米国に挑む日本代表!注目のFIBAワールドカップ特集

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ドリームチームという言葉を聞いたことがあるだろうか。1992年に開催されたバルセロナ五輪に出場したバスケットボール男子アメリカ代表チームに付けられた、公式二ックネームだ。マイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソン、ラリー・バードなど、NBAのスーパースターとして君臨した選手で編成されたチームとあって、史上最高のスポーツチームと言われている。 NBAでMVPを獲得した選手を7人擁したチームは、全試合で100得点オーバー、対戦相手とは平均44得点差をつけて圧勝した。NBAのオールスターは東西(過去2年はキャプテン制)に分類された2チームでの対戦となるため、国を代表する選手が同一チームでプレイする最高のステージとなるのは、このような国際試合となる。 今年の8月31日より行われるFIBAワールドカップで、FIBAランキング48位の日本は、1次ラウンドで早くもFIBAランキング1位のアメリカと激突することとなった。国際試合でアメリカと対決するのは実に47年ぶりである。大躍進を遂げる、史上最強チームと呼ばれる日本代表は、王者を相手にどのような戦いを見せられるか。注目の熱い夏がもうすぐ開ける。

混戦が予想される予選グループEを分析(アメリカ、トルコ、チェコ、日本)

FIBAワールドカップとは、4年に1度(夏季オリンピックの中間年)に開催される、各国が世界の頂点を目指して激突する世界大会だ。1950年から、過去17回開催されており、プロ選手出場の許可が下りてからは、NBAのスーパースターも多数参加している。ちなみに、以前の”バスケットボール世界選手権”より名前を変え、2014年の前回大会より大会の名称を”ワールドカップ”へと変更した。 バスケットボールと聞くと、その発祥地であり、NBAという世界最高のバスケットボールリーグを持つアメリカを思い浮かべる方が多いだろう。アメリカは現在このワールドカップを2連覇中、累計でも最多となる5度の優勝回数を誇っており、今回も優勝候補とされている絶対王者だ。前回大会まで、NBAを盛り上げているスーパースターが多数参加したわけだが、現在の傾向を見ると、今後NBAを背負う未来のスターという立ち位置の選手をロスターに構える傾向が強い。2014年に開催された前回大会で言うと、ステフィン・カリー、アンソニー・デイビス、ジェームズ・ハーデン、カイリー・アービングなどがこれに当たる。 そんなアメリカは、現在メンバーを徴収している段階にあるが、スター選手は私用や次シーズンに備えることを優先する者が多く、既に9人のメンバーが代表入りを辞退している。国際試合経験が豊富なジェームズ・ハーデン、ケビン・ラブをはじめ、デイミアン・リラード、ブラッドリー・ビールなどがその対象だ。 ゴールデンステイト・ウォリアーズから主力が離脱したことにより、NBAでは次シーズンより群雄割拠な政権争いが始まろうとしている。ファイナルMVPを受賞したカワイ・レナードをはじめ、アンソニー・デイビス、ケビン・デュラント、ラッセル・ウェストブルック、カイリー・アービング、ポール・ジョージなどは皆、新天地を求め移籍した。その影響により、レブロン・ジェームズ&アンソニー・デイビスのコンビをはじめとした、かつてないほど協力なデュオを組んだチームが多数存在する新時代が幕を開けようとしている。その影響もあって、次シーズンに備えることを選んだスターが多いのだろう。 しかし、そうは言っても依然層は厚く、これからリーグを背負う若者が名を連ねるアメリカ代表。ケンバ・ウォーカー、クリス・ミドルトンのオールスターコンビをはじめ、ジェイソン・テイタム、ドノバン・ミッチェル、カイル・クズマなどの有能な若手がスタメン候補となる。また、NBAのスモールボールのトレンドもあってか、代表チームも毎度インサイドが手薄になる傾向が強かったが、今回はアンドレ・ドラモンド、ブルック・ロペス、マイルズ・ターナーなどビッグマンも揃っている。辞退者が続出したことで、メンバー不足の印象が強いが、まだまだ王者に相応しい力を有したメンバーと言えよう。 唯一の懸念事項は、チームとしての連携力にある。ほとんど即席で組まれたメンバーは、これまでも本番の試合で連携を強める傾向にあった。個の能力が高いゆえ、才能やメンバー間の友情により、それでも成り立ってしまう部分はあるが、ジュニア世代から同メンバーで戦っている他国と比較するとその連携力の薄さは弱点となる。これまで、圧倒的な能力でこの点を補ってきたアメリカ代表だが、若手中心の今回のメンバーがどのようにこの問題点を突破するかは非常に見ものである。 グループEはどうしてもアメリカに目が行きがちなのだが、トルコとチェコも、過去の戦績から言えば日本代表よりも遥かに格上のチームとなる。トルコは、現在4大会連続でベスト8以上に進出しており、2010年には銀メダルを獲得したFIBAランキング17位の強豪である。若く、サイズがありながら、外角のシュートを得意としているメンバーを揃えていることが特徴で、アーサン・イリヤソバ、シェド・オスマン、フルカン・コルクマズ等のNBA選手も積極的に参加している。かつてNBAで活躍したヒディヤット・ターコグルは、208cmながらゲームメイクと外角のシュートを得意としていた。そのターコグルがトルコ協会の会長とあって、まるでチームカラーを象徴しているようである。メンバーの若返りにも成功しており、トルコ国内のプロリーグも盛んなことから、アメリカ代表とも渡り合える力を有しているチームと言えよう。 また、チェコについても、4年前までは世界ランク49位ながら、今や24位まで躍進している、こちらもヨーロッパの強豪である。チームの柱は今年シカゴ・ブルズへ移籍した201cmの大型ポイントガードのトーマス・サトランスキーと、今季ユーロリーグでMVPを獲得し、かつて3シーズンNBAでもプレイしたヤン・ヴェセリーだ。チームプレイの精度は決して高いとは言えないが、NBA経験者の大型メンバーが主力となるチームを下すことは簡単なことではないだろう。そんな予選グループEに挑む日本代表の現状に迫ろう。

