バッシュで紐解くNBAヒストリー / vol.6:アレン・アイバーソン&『THE ANSWER DMX』【木村タカヒロ】

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11月3日、フィラデルフィア・76ersが敵地でのポートランド・トレイルブレイザーズ戦で、残り2.2秒での大逆転勝利を収めました。76ersにとって開幕5連勝は2000-01シーズン以来。つまりNBAファイナル進出を果たした“伝説”のシーズン以来ということです。 この時、シーズンMVPに選ばれたのが76ersで背番号3が永久欠番になっている“THE ANSWER(ジ・アンサー)”こと、アレン・アイバーソンです。公称183cmという小柄なサイズながら、得点王に4度(1999、2001、2002、2005)も輝いた生粋の点取り屋です。 学生の頃から有名選手だったアイバーソンは、ベゼル高校、ジョージタウン大学時代には『AIR JORDAN 11』などナイキのシューズを愛用していました。しかし1996年の76ers入団時、ジョージタウン大学の恩師ジョン・トンプソンの勧めもあってリーボックと契約。そこから長きにわたるアイバーソンとリーボックとの蜜月関係が始まったのです。 リーボックがアイバーソンに初めて用意したシューズは『QUESTION MID』でした。学生時代の活躍は誰もが知るところだった一方で、“問題児”としても名を馳せていたアイバーソンに対して、『お前は本当に大丈夫なのか?』と言わんばかりのネーミングでした。しかし、そんな懐疑的なタイトルのシューズを履いたルーキーイヤーに、1試合平均23.5点をあげて新人王に輝いたのです。 1年目から期待に応えたアイバーソンに対して、翌97年にリーボックが用意したシグネチャー第2弾が、今回紹介する『THE ANSWER DMX』です。前作の『QUESTION MID』と対になったネーミングがついた理由は、アイバーソンのニックネームであるのに加え、リーボックの“問い(Question)”に対して新人王という“答え(Answer)”を出した、というところにあります。 『THE ANSWER DMX』は、シリーズで初めて「DMX Moving Air Technology」というクッショニングシステムが搭載されました。バスケットボールのシューズでは初ということからも、当時のリーボックのANSWERシリーズに対する期待の高さがうかがい知れます。 アウトソールはブルドッグ(アイバーソンが初めて入れたタトゥー)の肉球をイメージした作りとなっているのも特徴です。また、サイドに施されている、イニシャルと背番号を掛け合わせた「I3」マークも初登場。次のモデル以降も用いられるなど、お馴染みのロゴとなっていきます。 その後、アイバーソンの人気に乗じてANSWERシリーズは大ブレイクし、アイバーソン引退後も『ANSWER 14』まで新作がリリースされ続けました。 ちなみに日本人として知っておきたいのは、『ANSWER 10』を日本人デザイナーの金田康平氏が手掛けたということ。『THE ANSWER DMX』と同様に、ブルドッグをモチーフにしたというアウトソールがポイントです。アイバーソンも金田氏のデザインが気に入ったのか、その後12、13も金田氏がデザインを担当しています(その後、adidasでデリック・ローズのシグネチャーモデルも手掛けています)。

小兵ながら卓越した得点力で1990年代後半~2000年代のNBAを席巻したアレン・アイバーソン(元76ersほか)

木村タカヒロ:スポーツ、バラエティ番組の構成作家。テレビ東京のスポーツニュース「SPORTSウォッチャー」や、「ロンドン五輪」「MASTERS」「ワールドカップバレー」など、様々なスポーツ中継に携わる。中学~高校時代はバスケ部に所属。

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