めて行ったNBA観戦で間近で見る選手に強い衝撃を受けNBAにどっぷりのめり込み、自身もバスケットボールを始める。ファン歴は20年を超え、これまでの自身の知識を発信しNBAファンを増やしたいという想いから、ブログ「NBA journal」を開設。現地の情報をもとに、わかりやすくもマニアックな内容を届けることを意識し、日々奮闘している。

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