過去高戦力を誇るアカツキファイブの実力とは

様々なニュースや番組で報道されている通り、男子日本代表、通称アカツキファイブは過去最高の戦力を有している。ワールドカップアジア予選では、0勝4敗という崖っぷちのスタートを切ったが、世界ランク10位の強豪、オーストラリアを下す番狂わせを演じたところから、猛追を開始。 その後、8連勝を飾り、自力でグループ2位でのワールドカップ出場権を手に入れた。2020年の東京五輪での開催国枠の採用が不透明なバスケットボール競技であったが、見事5人制男女、そして、新競技となる3人制男女において、出場権を獲得するに至った。その決定には今回の男子の活躍ぶりが考慮されたのは間違いない。 今、ノリに乗っている日本代表だが、先日代表候補16名が発表された。やはり最注目選手は、今年のNBAドラフトで9位指名によりワシントン・ウィザーズへの入団を果たした八村塁(203cm)だろう。サマーリーグでは3試合平均で19.3得点、7.0リバウンド、1.7ブロックをマークし、セカンドチームにも選出されている。ウィザーズでも主力としての活躍が期待されることから、攻守に渡り、日本代表を支えるエースとなるに違いない。そして何より、八村の迫力のあるプレイは日本のバスケファンのみならず、見る者全員にバスケの魅力を最大限伝えてくれることだろう。 同じくNBAのメンフィス・グリズリーズで2シーズン目を迎える渡邊雄太(206cm)も参加を表明している。全ポジションをガードでき、外角のシュートもある万能選手には、アメリカでの経験を活かし、積極的にチームをリードしてもらいたいところだ。また、2016年のBリーグで得点王とMVPを獲得し、日本でトップ選手として活躍するニック・ファジーカス(210cm)の参戦も、八村、渡邊と並ぶビッグインパクトをチームに与えてくれる。フィニッシュのバリエーションが多く、柔らかいタッチで外角まで得意とするビッグマンの帰化により、フォワード、センターポジションでは高さ、能力共に日本も世界に引けを取らない戦力を有していると言える。

幼少期の10年間をアメリカで過ごす。初めて行ったNBA観戦で間近で見る選手に強い衝撃を受けNBAにどっぷりのめり込み、自身もバスケットボールを始める。ファン歴は20年を超え、これまでの自身の知識を発信しNBAファンを増やしたいという想いから、ブログ「NBA journal」を開設。現地の情報をもとに、わかりやすくもマニアックな内容を届けることを意識し、日々奮闘している。

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