ブルックリン・ネッツの復活劇

1.ニュージャージーからの移転と、新オーナー プロホロフ

ネッツは、ロシア人のビリオネアで、同チームオーナーであるミハエル・プロホロフ氏が2009年にチームを購入する以前、ニュージャージー州というニューヨーク州の隣に本拠地を構えていた。(注:ニュージャージーというのは、日本でいうところの千葉県に当たるような印象であり、ニューヨーク程の華々しさが無いエリアでもある。) プロホロフ氏はチームを2009年に購入後、より人が集まり、より注目度の高い、いわゆる「ヒップ」なエリアであるブルックリンに新アリーナを建設し、移転する事を決めた。また、オーナー就任直後に、今後5年以内にネッツをNBAの王者にする事を約束した。時を同じくして、ネッツは新規ジェネラルマネージャーの役職に、フィラデルフィア・セブンティーシクサーズにてアレン・アイバーソンを中核に一時代を築いたビリー・キングを招き入れた。 ただ、このキング氏の登用と、プロホロフ氏のNBAチーム運用に関する勘違いによって、チームは思わぬ方向に迷走してしまう。

2.プロホロフの勘違いと、キングの迷走~<暗黒時代の始まり>

ネッツ購入時、プロホロフ氏はロシア出身ということもあり、欧州のサッカーチームを想定していたとされている。具体的にはプレミアリーグのチェルシーのような石油王が資金力に物を言わせて急速に力をつけていったイメージである。そのため資金力があればよいチームを作れると考えていたようだ。ただ、欧州のサッカーチームとNBAのチームでは、チーム編成上大きな違いがある。それは選手の総年俸を制限するサラリーキャップが実在するという点だ。 ビリー・キングGMは新オーナーの要望に基づき、とにかく将来を犠牲にしてでも、短期で勝てるチームを心掛けた。その結果起きたのが、数々の短期的視野で行われたトレード、選手獲得だった。それらを以下時系列順に列挙する。 1年目)2011年2月23日:ネッツ↔ジャズ間トレード <ネッツ獲得> デロン・ウィリアムス <ジャズ獲得> デリック・フェイバーズ デビン・ハリス 複数の一巡目指名権 これがネッツのチーム改革第一弾であり、当時NBAイチのPGと言われていたデロン・ウィリアムスを若手2名とドラフト指名権との交換で獲得。当時デロン・ウィリアムスはキャリアピークにあった事から、このトレード自体は、周囲からネッツとして良いトレードをしたと好意的に受け入れられた。 しかしこのトレードをきっかけに、チームが高齢化すると共に、迷走してしまう。 2年目)2012年3月15日:ネッツ↔ブレイザーズ間トレード <ネッツ獲得> ジェラルド・ウォーレス  <ブレイザーズ獲得> メメット・オカ― ショーン・ウィリアムズ 2012年一巡目指名権 当時ネッツは、同シーズンオフにFAとなるデロン・ウィリアムスに満足してもらい、チームに残留してもらう為にも成熟したスター選手を一人獲得せねばと思い、将来を犠牲にして本トレードがなされた。ただ、結果的にその指名権は全体6位指名権となり、ブレイザーズはそれを後のオールスター選手となるリラードに使う事となった。 3年目)2013年7月12日:ネッツ↔セルティックス間トレード <ネッツ獲得> ポール・ピアース ケビン・ガーネット ジェイソン・テリー <セルティックス獲得> 将来のドラフト1巡目指名権3つ+指名順位の交換権利1つ ジェラルド・ウォーレス キース・ボーガン他3名 このトレードについては、もはや言うまでもないが、オーナーが公言した5年以内の優勝まで残り1年となった13年7月に、ネッツは将来を実質全て投げ出してセルティックスから全盛期を過ぎた往年のスター3名を獲得した。同3選手はネッツでインパクトを残すほどの活躍はできず、ピアースとテリーは1年で、ガーネットも2年目には退団となってしまった。 そして、このトレードでネッツは向こう5年分のドラフト指名権を実質全てセルティックスに渡してしまったためドラフトによる戦力向上も当面できず、まさに暗黒の時代に入っていった。 尚、このセルティックスは、このトレードで獲得した指名権を活用して、後にジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン等の若手有望株を獲得する事となった。

3.再建の始まり~(ショーン・マークス新GM時代)

ビリー・キングGMによって将来を犠牲に短期的なチーム作りを行い、それに失敗したネッツは、2016年にその主因となったキングGMを解任し、後釜にスパーズにて若きアシスタントGMとして活躍していたショーン・マークスを招き入れる事とした。 マークスGMは、自チームの1巡目指名権が無く、またスター選手もいないという極めて困難な状況の中、チームの文化を正す事が最善と悟り、フロントオフィスの面々並びにスタッフに人徳の優れたメンバーで固めた。 その一例が、派手さはないものの人柄の良さと確かなゲーム運びに定評のある、ケニー・アトキンズ氏をヘッドコーチに召集したり、下部組織のGMに名門デューク大出身で人格者とされていたトレジャン・ラングドン氏を招き入れたりする事でした。 これらの結果、マークス新GM就任後最初の2シーズンは厳しいシーズンとなったが、就任後3シーズン目となった昨シーズンは、大切に育てた若手(例:ジャレット・アレン、カーリス・レバート)が活躍した。他のチームで不合格の烙印を押された選手(例:ディアンジェロ・ラッセル、デマーレ・キャロル)がネッツのスタッフ陣によって復活を遂げたりする事で、見事にプレイオフに進出するまでになった。

4.新時代 <2019年~>

マークス新GMが就任してから確かな成長を遂げてきたブルックリン・ネッツは、リーグの選手内の間でも「選手を大事にする、良いチーム」として評判になるようになった。 それもそのはず、他のチームで使えないとされた選手を温かく見守る事で着実に復活させたり、怪我で苦戦していた選手をトレーナー陣一同が丁寧に対応し復活させたり、若手選手には下部組織含め着実に成長させたりした事で、選手ファーストなチーム作りをしているとリーグ中から注目されるようになったのである。 そしてこれら年単位でのマークスGMによるチーム作りが功を奏し、超大物FAであるカイリー・アービング、並びにケビン・デュラントをも引き付けるまでになった。 このように長年低迷を続けていたネッツにとって、マークスGM就任以降の上昇スパイラルは目にみはるものがあり、そこにアービング、デュラントをもが加わる今シーズンは、優勝の文字がちらつく新時代の幕開けとなる。 デュラントの復帰は来シーズン以降の可能性が高いと現状されているが、大補強に成功したネッツの今後からは、目が離せない。

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