バッシュで紐解くNBAヒストリー / vol.1:八村塁&『JORDAN WHY NOT ZERO.2』【木村タカヒロ】

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現地6月20日、八村塁(ワシントン・ウィザーズ)が日本人では史上初めてNBAドラフトで1巡目指名(全体9位)を受けたのはまだ記憶に新しいでしょう。その翌日には、バスケ界の英雄マイケル・ジョーダンの名前を冠した「ジョーダン・ブランド」との契約が、ナイキから発表されています。 ジョーダン・ブランドは、2016-17シーズンのMVPで史上初めて3シーズン連続で平均トリプルダブルという偉業を達成したラッセル・ウェストブルック(ヒューストン・ロケッツ)や、ロンドン五輪金メダルの立役者カーメロ・アンソニー(無所属)など、NBAでも超一流の選手のみが契約を結んでいる、ナイキの中でも特別なブランドです。 そうした認識は選手にとっても同じで、八村は過去のインタビューで、エア・ジョーダン3、エア・ジョーダン4、エア・ジョーダン12がお気に入りと答えていました。 余談ですが、八村はゴンザガ大に在籍していた間、ジョーダンシリーズではなく、ポール・ジョージ(ロサンゼルス・クリッパーズ)のシグネャーモデル「NIKE PG2」を愛用していました。 プロ入り以降だと、7月のサマーリーグ、翌月末からのワールドカップでは、「JORDAN WHY NOT ZERO.2」を着用しました。このシューズは、ウェストブルックのシグネチャーモデルです。 シューズ名にも冠された「WHY NOT」とは、ウェストブルックの座右の銘で「なぜやらない?」の意。今では誰もが認めるほどのスーパースターとなったウェストブルックですが、高校時代はわずか175cmしかなく、決して目立たない選手だったと言います。 当時チームには、198cmの長身と豊かな才能を併せ持つケルセイ・バスという選手がいました。ウェストブルックとバスは親友同士でしたが、ある時バスは心臓発作により、若くしてこの世を去ってしまいます。 どんなに才能豊かな人物であっても、明日どうなるかは誰にもわからない。ならば今できることをなぜやらない(Why not)のか――。 バスの死を受けてそう考えたウェストブルックは、もともとの練習熱心さに輪をかけてバスケットボールに打ち込み、NBA選手への階段を一気に駆け上がっていくこととなったのです。 まもなく、NBAは2019-20シーズンが開幕します。八村には、是非ウェストブルックの座右の銘のように、今の自分に満足せず努力を重ね、リーグを代表する選手になって欲しいと思います。

木村タカヒロ:スポーツ、バラエティ番組の構成作家。テレビ東京のスポーツニュース「SPORTSウォッチャー」や、「ロンドン五輪」「MASTERS」「ワールドカップバレー」など、様々なスポーツ中継に携わる。中学~高校時代はバスケ部に所属。

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